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[第682回toto]J1全18クラブ番記者情報

2014.03.20

甲府-横浜M

■甲府
甲府にとって前節・新潟戦の前半は、城福浩監督が「F東京戦よりはるかに良かった」と評価するように、今後への手がかりとなる好内容だった。長いボールを使って相手のDFを下げつつ、1トップ盛田剛平に当てた後の二次攻撃が機能。盛田がゴールを挙げただけでなく、彼の起用で他の選手も自由を得た。決定機でのミスが響いてゴール数は「1」にとどまったが、 “いい形でフィニッシュに持ち込む”場面は新潟より多かった。また“幅と深み”を上手く使うことにより、自らのミスでカウンターを受ける場面も減らすことにも成功した。
一方で後半の試合運びにはなお課題が残る。新潟にボールを持たれて押し込まれ、引き過ぎてセカンドボールを拾えない展開となった。流れの中での失点こそなかったが、開幕戦で4失点を喫したセットプレーから、再びゴールを奪われている。悪い流れ、押し込まれる展開になれば、アクシデントやセットプレーから失点を喫する確率は必然的に高まる。これに対して、城福監督はただ耐えるだけでなく、適切なタイミングでボールを奪いに踏み込む、流れの“断ち切り方”をチーム内で確認したと明かす。
ただそうなった理由は前半から長いボールを多用して“飛ばした”ことによるスプリント、競り合いの増加だろう。加えて甲府はベテランが多く、10名は15日の新潟戦、19日のナビスコ杯名古屋戦に連続出場をしている。試合運び、後半の運動量低下は甲府の懸念材料だ。(大島和人)

■横浜M
16日間で5試合に挑む過密日程のラスト5試合目となる甲府戦は、チームの総合力が試される。主力の大半が片道8時間のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)第3戦メルボルン・ビクトリー戦(18日)から中4日だが、国内にとどまった3人が勝利へと導く。
主将のMF中村俊輔、最終ラインを統率するDF中澤佑二、2ゴールを記録するFW伊藤翔だ。前節徳島戦ではACL第2戦広州恒大戦(12日)でベンチ外だった富澤清太郎、藤本淳吾、伊藤が得点するなど、ターンオーバー制が好循環を生み出した。メルボルン戦では押し込みながらも、決め手を欠いて0-1の惜敗。チームに漂う嫌な流れを変えるのは、攻守の軸を担うベテラン、そして勢いに乗るストライカーの役目となる。
甲府戦は2006年8月以降、リーグ戦4勝3分と相性も悪くない。開幕から3試合連続無失点の堅守が3試合で2得点の甲府攻撃陣をシャットアウトする。
ただ、体調面の不安は尽きない。日本代表の齋藤学、右SB小林祐三はゼロックス・スーパーカップを含め7試合連続で先発を張る。メルボルン戦では齋藤がドリブルで交わせないシーンも目立った。アタッカーの回復具合が勝敗の鍵を握りそう。昨季、甲府とは2引き分け。「昨年のことを考えると、どんな時でも勝ち星を積み上げたい」と富澤。開幕6連勝を遂げた昨季の再現へ、まだまだ白星を追い求める。(totoONE編集部)

徳島-柏

■徳島
開幕後、リーグ戦3連敗中。平均失点数3以上、無得点と「堅守速攻」を掲げる徳島にとっては攻守においてプラン通りの試合運びができていない。第2節C大阪戦の後半には守備が安定し、中盤でボールを回せたことでチャンスを作ることができた。しかし、同じ守備陣で挑んだ前節の横浜M戦では、前線から早いプレスを受け、中盤が前を向いてプレーできなかった。結果として自陣で守備をせざるを得ない時間が続き、90分を通して苦しい展開となった。しかし、FWを高崎寛之・クレイトン・ドミンゲスの2トップに変更し、今後に期待できる形も見ることができた。高崎は高さで競り勝ち、周りのサポートさえあれば、攻撃へ転じるシーンをもっと増やすことができた。クレイトン・ドミンゲスはボールを足元で収め、ドリブルで持ち運び、今まで無かった攻撃パターンを作ることができた。
今節も厳しい戦いになることは避けられそうにないが、対する柏も未勝利と完全に仕上がってはいない。ナビスコ杯を挟むタイトなスケジュールだが、横浜M戦に出場したメンバーを温存し、悪くないコンディションで挑めそうだ。連敗続きと苦しい状況だが、今節はJ1参戦後、リーグ戦として2度目のホームゲーム。多くのファン・サポーターが詰めかける中、同じことを繰り返すわけにはいかない。フィニッシュで終わる形を増やすことができれば、守備の負担は減り、得点のチャンスも生まれるはずだ。(totoONE編集部)

