鹿児島が藤本&端戸との契約満了を発表
鹿児島ユナイテッドFCは4日、同クラブに所属するFW藤本憲明と端戸仁について、契約満了に伴い2025シーズンの契約を結ばないことを発表した。
藤本は1989年8月19日生まれの現在35歳。アマチュア選手としてキャリアをスタートさせた後、2016シーズンより新たにJリーグへ参入する鹿児島へ入団した。加入初年度は15ゴール、2年目には24ゴールを挙げ、2年連続でJ3得点王を受賞。2018年には大分トリニータへ完全移籍すると、J2でも12ゴールを記録し、6年ぶりのJ1昇格に貢献。翌シーズンには自身初参戦となったJ1でも前半戦だけで8ゴールを挙げた。
2019年8月にはヴィッセル神戸へ完全移籍。同シーズンは天皇杯JFA第99回全日本サッカー選手権大会・決勝の鹿島アントラーズ戦でゴールを挙げ、神戸を初タイトル獲得へ導いた。清水エスパルスへの期限付き移籍を挟みながら、神戸では2022シーズンまでプレーし、シーズン終了後には6年ぶりに鹿児島への帰還が決定。2023シーズンは主力としてJ3リーグ32試合に出場して5ゴールを記録し、鹿児島にとって5年ぶりのJ2復帰に貢献した。今季はここまで2024明治安田J2リーグ29試合出場5得点をマーク。鹿児島での公式戦通算では123試合出場53得点を記録している。
一方で、端戸は1990年5月31日生まれの現在34歳。横浜F・マリノスの育成組織出身で、ジュニアユース、ユースと歩を進め、2009年にトップチーム昇格を果たした。2012年には期限付き移籍先のギラヴァンツ北九州で14ゴールを挙げるなど得点を量産し、横浜FMへ帰還した2013シーズンには第93回天皇杯全日本サッカー選手権大会優勝も経験。だが、横浜FMでは定位置確保に至らず、2016年には湘南ベルマーレへ完全移籍した。
湘南では3シーズンにわたってプレーした後、2019年には東京ヴェルディへ期限付き移籍し、翌年には完全移籍へ移行。2022年夏より鹿児島へと活躍の場を移した。昨季はチーム最多タイの8ゴールを記録する活躍を見せ、鹿児島のJ2復帰の原動力に。だが、今季は負傷にも悩まされ、2024明治安田J2リーグでは2試合の出場にとどまっている。鹿児島での公式戦通算では48試合のピッチに立って9ゴールを記録した。
契約満了に際し、藤本はクラブを通してコメントを発表。自身の率直な思いを次のような言葉で綴っている。
「まずはじめに、今シーズンJ2の舞台で期待し応援してくれたスポンサー、企業のみなさん、目標達成する事ができずに悔しいですが、本当にありがとうございました。そして、雨が降っても灰が降ってもどんな時でも声をだして共に戦ってくれたサポーターのみなさんにはとても感謝しています」
「2024シーズンで鹿児島の選手としてプレーする事は最後になりました。2016年J3元年に鹿児島に入団させてもらいました。初めてのJリーグの舞台で不安と楽しみが入り混じる中、熱いサポーターのみんなの前でのプレーに興奮したのを覚えてます。仲間のみんなのおかげで得点王にもなる事ができました。2017年2年連続得点王になる事ができましたが、チームが昇格できない中移籍をしました。その時に勝手な思いですが、『必ず成長して鹿児島に戻ってきたい、成長して鹿児島に恩返しできるくらいになりたい』と思いました」
「そこからはみんなと同じサポーターとして応援していました。2023年に神戸を満了になった自分を助けてくれたのは鹿児島でした。恩返しをするチャンスをくれたからには必ず昇格させる思いで帰ってきました。シーズン序盤はケガで出場できずに悔しい思いもしました、途中で監督交代や終盤はプレッシャーで勝てない時期もありました。諦めずに戦い、昇格できたのは間違いなくサポーターのおかげでした。あの時の興奮は一生忘れられないものになりました」
「今シーズンは簡単ではないと覚悟して挑みました。なかなか勝ち点を積み重ねる事ができない試合が続き、監督交代となってしまいました。J2で途中から違うスタイルで勝てるほど甘くありませんでしたし、アウェイで勝つ事ができずに降格させてしまい選手、サポーターのみんなには苦しい思いをさせてしまいました。自分の責任です。時にはサポーターとぶつかる事もありましたが、それは選手とサポーターが共に戦えていた証でもあると思います。選手とサポーター、そしてクラブが共に戦えばまだまだ良くなると感じました」
「今、鹿児島は変転の時期だと思います。2度目の1年で降格を経験し、サッカーのスタイルを変えた。応援してくれる方、スポンサーは増えて、たくさんいい選手がいる中でもっともっと成長するべき所はあると思います。1年で戻る為にはサポーターの力は必ず必要です」
「鹿児島には可能性はまだまだありますし、若くてイキイキしてる選手もいます。自然を感じる事ができる街、いつでも癒してくれる温泉、異次元の食、全てが最高でした」
「もう鹿児島のユニフォームを着てみんなと共に戦う事はできません。違うユニフォームで別の場所でみんなと同じサポーターとして鹿児島を応援します。24番、10番のユニフォームやグッズを買ってくれたみんなありがとう。『Special Nori Seat』に応募してくれたみんなもありがとう。これからも鹿児島を応援してくださいね」
「なにかを与えて恩返しができたかわかりませんが、みんなの事は忘れません。あとホーム1試合みんなで勝って白波スタジアムで笑顔でお別れしましょう」
また、端戸も次のようにコメントを発表。鹿児島で過ごしたおよそ2年半の月日を振り返りながら、素直な思いを明かした。
「今シーズン限りで退団することとなりました。2年前、登尾顕徳GMとのご縁から鹿児島に来させていただきました。妻や小さい子供たちと離れてまだ足を踏み入れたことのない鹿児島に来ることは少し不安がありましたが、来てすぐに人の温かさやサポーターの熱に魅了されました。応援してくれるみなさんのおかげですぐに鹿児島のことが大好きになりました。また、家族が鹿児島に来た際快く受け入れてくれたスポンサーや飲食店の方々にも深く感謝します」
「自分自身今年は全くチームの力になれず、みんなとなかなか一緒に練習することさえできず、振り返ると情けない気持ちが溢れてきます。それでも昨年一緒に見た昇格の景色やスタジアムの一体感はいつまでも自分の心の中に残っています。今後鹿児島ユナイテッドFCがもっともっと大きくなって、将来はJ1で躍進する姿を楽しみにしています。本当にお世話になりました!」
今シーズン、鹿児島は2024明治安田J2リーグ第37節終了時点で7勝8分22敗の勝ち点「29」獲得にとどまり、J3降格が決定。10日に控えた今季最終戦では、本拠地の『白波スタジアム』にファジアーノ岡山を迎える。
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