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【インタビュー】“技術力と洞察力”が詰まった70m独走弾! 山田康太「スピードに乗った理想通りのドリブルができた」

2022.05.17

[写真]=J.LEAGUE

 4月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間ベストゴール』が発表され、J2はモンテディオ山形に所属するMF山田康太が受賞した。

 受賞したのはJ2第10節・FC町田ゼルビア戦の80分に決まったゴール。自陣でボールを受けると一気にドリブルで駆け上がり、ゴールネットを揺らした。「我ながら『いいゴールを決めたな!』とは思っていました(笑)」という自画自賛の推定70メートル独走弾を振り返ってもらった。


取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)

――まずは4月の『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間ベストゴール』受賞おめでとうございます!
山田 ありがとうございます。4月は素晴らしいゴールがたくさんありましたが、我ながら『いいゴールを決めたな!』とは思っていました(笑)。ベストゴール受賞を聞いた時は素直に嬉しかったですね!

――町田戦で決めたスーパーゴールを改めて振り返っていただけますか?
山田 まず0対1のビハインドで残り10分という状況でした。スローインを受けた際、前方にスペースがあったので、自分でゴールに向かって運ぶ決断をしました。ポイントとしてはスピードに乗った理想通りのドリブルができたことです。相手にとっては誰が止めに行くのか、曖昧になるようなコース取りができていたと思います。中島(裕希)選手がプレスバックに来ているのですが、あまり早い段階で前に入ってしまうとファールで止められたり、相手のカバーリングが明確になってしまうので、少し外に行きながら『勝負できる!』と思ったタイミングでゴールへ向かいました。一人かわした後の右足のファーストタッチも完璧でしたね。シュートシーンでは、少し体を開きファーに打つと見せかけてニアを選択しました。トップスピードで難しい状態でしたが、うまくニアに強いシュートを打つことができて良かったです。

――ドリブラー顔負けの素晴らしいドリブルからのフィニッシュでしたね。
山田 小学生・中学生の頃から『ドリブルで何人も抜いていました!』というタイプではなかったですね。ドリブルの角度やコース取り、どこに向かって運ぶのかを考えながらやってきたタイプです。トップスピードに乗った状態でも正確性が落ちなかったという面では、そういった技術を持ち合わせていたからだと思います。

――残り10分という体力的にも厳しい時間帯でのスーパーゴールでした。ゲーム体力には自信を持っているのではないでしょうか?
山田 自信があるというよりも、サッカーをやる上での一番大事な部分という認識ですね。ただ、負けたくないところの一つですし、こだわってはいます。日頃の練習からフィジカルコンディションが上がるようなメニューを組んでくれていますし、クラモフスキー監督も『相手より走って、攻守で闘う』と常々口にしています。昨季は失点が多い時期もあったので、守備面で緩くなりがちと思われていたかもしれませんが、今では『全員がタフに闘う』という認識がより一層根付いていると思います。

――山田選手は2018年のJ1第11節でJ1デビューを飾っています。ポジションは体力的にもタフなプレーが求められる右のサイドバックでした。『山田康太が右サイドバック』と聞いて驚く山形サポーターの方もいるかもしれませんね!
山田 そうですね、何もかもが新鮮で今でもよく覚えています。対戦相手は鹿島アントラーズで学生時代からよく見ていた選手たちばかりでした。同じ最終ラインに中澤佑二さんがいたので、すごく頼もしかったですね。何気ない一言でも自分を奮い立たせてくれて頑張れました。佑二さんに『守れ!』と言われたら守りますし、『やられるな!』と言われたらやられるわけにはいかないので(笑)。試合に入ったら落ち着いてプレーできましたし、結果的にも3対0で勝利できたのでいいJ1デビュー戦になりました。

――ちなみにサイドバックにコンバートされた理由はご存知ですか?
山田 18年はポステコグルー監督の就任初年度で攻撃的なサッカーをマリノスに落とし込む初期段階でした。いわゆる“偽サイドバック”として、レーンの内側に入ってボールを保持する役割に秀でた選手を起用していたので、自分にもその可能性があるということでポジティブに取り組んでいました。本当にいい経験ができたなと思います。今も似たスタイルのサッカーを志しているので、いつか山形でもサイドバックとして出場できたらと思います(笑)。

