2017.06.23

【ライターコラムfromG大阪】「ようやくスタートを切れた」…ついにベールを脱いだ“青と黒”の井出遥也

天皇杯でG大阪デビューを果たした井出遥也
雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。

 6月21日に市立吹田サッカースタジアムで開催された天皇杯全日本サッカー選手権大会2回戦・ヴェルスパ大分戦の前日。長谷川健太監督が、サイドバックでの出場を明言したこともありMF井出遥也は報道陣に囲まれていた。口にしたのは、ガンバ大阪の一員として初めて公式戦のピッチに立つ『覚悟』。「プロになってからの公式戦では2度目」だと話した本職ではないサイドバックでの出場にも、強い意欲を示した。

「本職のポジションではないですが、球際に負けないことや、攻撃参加など、求められていることは一緒だし、僕自身は自分をアピールするチャンスだと思っています。サイドバックとして、チームが今やろうとしていること、守備の役割は意識しつつ、ただ、攻撃のときはその位置からしっかり前に出ていきたい。ポジションがどこであっても思い切りプレーするだけ。そのことが本職で出場するための第一歩になると思っています」

 その言葉通り、井出は右サイドで躍動した。相手が守勢に回り、かつ、前半はほぼワンサイドゲームになったこともあったが、高い位置にポジションを取る中で、右サイドハーフのMF藤本淳吾らと連動を見せながら、果敢にゴール前に迫る姿勢を示し続けた。

「慣れないポジションでしたが、不安というよりは思いっきりやってやろうという気持ちの方が強かった。周りの選手に助けてもらいながら、引いた相手に対して淳吾さんと自分のポジショニングや、うまく入れ替わることを意識しながらプレーしていた。何度か、淳吾さんのところに入った瞬間にその外側からあがってクロスボールを入れられたりもしたけど……。試合後にも淳吾さんと話しましたが、もっと僕と淳吾さんのところで崩すシーンを作りたかった」

 結果的に72分でピッチを離れたものの、試合後、長谷川健太監督は「相手が4-4-2にして捨て身できたので藤春を入れて初瀬を右に回しましたが、交代するまでは、いつもと違うポジションでも非常に落ち着いてプレーしてくれていたと思います」と評価。試合前日にも「中盤のポジション争いが熾烈になっていることを考えても、今後、サイドバックの部分で井出の攻撃面での良さが出てくるようになれば、出場機会は増える可能性はあるのかなと思っています」と話していたことを思えば、今後、サイドバックでの起用も考えられるはずだ。本人も、まずは本職でのプレーを目指しながらも、プレーの幅を広げることに意欲を示す。

「試合に出ることがまずは自分のチャンスを広げることになる。僕自身はポジションがどこであれ『試合に出る』ことがチャンスだと捉えています」

井出遥也

千葉からステップアップを果たす [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 ジェフユナイテッド市原・千葉アカデミーで育ち、12年にその千葉でプロとしてのキャリアをスタートしてから6シーズン目。新たな挑戦の場に選んだG大阪の一員となって早くも半年が過ぎた。序盤はケガに苦しみ、別メニューで調整を続ける時間も長く続いたが、5月半ばに復帰してからは環境への慣れもあってだろう。本来の攻撃力を組織の中で発揮できる時間も増えてきた。そんな状況で迎えた移籍後初の公式戦出場――。本職のポジションではなくても、踏み出した『最初の一歩』は必ず、二歩目、三歩目に繋がるものになるはずだ。井出自身の言葉にも、それを確信する。

「天皇杯でしたが、ようやくスタートを切れた。これをきっかけに練習からもっともっと努力をして、J1リーグ戦をはじめとするより多くの戦いに絡んでいきたいという思いがより強くなりました」

文=高村美砂

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