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東福岡|1年前の敗戦を糧に“赤い彗星”が全国の舞台へ…伝統のオープン攻撃は健在【選手権出場校紹介】

2020.12.25

 1年前の敗戦が今、東福岡の強さの原動力となっている。昨年度の選手権福岡県予選決勝、東福岡は筑陽学園に0-1で敗戦。激戦区・福岡で先輩たちが6年間続けてきた連覇を途切れさせてしまった。エースMF荒木遼太郎主将(現鹿島アントラーズ)がケガのためにわずかな時間しかプレーできなかったことが影響したことも確か。だが、打倒・東福岡に闘志を燃やしてくる筑陽学園の前にシュート数はわずか2本に終わり、立場は王者から挑戦者に変わった。

 筑陽学園戦後、荒木は「この試合を一日たりとも忘れることなく、来年の選手権でさらにいい結果を残していってくれれば、この大会が一個下の学年からしたら無駄じゃなかったと言えるものになると思います」と後輩たちにメッセージを送り、現主将で当時2年生MFとして先発していた上田瑞季は「来年全国の舞台に立って、遼太郎くんたちに報告できればいいと思います」と誓っていたが、その言葉どおり、東福岡は挑戦者として福岡県予選を勝ち抜き、全国に戻ってきた。

 今年の県予選は準決勝、決勝と1点差で簡単な試合ではなかったが、昨年の悔しさを知るチームは乗り越えて全国切符を勝ち取った。1年前に無念の敗戦を経験した2年生たちが主軸に。上田は荒木の後継者としてキャプテンマークと10番を受け継いで中盤の柱となり、昨年の敗戦を「忘れられないです」と口にするU-17日本代表MF青木俊輔は伝統のオープン攻撃を牽引する存在となった。また、筑陽学園戦で途中出場していたMF遠藤貴成は今回の県予選準々決勝で2ゴールを決めると、準決勝でもゴール。決勝では試合終了間際に劇的な決勝ゴールとエース級の働きをしてのけた。

 先輩たちの涙を知る大型センターバックの野口明やMF岩井琢朗も全国出場に貢献。また、攻撃力高い右サイドバックの森川英智や大型ストライカー・長野星輝、189センチのセンターバック左座佑眞、安定感抜群のGK原勇輝らを加え、攻守に充実したチームとなっている。スーパープリンスリーグ九州では長野の4ゴールなどで福岡U-18に10-1で大勝。大分U-18相手に劇的な逆転勝ちを収めるなどグループ1位になった(順位決定戦で大津に敗れてリーグ2位)。Jクラブユースの強豪と渡り合い、勝ち切る力を持つ高体連チームはわずか。全国大会は激戦ブロックに入ったが、優勝争いに絡む力はある。

 選手権は簡単に出場できるものではなかった。その難しさを実感し、苦しみながらも福岡県予選を突破した“赤い彗星”が、昨年の悔しさをぶつけて全国で大暴れする。

【KEY PLAYER】MF上田瑞季


「本当に遼太郎くんがつけていたので、その後って重たいんですけれども……」。“赤い彗星”こと東福岡のMF上田瑞季は今年、10番と主将の重責を担っている。いずれも前任はMF荒木遼太郎。今年、鹿島でブレイク中のMFだ。

 2年時の背番号は18。荒木も2年時は18番をつけていただけに、「10番は意識していた」。実際に背負うことになった上田は「覚悟・責任はありましたし、『やるしかない』という。恥じないプレーをしようと思いました」。荒木のようなカリスマ性があるわけでも、抜群のサッカー感を持っているわけでもない。それでも、荒木の真似をするのではなく、自分のできることでチームに貢献することを求めてきた。

 シャドーのポジションでボールに多く絡み、決定力も発揮する上田だが、今年はMF青木俊輔やFW長野星輝のように、技術力や身体能力を生かして決定的な仕事をできる選手がいる。それだけに、運動量を発揮しながら周囲の良さを引き出すことを重視。新人戦は準決勝敗退に終わったが、昨年行っていなかったような選手間ミーティングを重ね、選手権予選ではリーダーとして、チームの心臓として、優勝に貢献した。次は全国。昨年、悔しい思いを味わった先輩の分も東福岡を大舞台で輝かせる。

By サッカーキング編集部

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