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【短期集中連載】ゲームライター丸谷の『FOOTISTA塾』…… 第5回「開発スタッフに聞く『FOOTISTA』の新常識(後編)」

2019.03.20

 短期集中連載「ゲームライター丸谷の『FOOTISTA塾』」、第4回、第5回では『FOOTISTA』の開発スタッフにインタビューを敢行し、「試合」パートについて話を聞きました。「試合で何をすればいいのか分からない」という“『FOOTISTA』デビュー組”も、「『WCCF』からの変更点が多くてついていけない」という“旧『WCCF』からの移行組”も必見の内容です。連載最終回の第5回では、インタビュー「後編」をお届けします!

前編はこちら!

<連載のバックナンバーはコチラ:第1回 第2回 第3回

※ゲーム画面は開発中のものです

文=丸谷健太(ゲームライター)

■「ホットライン」、「マンマーク」の攻防と、“分析”が試合のカギ⁉

ーー前編では「ホットライン」の話を詳しく聞かせてもらったので、「ホットライン」と対になっている「マンマーク」のシステムに関しても教えてください。「マンマーク」は指示した時点で一番近い選手のマークにつくということですが、「マンマーク」設定後にポジションを変えた場合はどうなるのでしょう? たとえばセンターバック(A選手)に相手チームの1トップ(B選手)をマンマークするように指示した後に、A選手のポジションをサイドバックに変更してもB選手をマークし続けるのでしょうか? それともA選手をサイドバックにした時点で最も距離の近い相手選手にマンマークが移るのでしょうか?

プログラマーN(以下、N) 監督であるプレイヤーさんが解除しない限り、常に最初に「マンマーク」を指示した相手選手をマークし続けます。よって、例に出してもらったようなシチュエーションですと、A選手をどこのポジションに置いても守備時は常にB選手をマークします。『FOOTISTA』の「マンマーク」は(ゾーンで受け渡すなどはしない)文字どおりの純粋な「マンマーク」です。

プランナーK(以下、K) まず覚えてもらいたいのは、マークする対象者はカードの位置で決まるということです。なので、レーダーを確認して、「マンマーク」したいカードの近くでこすってEボタンを押す、ということが重要です。「マンマーク」に関しても当然駆け引きがあって、「マンマーク」されているのが分かっているのであれば、マークされている選手のカードを動かしてマーカーを引っ張ってスペースを作ったり、生まれたスペースを別の選手に使わせたりと攻撃にも生かせます。「マンマーク」を解除すればその選手はもちろんカードを置いている位置に戻るので、監督の状況判断が大事になってきます。

「マンマーク」を発動している状態。選手の足元やレーダー上の「総合値」に◯が付いている選手が「マンマーク」を発動している選手とその対象選手

ーー「スキル」や「ホットライン」、「マンマーク」を使って対人戦を進めていくと、お互いのチームに「スキルブレイク」や「ホットラインブレイク」が発生していくと思うのですが、このレベルの攻防はCPU戦だと分かりにくいですよね? 特に相手に「ブレイク」を決められたときのマズさが分かりにくかったのですが、対人戦で「ブレイク」をされるとどのような状況になりますか?

K まず『FOOTISTA』の守備のシステムを整理すると、「スキルブレイク」は守備スキルを発動した選手が攻撃スキルを発動中の相手選手からボールを奪うと成立し、相手の攻撃スキルを解除します。対して「ホットラインブレイク」は、「マンマーク」対象の相手選手からボールを奪った歳に、その相手選手が「ホットライン」に含まれていた場合に成立します。成功すると相手の「ホットライン」を解除するだけではなく、「ホットライン」に関係していた相手選手すべての攻撃スキルも解除できます。「ホットライン」も攻撃スキルも消えるということですから、「スキルコンボ」の効果ももちろん消えます。つまり「マンマーク」一つの指示コストで、相手のコストを最大4つ打ち消すことができるんです。

ーー「ホットラインブレイク」を決められると、「ホットライン」が赤くなってから解除されますけど、この状態になるとその「ホットライン」はしばらく使えなくなる?

K いえ、指示コストさえあればすぐに使えますから、「ブレイク」されてももう一回仕掛けるというのもアリです。「ホットライン」は監督がどこから攻めるのかを意思決定するものなので、指示コストがある限り、そこに制限はありません。ただ、対人戦で4つの指示コストを奪うっていうのはすごく大きくて、相手の指示コストがたまるまで攻撃を封じられるので、決まれば見返りは大きいかと思います。

