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【インタビュー】久保裕也 確実に、着実に前へ ~一歩一歩踏み締めてある今~

2019.05.02

 2019年の新年度、プーマが新たに展開をスタートさせたキャンペーン『オレヲミロ』。高校生世代を中心としたプレーヤーに向け、トップレベルで活躍するプレーヤーとの差を表現し、『新たな高みへ』たどり着くためには何が足りないのかを考えるためのインスピレーションを与え、マインドを変えていくことをプーマがサポートしていく。

 いつもの日常。繰り返す毎日。自分の日々にはフットボールしかないのに、輝かない。突き抜けない。上手くなっているのか下手になっているのかすら、わからない。焦る。もがく。海の向こうでは、トッププロたちが躍動している。あいつらとオレ、なにが違うんだろう。そんなに違うんだろうか。

 様々な選手の経験から、次の一歩を踏み出すためのヒントを探るインタビュー連載企画。長谷部誠に続く、第2回は2月にプーマファミリーの新たな一員となった久保裕也に話を聞く。

 高校時代は京都サンガF.C.U-18のメンバーとして活躍し、高校2年時からトップチームに帯同。19歳の時点で海外への移籍を決断した久保は、10代の頃、何を意識してプレーしていたのか。

 また、日本代表の主要メンバーに名を連ねながら、監督交代もあって、ロシアの地には立てず。大会後のオフにはベルギーからドイツへと渡り、現在は苦しいチーム状況の中、何を考え、乗り越え、成長しようとしているのか聞いた。

インタビュー=湊昂大
構成=小松春生

■第1回 長谷部誠 ボールを追い続けられる理由

■第3回 伊東純也 成長曲線を支える不動心

■第4回 鈴木優磨 反骨精神の源流

■第5回 遠藤航 信念と深念で貫く我が道

■今、何をできるのかを考えて、やることが一番大切

久保裕也

―――2月にミヒャエル・ケルナー監督からボリス・ショマース監督へと交代し、先発出場が続いています。ショマース監督から期待されていることは何でしょうか?

久保 カウンターやチャンスメイクといった攻撃の場面でクオリティを求められています。でも、まずは守備の部分でのハードワークですね。

―――まず守備、というところから攻撃に関与していくことは難しい部分もあります。自分が求める結果を出すために、どういったビジョンを描いていますか?

久保 今はチーム状況的に守備の時間が長くなるのは、仕方がないと思うので、その中で1試合に数回訪れるチャンスをものにできるようにすることです。まずは守備から入り、チームとしていい形で攻撃に出られた時に、チャンスは来ると思うので、それを逃さないように集中するのが大切ですね。

―――守備から入って攻撃と考えれば、体力的な厳しさもあります。

久保 フィジカルがフィットしている状態であれば、前にも出られます。とにかく勝ち点を積み重ねていくには、まずは負けないことが大切ですし、失点をしないことが今一番大事なので。プラス攻撃でチャンスを、ということなので、とにかく全員がハードワークすることが大切ですね。

 監督が変わり、少しずつやることが明確になり、スタイルも固まりつつあるので、その中で得点を取り、勝ち点を積み上げたいですね。

久保裕也

―――個人としては、今シーズン数字を残せていません。

久保 いろいろと思うこともあります。ただ、試合に出てチームが勝ち点を取ることに貢献するため、まずはハードワークして、考えすぎずに自分がやれるプレーをしたいです。

―――メディアなどの声の大きさがプレッシャーになることはありませんか?

久保 メディアの声は一切聞いていないですし、それで左右されることもないです。まずはチームの中でどういう状況なのか、チームのためにどういうことができるのか、自分が今何をできるのかを考えながらやっているので、そこが一番大切なことだと思います。

■出場できなかった時期はつらかった

―――改めて、ドイツへ移籍した心境を教えてください。

久保 ベルギーよりレベルが高いですし、僕にとってステップアップだったので、これ以上ないチャンスでした。一番良い選択だったと思います。不安やプレッシャーは全く感じなかったですね。楽しみに毎試合プレーしていましたし、今も毎試合楽しみに迎えています。

―――スイス、ベルギーで経験を積み、24歳で欧州4大リーグに挑戦となりました。

久保 早く行ければいいというものでもないですし、僕のタイミングではこれが一番のタイミングだったのかなと思います。

久保裕也

―――ドイツに来て通用していると感じる部分、難しさを感じている部分はいかがでしょう。

久保 局面ごとにやれる部分もあるので、チームや自分の調子がいい時に、もっと出していきたいですね。一方で、難しいチーム状況ですし、個人としても1対1の激しさや、寄せも速いので、対人の課題がありますが、それも成長するために大事なことだと思います。

―――今シーズンから1部に昇格したチームへの加入だったので、リーグ戦では厳しい戦いを強いられる予想もできたと思います。それを覚悟した上で決断を?

久保 もちろんわかっていましたけど、サッカーとは、どうなるかわからないものなので。この現状は誰も望んでいないですし、この先もどうなるかわからないので、まずは毎試合毎試合やっていくことが大切ですね。

―――これまでは試合に出続け、結果も出してきました。なので、今シーズンはメンタル面で苦悩もあったのでは?

