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『FOOT×BRAIN』プロデューサーが語る「学生時代の留学経験とテレビ東京 スポーツ局入社までの経緯」/前編

2016.04.04

インタビュー・文=小松春生 写真=田口涼

―――現在はテレビ東京のスポーツ局 スポーツ番組部で活躍されていらっしゃいますが、まずは入社される前のお話をお聞かせください。どういった学生生活を送られていましたか?

加固敏彦 サッカーや音楽といった自分の好きなことをやっていました。中学の時にニュージーランドにファームステイをしたことがきっかけで、英語をきちんと喋れるようになりたいと思い、高校は「どうしても行きたい」と思った高校に行きました。9月入学制度もあるいわゆるインターナショナル的な高校です。今もあるかはわかりませんが、大学時代は学内の試験を受けて何人かが留学できる交換留学で、イギリスにも行きました。
今は好きなサッカーを仕事にできていますが、「この仕事をやれる」と決まっていたわけではないですし、学生時代にマスコミの仕事と直結する何かを特別にやっていたわけでもありません。将来のことを見据えて準備をしたというより、当時自分がやりたいと思ったことを必死にやっていた、ということです。学生時代はそれでいいと思いますね。

―――結果、それが今に生きているということですね。

加固敏彦 もちろんそうです。好きなこと、やりたいことをやってはいました。でも、その中に自分が引っかかる“何か”はあったんですよね。「何をすればいいかわからない」とか、「今の自分は何をしたいのか、わからない」ということはありませんでした。「英語を話せるようになりたい」「希望の高校に進学したい」など、その時々で目の前のやりたいことをしていました。その都度「やりたいこと」はありましたね。サッカーは大学1年生までやっていたのですが、2年時にイギリスへ留学したことが、様々な意味で転機になりました。

―――転機となったイギリスで一番刺激的だったことは何でしょうか?

加固敏彦 様々な国から来た留学生がいる中、イタリア人やフランス人など、母国語が英語ではない人たちと仲良くなった記憶があります。外国人の友達がたくさんできましたが、現在と決定的に違うのは、携帯電話やメールがなかったこと。だから、その後当時の友人と全く連絡が取れなくなってしまったことはずっともったいないと思っています。イギリスを離れる時は当然住所を聞いたりして、何回か手紙のやりとりはしましたが、やはりそのうちやらなくなってしまいました。大きな財産だったと思いますが、その後全く彼らとつながりがなくなってしまったのは残念です。いい思い出ではありますが。

―――留学などの国際経験を得て、卒業後はテレビ東京に入社されました。当時はどういった志を持っていらっしゃいましたか?

加固敏彦 就職活動では、新聞とテレビを志望していました。他業種も受けてはいましたが、そのときは「書く」ということが自分に向いている気がしていて。新聞に行きたいな、という気持ちの方が強かったように思います。でもテレビ業界は内定が早く出るので、内定が出たタイミングで他の就職活動はやめてしまいました(笑)。

―――入社後すぐは、どういったお仕事をされましたか?

加固敏彦 今と比較すると、20年前は仕事がそこまで細分化されていなかったので何でもやりました。今は記者になれば取材をしてニュースの原稿を書く、『FOOT×BRAIN』のように番組配属となれば番組のADをやる、といった具合です。入社した当時は、スポーツ局を希望して偶然配属されましたが、例えば1週間のうち3日間は現場に行って取材をして原稿を書き、記者活動をしました。残りは「番組のADをやってみなさい」と。現場の右も左もわからないけど「そこにいなさい」という1週間です。でも、毎日新しいことばかりで刺激的だったので楽しかったですね。その「何でもやる」という時期が1年くらい続きました。全てが知らないことですし、覚えていかないと次の仕事にいけない。当然ですが、「知ろう」と思って臨んでいました。

―――スポーツ局に配属された経緯を教えてください。

加固敏彦 まずは一カ月の研修がありました。今はそんなに長くはやらないようですが、当時はそうでした。
座学を受け、関係のある会社に講義を聞きにも行きました。最後は泊りがけで保養所へ行き、帰ってきた翌日に配属が言い渡されました。研修の最後に配属の希望を書くんです。いろいろな人の話を聞いて、入社時に希望していたものと変わっていないかの意思確認をして研修が終わります。僕は入社時から変わらずにスポーツ局を希望して、運よくそのまま配属されました。

―――スポーツ局を希望されたのは学生時代からスポーツが好きだったからですか?

加固敏彦 そうですね。それは会社の入社試験から一貫して変えていないと思います。でも強い希望があったとしても1カ月の研修と適性を見て、他の部署に配属されることはよくあることです。あとは、今の立場になってわかるんですが、「好きです」とたくさん言い続けると、「じゃあ、違うところをまずやらせるか」と、会社側が考えることも絶対にあるかな、と思うので、たまたま希望通りに配属してもらったという感じです。

『FOOT×BRAIN』プロデューサーが語る「日韓W杯でのチーフディレクター経験とアメリカ駐在で初めての野球、さらに松井秀喜選手を担当した話」/中編
『FOOT×BRAIN』プロデューサーが語る「番組の裏側とメディアで働くことについて」/後編

株式会社テレビ東京
スポーツ局 スポーツ番組部
加固敏彦(かこ としひこ)

1974年7月19日生まれ、東京都出身。
1997年株式会社テレビ東京入社。スポーツ局に配属され、スポーツニュースの記者、スポーツ中継のディレクターとして活躍。
2002年日韓W杯ではテレビ東京W杯放送の総合チーフ、2004年アテネ・2008年北京五輪ではディレクターとして現地取材を務める。
2005~07年はニューヨーク支局に勤務し、メジャーリーグを担当。
2011年4月より「FOOT×BRAIN」のプロデューサーを務め、入社以来19年間スポーツ局一筋。

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By 小松春生

Web『サッカーキング』編集長

1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。イギリスと⚽️サッカーと🎤音楽と🤼‍♂️プロレスが好き

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