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前橋商業|群馬県の仲間の思いも背負って…16年ぶりの夢舞台に臨む伝統の“ゼブラ軍団”【選手権出場校紹介】

 かつて国立にも立ったゼブラカラーのユニフォーム。選手権で2年連続3位になった歴史を持つ群馬の伝統校・前橋商業が2004年以来、16年ぶりに全国復帰を果たした。

 県予選は伝統の力、“前商魂”を見せつけた。桐生一との準決勝は、1点ビハインドの延長後半にFW仲宗根純のゴールで追いつき、PK戦では“PK戦要員”GK水村悠夢が3連続ストップの離れ業。決勝でも0-1の後半39分にMF三ツ木貴大が同点ヘッドを決めると、アディショナルタイムには左サイドからの鮮やかな崩しを見せる。最後はエースFW坂本治樹がダブルタッチでDFを外し、左足で技ありの決勝ゴール。敗退目前に追い込まれても諦めずに攻め続けてゴールと白星をもぎ取った。

 伝統の力とともに劇的な復活Vを引き寄せたのは、新生・前橋商の攻撃力だ。近年、前橋商は我慢強い守備からの速攻主体の戦い方を選択していた。県内外からタレントが集まってくる前橋育英や桐生一に公立校の前橋商が真っ向勝負で上回ることは難しい。そのため、守備重視の戦いで私学強豪に食い下がっていたが、選手権には手が届かなかった。

 戦い方も、どこかリスクを回避しながらのサッカーになってしまっていた。そこで笠原恵太監督は、19年から攻撃サッカーへシフト。「ここ数年は守備だったけれど、そこはもちろん守りながら攻撃もできるように」。運動量をより多くし、数的優位をつくってボールを奪う守備を徹底。同時に、状況判断しながら丁寧に繋いで攻めることもできるチーム作りを目指してきた。今年は大黒柱のMF石倉潤征と2年生の技巧派MF大熊葉薫のダブルボランチに加え、後方にも「キックがストロングポイントだと思っています」という攻撃型の守護神・GK長谷川翔や2年生CB庄田陽向ら繋ぐ力を持った選手が並ぶ。奪ったボールを慌てずにしっかりと1本繋いで攻撃。そして、前線までボールを運び、個人技やグループでの崩しにチャレンジする。左サイドからのワンツー、そして坂本の個人技で奪った県予選決勝の決勝ゴールは新生・前商の特長が表現されたモノだった。

 今年は新型コロナウイルスの影響によって、群馬県で開催予定だったインターハイが中止。前橋商の選手含めて群馬県の高校サッカー部員たちは、地元開催のインターハイで活躍するという夢を失った。開催県で出場枠が2だっただけに、ショックは大きかったが、それでも石倉は「自分たちには選手権があったので、切り替えて頑張ろうかなと思っていました」。今回の選手権、“セブラ軍団”前橋商は群馬県の“仲間”たちの分も、全国出場の夢が叶わなかった先輩たちの分も全力で戦う。

【KEY PLAYER】FW坂本治樹

「大事な試合で取れていない」10番が、真のエースとなった。前橋商を16年ぶりの選手権出場へ導いたのは、FW坂本治樹だ。共愛学園との県予選決勝は、1-1に追いついて後半アディショナルタイムに突入。そこで坂本が“優勝ゴール”を決めた。左サイドを突破したMF清水葵生からパスを受けると、ファーストタッチをピタリと決めてダブルタッチでDFのマークを外す。そしてコースを突く左足シュートで決勝点。右手を突き上げてゴールを喜んだ。

 坂本は2年生だった昨年から伝統校の10番を背負っている。昨年はトーナメント戦の序盤戦ではゴールも決めていたものの、大事な試合では力を発揮できなかった。「積極性が足りなかった」と振り返る。先輩たちに遠慮してしまっている自分がいた。だが、10番2年目の今年はよりエースとしての自覚を持ってプレー。そして大事な試合で取れたことで自信も得て、全国大会に臨む。

 坂本はサッカーセンスに秀でたアタッカー。抜きん出た身体能力を持っている訳ではないが、DFとの駆け引きで上回り、突破、シュートへ持ち込む力がある。今年、「全試合1点は絶対に決める」という目標を掲げていた坂本が、全国大会でもエースとして貴重なゴールを奪う。

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