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学法石川|終電は19時…地道な努力と設備整え、苦節14年の初出場校は「歴史を変えたい」【選手権出場校紹介】

[写真]=学法石川高校サッカー部

 苦節14年。学法石川が福島県代表として全国の舞台に辿り着くまでは困難の連続だった。川越英隆(元オリックスなど)らを輩出した野球の強豪校として知られていた学法石川は、2007年にサッカー部の強化をスタート。そこで全権を任されたのが稲田正信監督だった。

 意気揚々と新天地に向かった指揮官だったが、就任当初は専用のグラウンドや寮などもなく、チームの強化は思うように進まない。「冬は5時を過ぎれば真っ暗。夏場は遅くまでやると決め込んだのに、最寄り駅の終電が19時でどうしようかと思いましたね(笑)」。今では笑い話になっているが、当時はナイター設備がなく、街灯の下でヘディング練習を行うこともしばしば。限られた時間で稲田監督は工夫を凝らしながらチームの強化を進めた。

 その熱意は選手たちに伝わり、就任3年目の2009年に躍進。インターハイの県予選で3位、同年度の東北新人戦で4強入りを果たした。以降は2011年に発生した東日本大震災の影響もあって難しい時期を過ごしたが、2014年に初めてインターハイ予選決勝に進出。そして翌年、念願の人工芝グラウンドと寮が完成する。ハーフコートしか取れない広さだったが、今までの苦労を考えれば十分すぎる設備だった。

 しかし、決勝の壁にはその後も幾度となく阻まれる。同年のインターハイと選手権予選も決勝まで進んだものの尚志に惜敗。2018年のインターハイ予選、2019年の選手権予選も決勝で尚志に敗れた。

 迎えた今年の選手権予選準決勝、今まで一度も勝てていなかった尚志を1-0で撃破。長年立ちはだかってきたライバルの壁を超えると、決勝では聖光学院を3-0で下して、ついに全国への挑戦権を勝ち取った。

 チームのスタイルは粘り強い守備とショートカウンター。CBの大津平嗣(3年)を中心に堅守を築き、奪ったボールはボランチの衣川佳佑(3年)が最前線の倉島聡太(3年)に繋ぐ。ここにウイングバックの渡辺航大(3年)らが絡み、決定機を作り出す。また今年は複数のシステムにもチャレンジ。ベース3-4-3だが、状況に応じて4バックにも対応可能で相手の陣形を見ながら戦い方を変えられるのも強みだ。

 2回戦からの登場となるが、初戦の相手は初出場校の創成館(長崎)。サッカーのスタイルが近く、自分たちと同じような背景を持つチームとの対戦は激戦の予感を漂わせる。「初出場で歴史を変えたと言われるけど、もっと大きく歴史を変えたい」とは衣川の言葉。苦難を乗り越えた学法石川の挑戦はまだ始まったばかりだ。

【KEY PLAYER】DF大津平嗣

大津平嗣 [写真]=学法石川高校サッカー部


 寄せの速さ、身体の強さ、キックの精度。鹿島アントラーズ下部組織育ちらしさを漂わせる屈強なCBだ。

 1学年上に中学校時代の先輩がいた影響で学法石川への入学を決意。「山に囲まれているので遊ぶ環境もないし、誘惑が全くない。自然とオフの日でもサッカーをやろうと思うし、24時間サッカーのことを考えられる」。高校進学後は山の中に寮と練習場がある環境をプラスに捉え、自分と向き合うことで成長を続けてきた。

 多くの選手が学校から約3キロ離れた練習場までロードバイクを使って通う中で、大津はあえて“ママチャリ”を選択。「稲田監督に練習場までの坂道もトレーニングの一環だと言われたので、普段から意識してやっている」と胸を張った通り、ピッチ外での地道な取り組みも実って、今ではチームメイトから「びっくりするほど筋肉が付いた」と言われるまでになった。

 東北でも指折りのCBへと成長を遂げた大津にとって、この選手権が高校時代最初で最後の全国舞台となる。「中学時代のチームメイトと戦いたい。そういう約束もしたし、予選で敗退した帝京や佐野日大に進学していた仲間の分まで戦って結果を残したい」と話し、かつての仲間にも成長した姿を見せたいと意気込む。キャプテンとしてチームを勝利に導けるか。最終ラインに君臨する新鋭校の絶対軸から目が離せない。

取材・文=松尾祐希

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