――サイドバック、アンカー、インサイドハーフなど様々なポジションを経験し、現在は不動の1.5列目として活躍されています。よりゴールに近い位置でプレーしていますが、得点に対する意識は強くなりましたか?
山田 もともとコンスタントに得点を奪うタイプの選手ではないですし、ポジションが前目になったからといって毎試合得点できるほど甘い世界ではありません。今は自分に何が合っているのか、どういったプレーが求められできるのか。日々探りながら、成長できていると思います。相手の嫌がることをしながら、ゴールに向かって行くという、今の1.5列目のポジションは自分にすごく合っていると感じます。小さい頃からサッカーをやってきて『自分がもっと伸びそうだな』と思うポジションです。もっと上のレベルに行けると信じて、今は楽しくポジティブに取り組んでいますね。

――藤本佳希選手やデラトーレ選手など、前線の顔ぶれも昨季から変わりました。攻撃の連携面における手応えはいかがですか?
山田 攻守両面において少しずつ整理されてきました。守備から自分たちのリズムを掴むことも多いですし、今は自信を持って試合を進められていると思います。少し苦しい時間帯があっても『まずは一回守ろう』と割り切れるようになりました。デラトーレ選手とチアゴ アウベス選手は練習や試合を重ねるごとにコンディションが上がっていると思うので、2人には今後さらなる活躍を期待したいですね。

――また川井健太コーチが今季からサガン鳥栖の監督に就任し、新たに渡邉晋コーチが入閣しました。
山田 今季のキャンプからナベさんの指導を受けているのですが、考え方や言葉のチョイスの一つひとつから『経験のある方だな』と肌で感じましたね。言われたこともスッと入ってきますし、気になっていることを聞けば、自分の中でうまく整理できることも増えました。個人にとってもチームにとっても、すごくリスペクトできる大きな存在だと思います。

――今季のJ2も3分の1が終了しました。相変わらずの混戦模様ですが、今季ここまでを振り返っていかがでしょうか。
山田 簡単な試合は一つもないですし、難しいリーグだなと感じています。プレーヤーとしての価値を示すためには、ゴールやアシストなど数字の部分、90分間の中でどれだけ存在感を発揮できるかが大切だと思います。J1昇格を最大の目標としながら、今季のJ2で何度も名前が挙がるような活躍をして、自分自身の価値も高めていきたいです。

――昨季はクラブ記録の7連勝と快進撃があった一方、山形対策が進み秋以降は苦しむ時期もありました。一度つまずいた時にどうすべきなのかは、より問われるシーズンになると思います。
山田 今季も満足いくスタートを切ることはできませんでした。それでも山形の力をJ2の中でしっかりと見せつけることができていると思いますし、それを継続するためには今以上のハードワークが必要です。昨季は少し難しく考えすぎてしまっていた部分もあったと思います。目の前の選手に負けないことやハードワークを続けること。まずやらないといけないことをしっかりとやることが大事です。苦しい時期が訪れた際には、自分を含め基本的な部分を徹底していきたいと思います。

――では、最後にファン・サポーターへ意気込みとメッセージをお願いします。
山田 山形のファン・サポーターは熱い応援をしてくれていますし、それはホームゲームの入場者数にも表れていると思います。『ホームでは勝つ!』ことを植え付けるためにも一緒に戦ってほしいです。『これからのホームゲームは全試合勝つ!』という意気込みでやっていかないとJ1昇格も難しいと思います。ホームでは必ず勝てるチームになることを一つの目標に一緒に戦っていただけると嬉しいです!

お知らせ

JリーグトップパートナーであるKONAMIのJリーグ公式モバイルゲーム『Jリーグクラブチャンピオンシップ』では、後日受賞選手が特別カードとして登場するなど、サッカーファンとゲームファンがともに楽しめる施策を実施しています。

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