久保 出場できなかった時期はつらいですし、どうしたら出場できるのかを考えます。どうしたらピッチに立てるかが見えていて頑張れている時は、すごくポジティブなことだと思います。でも、どの監督の下でもあることだと思いますが、ケルナー前監督と話して、それが見えていたこともあったし、なぜかよくわからない時もありました。

―――チームとしても個人としても苦しい時期を打開するため、取り組んでいることはありますか?

久保 守備でのハードワークが求められているので、そこは最低限やらないといけないと思っています。まず、試合に出るために監督が求めていることを理解しないといけないですし、やらないといけないと思ったので。練習からハードワークを見せる取り組みはしています。

―――日本代表としてはロシアの舞台に立つことはできず、現在は日本代表に再び招集されることを狙う状況にもあります。

久保 (W杯は)出たかったという思いもありつつ、応援している部分もありましたし、負けた時に残念な気持ちもあり、いろいろな思いを持って見ていました。「もっと代表の試合に出たい」と思いましたし、次のW杯に出られるよう、どう頑張っていくかを考えるようになりましたね。代表に入るには、試合に出て、結果を出していかないといけない。とにかく自分のやれることを今はやって、その結果が代表なので、目の前のことをしっかりやっていきたいと思います。

■19歳での海外移籍、もう少し早くても良かった

―――ここからは、久保選手の高校時代を振り返り、今があるのかを探っていきます。高校時代のご自身を表現すると、どんな選手でしたか?

久保 “ストライカー”という感じですね。毎日、サンガのトップチームに上がることだけを考えてやっていました。

―――当時はどういったことに楽しさを感じていましたか?

久保 仲間たちとは寮生活、学校、サッカーとすべてが常に一緒だったし、家族のような感覚になれる、ファミリー感のある感じは面白かったですね。思い出は今も財産です。苦しかったこともなく、サッカーも充実していました。もちろんきつい時もありました。高校1年の時は練習もハードでしたし、メンタル的にも厳しかったと思いますけど、今思えば楽しかったですね。充実感もすごくありました。

久保裕也

―――久保選手にはストイックなイメージがありますが、当時からですか?

久保 自分にはそういった感覚はないですし、自分の周りの人たちの中では普通だったと思います。

―――海外という意識が生まれたのは、いつ頃ですか?

久保 U-16日本代表のメキシコ遠征で海外へ初めて行き、だんだん意識が強くなっていったと思います。

―――19歳でスイスのヤングボーイズへ移籍します。このタイミングについてはいかがでしょう。

久保 早いとは全く思わないです。もう少し早くても良かったと思いますし、早く行くことに越したことはないですね。移籍する時点では、不安は何もなかったですけど、行ってからは困ることも多かったです。そういったこと含め、いろいろあるので、タイミングは良かったと思います。

―――不安がなかったのはなぜでしょう?

久保 何も考えていなかったから、かもですね。行ってからのことをあまり考えていなかったことが良かったかもしれません。

―――試合の部分で不安を感じることは?

久保 1プレー、1プレー、夢中ですし、考える余裕はないですから感じません。試合以外では、うまくいかない時期にいろいろ考えます。問題が出た時にどう向き合うかは今も課題ですね。

久保裕也

―――高校時代でメンタルが弱くなった経験はありますか?

久保 トップチームに上がってからの試合でPKを外したことがあって。その試合は、そこからずっと消えていたという経験があります。僕は引きずっていたつもりはなかったんですけど、周りから見たら「PK外したから」と思われたかなと(笑)。でも、確かに自分でも気にしていたと思います。ずっと考えていたので。最近はないですね。そこはパッと、切り替えないと。悪い時ばかりではなく、いい時も来るので、そう考えると切り替えられます。

―――高校時代から順調にキャリアをステップアップしていきましたが、今は苦しい時期と言えると思います。どう捉えていますか?

久保 あまり深く考えていないかもしれません。とにかく自分は何ができるか、どういうプレーをしたらいいのか、今のポジションでどうすべきか、どう改善できるか……と具体的なことばかり考えています。

―――最後に、高校生の選手たちに久保選手からメッセージをお願いします。

久保 苦しい時期があったとしても、楽しい経験があれば、向き合い、乗り越えることができると思います。だからこそ、高校3年間は、すごくあっという間で一瞬ですが、一番楽しい時期だと思うので、めいっぱい楽しんで過ごしてほしいですね。

■これをきっかけに上のステージへ

久保裕也

―――2月からプーマファミリーの一員となりました。決めた理由は何でしょうか?

久保 スパイクです。最初に履いた時、自分の想像を上回ったというか、「めっちゃいいやん」という感じで。足にフィットするのが一番ですね。なので、スパイクを変える不安はなかったです。すんなりと自分の中で「いいな」と思えたので。これをきっかけに上のステージへ登っていきたいですね。

―――プーマファミリーには長谷部選手や伊東選手、小林悠選手、北川航也選手や国外の選手も数多くいます。一員となったことについては?

久保 ファミリー感が強いと思います。アットホームな感じですね。早くファミリーに馴染めるようになりたいですね(笑)。プーマのスパイクを履いて、結果を出すことが「#新たな高みへ」つながることだと思います。

■第1回 長谷部誠 ボールを追い続けられる理由

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By 湊昂大

Kota Minato イギリス大学留学後、『サッカーキング』での勤務を経てドイツに移住して取材活動を行う。2021年に帰国し、地元の広島でスポーツの取材を中心に活動中。

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