K 『FOOTISTA』の試合で何をするのか、という部分をまとめてみましょう。まず、相手のフォーメーションを見て分析し、攻撃ではどう攻めるかといった組み立てを考えて、守備では相手の攻撃にどう守るかを準備をします。『FOOTISTA』ではその組み立てを攻撃スキルや「ホットライン」で行い、守備の備えは守備スキルと「マンマーク」で対応するという設計になっていて、監督であるプレイヤーさんがこれらの要素をどう使っていくかで駆け引きが生まれるようになっています。そして、試合が進んでいくなかで攻撃側は「ホットライン重視」やシュートボタンを使って仕掛け、守備側はプレスボタンやキーパーボタンを使って対応していくと。さらにそこには、攻守どちらもカード移動といった操作も加わってきます。

ーー『WCCF』はカードをとてもよく動かす方と、全く動かさない方が共存するゲームでした。これまで頻繁にカードを動かす方からは、『FOOTISTA』ではカード移動に対する縛りが厳しい、という声も聞かれます。

K 『FOOTISTA』では、基本的にフォーメーションどおりにカードを登録するところから始まります。そのことに“縛られている感じ”を受けると思うんですが、カードを動かして何かアクションを起こすというのは、今までの『WCCF』と同様に重要な要素になっています。いきなり『WCCF』で全国大会に出ていた監督さんのようなレベルで動かすのは難しいとしても、相手のフォーメーションを見てスペースのある場所にカードを動かしたり、ハーフタイムでフォーメーションを変えたり、工夫をしてもらったほうがいい結果を出しやすいんです。実際のサッカーでもフォーメーションがかみ合う、かみ合わっていうのはありますから。最初から相性がよければ動かさなくてもいいのですが、試合に入って「イマイチだな」と思ったら、カードを動かして対応したほうがいいですね。

ハーフタイム中に相手チームの情報を表示した画面。前半の状況や相手の布陣に応じてここでフォーメーションを変更するのも一つの手だ

K フォーメーションの存在というのは、初心者の方に分かりやすさを提示している側面もあるんですよ。選手カードをどこに置いていいのか迷う、というのは初心者の方によく見られた光景だったので、『FOOTISTA』では試合前の“初期配置”や、ポジションの境目を分かりやすくしています。

ーー『WCCF』ユーザーだった方は、そこまでフォーメーションに縛られずに遊んでいい。というより、今まで以上に自由にやってくださいというバランスになっているんですね。

K フォーメーションはあくまでもベースとして捉えてほしいですね。フォーメーションは決してプレイを縛ろうとしているのではなくて、指示コストの残量をマネージメントしながら、「これを基準にして『FOOTISTA』の駆け引きをしてほしい」という意図もあります。そこは今後も伝えていきたいと思っているところです。

■ヘビーユーザー必見⁉ 試合の勝敗を分けるディティールに迫る

ーーせっかくの機会なので、試合に関わるミクロな部分に関しても聞かせてください。まずは『FOOTISTA』での「プレス」ボタンの効果から。「プレス」ボタンを押しているときは、どれくらい体力を消耗するのでしょうか?

K ボタンを押している間、通常のおよそ2倍のスピードでスタミナが減っていると思っていただければよいかと思います。

N スタミナもそうですが、一人の相手選手に対して自チームの二人が「プレス」を掛けにいくので、スペースを作ってしまう。その点に注意すると、より有効に「プレス」を使っていけると思います。

K 見極めが大事ですね。ここは空けていいスペースなのかどうなのかを判断したうえで「プレス」を使えば、いい結果につながりやすくなると思います。

ーー今作は「プレス」の指示を聞かない選手っていうのはいませんよね。たとえメッシでも、「プレス」ボタンを押せばガンガン行きますし。

K そうですね。ただ、どの選手が「プレス」を掛けるのかは、相手のボール保持者との位置関係で変わります。たとえば、A選手がボール保持者と距離的に近くても、より自陣ゴール寄りにいるB選手がプレスにいくケースもあります。それと、「プレス」ボタンを押し続けている間は「プレス」を掛けにいく選手が切り替わらないので、想定と違った選手がプレスを掛けにいった場合は、一度ボタンを離してから再度「プレス」の指示を出すといいと思います。

「プレス」を発動した状態。青の点線が引かれている選手2名が、相手のボールホルダーに向かってプレスを掛ける

ーーすべての選手が適正ポジションを守っている際の指示コストがたまるスピードと、そうでないときのスピードの差はどれくらいあるのでしょうか?

K すべてのフォーメーションに選手が配置されていると、回復スピードが約4倍にアップします。ちなみに、フォーメーションエリアからカードがはみ出してしまっても、指示コストの回復が通常スピードに戻るまでには一定時間の猶予があります。そのため、カードをこすった際にエリアをはみ出してしても、すぐに戻せば回復スピードに影響はありません。

ーーCPU戦の場合指示コストが余りがちですが、対人戦の場合はやはりそうはいかない?

K プレイがうまいプレイヤーさんと試合をすると、まず足りなくなりますね。

N 対人戦ではお互いの「ブレイク」が機能しますからね。

K スキルや「ホットライン」を発動した瞬間に「ブレイク」されると、けっこう心が折れますよ(笑)。

ーー指示コストは1試合でどれぐらい溜まるものですか?

