2018.08.31

【ライターコラムfrom松本】陰の立役者・岩間雄大、J1昇格へ勝負の9月も“いぶし銀”の活躍を

岩間雄大
ボランチを務める岩間雄大 [写真]=J.LEAGUE
1978年生まれ、東京都出身。長野県内の新聞社で15年まで勤務し、現在はフリーライターとして松本山雅FCを中心に信州スポーツを幅広く取材。クラブ公式有料サイト「松本山雅FCプレミアム」編集長も務める。

「いいリフレッシュができたし、今日(のトレーニング)も非常にいい上げ方ができた」

 今季初の連敗を喫し、首位から陥落した松本山雅FC。数的有利を生かせずみすみす逆転勝ちを許したショッキングな前節から4日後、岩間雄大は再び顔を上げて練習場に姿を現した。

 前節、横浜FCとの大一番。相手DFペ・スンジンが退場し、得たPKで1-0と先制して折り返した。前半を振り返ると、岩間はMVP級の活躍だった。まず守備では横浜FCの絶対的エース・FWイバの位置をしきりに確認しながらポジショニングを修正し続け、パスコースを遮断。ボールホルダーとイバを結ぶ直線上にほぼ必ずこの男がスッと入り込んでいたのを、決して見逃すわけにはいかない。

 そして白眉は40分。中美慶哉にボールを預けると同時に右サイドへとスプリントをかけ、相手DFが食い付いた裏のスペースでパスを受ける。中をしっかり確認してから余裕を持って上げたクロスは、高崎寛之の頭にピタリ。このシュートが相手DFのハンドを誘い、警告2回の退場でPKを得た。「前半は非常にいい形でプレーできた」という言葉からも、その充実ぶりがうかがえる。

 だが後半、チームは自壊していく。どちらが数的有利なのかホームなのか目を疑ってしまうほど及び腰になり、3失点を喫して黒星。「後半の試合運びや入り方は今シーズンで一番悪かった。前から行くのか行かないのかのコミュニケーションが取れなかったし、気持ち的にも前半1-0で終わって(相手が)1人少なくて(チームとして)驕った部分があった。それをうまく引き締められなかったのは上の選手の責任だし、自分のプレーでも示せなかった」。岩間はその責を一身に背負おうとしていた。

 その言葉から自覚がにじむ通り、加入5年目の岩間は古株でベテランの部類。2014年のJ1昇格も翌15年のJ2降格も、スタメンとして苦楽を味わってきた。今季はチーム事情で3バックの一角を担う時期もあったが、パウリーニョが長期離脱している現在は再び主戦場のボランチでプレー。スタイルの特性上ミスが目立ちがちだが、横浜FC戦の前半のように効果的なプレーを安定して披露している。

 現在の松本は、J1昇格に向けて再びトップギアに上げなければいけない岐路に立つ。FC町田ゼルビア、横浜FCと続いた上位対決のホーム2試合で連敗という最悪の結果に終わったのだから、それもなおさらだ。とはいえ2位で自動昇格圏内にいる事実に変わりはない。岩間は「序盤に勝てない状況が続いた中から勝てるようになってきて、自分たちのスタイルがしっかりできあがってきたと思う」と力を込める。

 混戦の上位争いで馬群に沈まないためにも、水戸ホーリーホックとの次節はより重要な意味を帯びる。「水戸は本当に勢いがあって強い。若い力もあるし前線に強力なブラジル人が2人いるので、チーム全体でケアしないといけない」。おそらくはこの試合でも、岩間はヒーローになるような目立ち方をするとは考えにくい。それでもボールを持っていない局面で、我慢強くタスクを遂行し続けるだろう。

文=大枝令

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