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徳島市立|昨年は夏冬8強 粘りの守備を継続し、攻撃をアップデート【選手権出場校紹介】

[写真]=森田将義

 今季の徳島市立が狙うのは、インターハイと選手権でベスト8入りを果たした昨年からの進化だ。

 昨年のチームは一人で打開できる選手がいなかったが、真面目な選手が多く1試合通じて粘り強く守備をできるのが強みだった。全国で奪った5つの白星のうち4つが0-0からのPK勝ち。ギリギリの所でDF陣がピンチを凌ぎ、試合終盤に投入されるPK職人・GK米田世波のビッグセーブで勝利を引き寄せるのが方程式で、派手さはないが選手たちの奮闘が印象に残る代だった。

 主力の半数近くが残る今年は、DF渡邉浩章(3年)と、三倉頼真(3年)の大型CBにコンビを筆頭に、身体能力に長けた選手が多い。また、2年後に行われる地元国体に向け、U-16日本代表候補に選ばれたGK藤澤芭琉ら実力派の1年生も入学。河野博幸監督が「同じことを繰り返すだけでは昨年以上の成績は残せない」と話す通り、昨年からの粘り強い守備を継続しながら、攻撃力アップに取り組んできた。

 その鍵となるのは、ボールの奪いどころだ。昨年は自陣のゴール前で奪ったボールを攻撃陣が懸命に相手エリアへと運んでいたが、今年は攻撃の質を高めるため、少しでも高い位置での奪還を目指している。奪ってから素早くサイド攻撃やMF中田舜貴(3年)のスルーパスを繰り出し、速さと強さを備えたFW石井嵩也(3年)らを活かすのが理想のスタイル。カウンターで決め切れなくても得点が奪えるように、昨年同様DF前田俊(3年)のロングスローなどリスタートの練習も重ねてきた。相手エリアまでボールを運ぶ回数が増えれば、昨年以上の得点は期待できそうだ。

 不安要素は、インターハイの躍進で自信を掴んだ上で選手権に挑めた昨年との状況の違いだ。コロナ禍の影響で多くの試合が中止となり、真剣勝負による積み上げができなかった今年は、苦しい中でも積み上げてきた理想のサッカーを発揮できるかが鍵となる。予選後は、大学受験に挑む選手が多く、ベストメンバーが揃わない中でも、全国への準備を進めてきた。高い位置からの積極的な守備が機能せず、プリンスリーグ四国や練習試合では黒星が続いたが、狙い通り自陣ゴール前よりも高い位置で奪える場面は出てきた。また、チャレンジによって生まれた失敗と成功は、必ず全国の舞台で生きるだろう。

 一先ずの目標は、矢板中央(栃木)と対戦する初戦の突破だ。ベスト4に進んだ昨年の経験者が多く、苦しい戦いが予想されるが、持てる力を全て出し切れば、白星も不可能ではないはずだ。

【KEY PLAYER】MF中田舜貴

中田舜貴

主将のMF中田舜貴 [写真]=森田将義


「アイツがいないと試合にならない」。河野博幸監督が絶大な信頼を寄せる司令塔が、この1年で見せた成長曲線は右肩上がりだ。徳島ヴォルティスジュニアユース出身のボランチの売りは、パスセンスと優れた状況判断。中盤での組み立て能力は入学時から評価されてきたが、運動量や守備など戦う部分は課題だった。

 中田のターニングポイントになったのは、Aチームでの出場機会を増やした昨年だ。闘志あふれるプレーが持ち味のMF阿部夏己(現・日本大学)を間近で見ることができ、相手への身体の寄せ方やタイミングなどを学び、守備力が格段に向上した。

 阿部には精神面でも頼る部分が多かったが、主将を務める今年は自分がチームを引っ張らなければいけない。任された当初は戸惑いもあったが、「新チームが始まって最初の方は、『キャプテンなのにまったく声を出さない』と先生に怒られてきた。そのおかげで、“自分がやらなければ”という気持ちが強くなった」。

 一番の変化は、攻守が切り替わる場面だ。「自分が一番最初に切り替えて、周りに声を掛けようと意識している」。持ち味の組み立てだけでなく、「点を獲れるなら、狙っていきたい」と相手ゴール前に顔を出す機会も増えた。チームの主役として挑む最後の選手権は、成長の跡を多くの人に見せつけるチャンス。彼のプレーが、チームの命運を握ると言っても過言ではない。

取材・文=森田将義

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