K 一切フォーメーションどおりに選手を配置しなくても、試合中に3つ程度はたまります。あと試合前に3つ、ハーフタイムに3つ回復するので、どんな試合展開でも9個は使えますね。

ーー1試合に使える指示コストを考えていくと、指示コストの最大値が3から5になるスキル「キャプテンシー」はかなり強いですね。

K そうですね。チームに一人は入れてもらいたいと思って作っているところはありますね。実際のチームでも一人はキャプテンシーのある選手がチームにいないとまとまらないだろうと。

N 指示コストが3でも十分『FOOTISTA』のシステムを使った攻防ができるようにはしていますが、「キャプテンシー」持ちの選手がいたほうが戦いやすいのは間違いないですね。とくにゲームを始めたばかりの序盤はそうです。

スキル「キャプテンシー」を発動すると、指示コストの最大数が増える

K フォーメーションエリアを埋めることで指示コストの回復スピードがアップすることはすでにお話ししましたが、このマネージメントも監督として重要なタスクの一つになります。指示コストが最大限までたまっているときはそれ以上ためる必要がないので、何かを仕掛けるチャンスでもあるんです。フォーメーションを崩して攻撃の枚数を増やしてみたり、勝っている状況であれば守りの枚数を増やしてみたりと。もちろん、指示コストがたまり切っていなくとも、指示コストがたまりにくいというリスクを負ってでも点を取りにいかなければならない状況もあるかと思います。いくのか、いかないのか、そういった判断が重要ですね。

ーー今作では試合中に対戦相手の総合値などの情報が見られますが、スキルで上がった状態の相手の総合値などは見られない、また、こちらの情報も相手に伝わっていないという理解でよいですか?

K そこはさすがに見えませんので、安心してください(笑)。ただ、お互いに「スキルコンボが発動した」という情報だけは表示されます。「スキルコンボ」はかなり強くバランスが取られていますので、これをきっかけに駆け引きが生まれるようヒントとして表示しています。とはいえ、それも発動した瞬間に表示されるわけではないので、ずっとレーダーを見ていて「さっきこのカードとこのカードが動いたから、今相手が使っている『スキルコンボ』は〇〇だ!」という特定はできません。逆に「スキルコンボ」を発動してから別の選手カードをこすっておくと、相手はそっちの選手の「スキルコンボ」を発動したなと思うぐらい、相手側に表示されるまでのタイムラグをあえて設けています。

ーーここまでお話を伺ってきて、やはり『FOOTISTA』はかなり対戦に寄っているゲームなんだなと感じました。『WCCF』は理想のクラブを作って、それをいかに試合で貫き通すかという部分が強かったと思うんですが、『FOOTISTA』では「相手のことも見よう」というバランスになっている印象です。

K まさしくそのとおりで、いままでの『WCCF』は自分が思う最強チームを育成して、そして戦うというゲームだったのですが、『FOOTISTA』は相手がどうくるか、それをどう受けるかを考えつつ、さらに自分の色も出す感じにはなっていると思います。そのぶん、試合中に考えることがいろいろあります。

N 相手のことをちゃんと見て自分がどうするか考えるというのは、『FOOTISTA』ではかなり重要ですね。

ーーバランスの問題ですよね。ジョゼップ・グアルディオラがいくら理想を貫きとおすと言っても、当然守備のケアもしているし、相手によって攻め方も変えているし。

N そうですね(笑)。

K これまでの『WCCF』では、見えない部分、可視化されていない部分が多かったため、プレイヤーさん自身で『WCCF』ならではの攻防を発見していただいたうえで、対戦相手もそれを知っていて初めて駆け引きが成立するという感じでした。それってすごくハードルが高いことだなと思ったんです。今回、『FOOTISTA』でいろいろとゲームのシステムを変えて情報を可視化させたのは、そういった駆け引きをより多くの人に体験してもらいたかったという気持ちが大きいですね。

N 成功と失敗を分かりやすくしたかったんです。たとえば相手が左サイドに「ホットライン」を引いているのにこちらが右サイドの選手にマンマークをつけていたら、スペースができるじゃないですか。『FOOTISTA』ではそれを後から振り返って、「全然違うところをマークしていたんだな」というのが分かるようにしたかった。逆に、うまくいったときの「読みが当たった!」「うまく試合を進められた!」という気持ちよさもダイレクトに感じられるようになっていると思います。

K そういう意味では、プレイヤーさんの個性が出せるゲームになっていると思います。『FOOTISTA』の試合は後から見て分析しやすいですし、相手と「ここがこうだったよね」という話ができる内容になっているので、プレイヤーさんにはそういった部分も楽しんでもらいたいですね。

前編はこちら!

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