■柏
ここまでリーグ戦3試合を終えていまだ勝ち星なしの柏。ただ、水曜日のナビスコカップでは勝利を挙げ、見せ場の少ない試合となった前節の悪い流れを断ち切ることができた。連続で失点を喫しているとはいえ、GK菅野孝憲を中心に守備陣には安定感があり、3バックに戻すことでより守備力には厚みが加わった。また、フィジカルコンタクトに長け、球際の争いに強く中盤でボールを奪えるハン・グギョンが、その実力を徐々に発揮し始めており、チームとして比較的高い位置でボールを奪うシーンが増えている。
しかし、守備の好調とは対照的に、攻撃陣には物足りなさが残る。開幕戦では工藤壮人、レアンドロ、レアンドロ・ドミンゲスの3人で素晴らしい崩しを見せたが、前節は攻撃陣が前線に張り付いてしまい、全く機能していなかった。柏にとってさらに痛いのは、攻撃の核であるレアンドロ・ドミンゲスの欠場が濃厚であるということだ。水曜日のナビスコ杯を回避してリーグ戦に照準を合わせて調整中という可能性もあるが、“キング”を欠けば柏の攻撃力ダウンは否めない。システムもキャンプで取り組んできた3バックを4バックに戻したかと思えば、ここに来てまた3バックに戻している。今節も3バックで臨む可能性が高いが、どちらが最適のシステムかは、まだ見えてこないというのが現状だ。(鈴木潤)

鹿島-C大阪

■鹿島
鳥栖との首位決戦を制した鹿島は3-0で開幕3連勝を果たし、無失点も継続させた。鳥栖戦でゴールを決めたのは、青木剛、土居聖真、豊川雄太。これまで攻撃の中心を担ってきた遠藤康やダヴィではない選手たちだ。特に土居と豊川はこれからの鹿島を背負っていく選手なだけに、彼らがシーズンの早い段階でゴールを決めたことは今後に繋がっていくはずだ。今節の対戦相手はC大阪。柿谷曜一朗、フォルランを擁する攻撃陣の破壊力は抜群。多彩な攻めを見せる相手に対し、無失点の鹿島守備陣がどれだけ堅固さを見せられるかがポイントになるだろう。水曜に行われたナビスコ杯F東京戦では、8分に今季初めて先制点を許すと、10分にも立て続けに失点。さらに後半も攻撃のエンジンがかかってきた71分に失点するなど、追う展開での脆さを見せた。3連勝できたのも先手を奪い試合を優位に進めてきたからこそ。「次は追う展開でどういう鹿島が見せられるか」と鳥栖戦後に土居が懸念していたとおりの課題を残した。また、試合の入り方がよくなかった鳥栖戦と同じ問題点を、F東京戦でも続けてしまった。ナビスコ杯の敗戦を引きずらず、うまく切り替えてリーグ戦に臨めるかどうか、若い選手たちのメンタリティが問われている。最後に、新加入のジャイールの登録が完了し、この試合からピッチに立てる予定だが、トニーニョ・セレーゾ監督の戦術は未消化のため途中出場が見込まれる。(田中滋)

■C大阪
J1リーグ戦、ACLともに、ホームでの初勝利を果たし、現在公式戦2連勝中。しかも、いずれも4得点の大勝。ACLブリーラム・ユナイテッド戦では、フォルランに待望の来日初ゴールも生まれ、持ち前の攻撃力にもエンジンがかかってきた。その中で、チームの原動力となっているのは、南野拓実。ブリーラム戦で今季初得点を含む2ゴールを決めた若きストライカーは、推進力に長け、力強いドリブルや柿谷曜一朗らとのコンビプレーなどで好機を作り続けている。現在リーグ戦6連敗中と、苦手にしている鹿島との対決だが、強気な19歳の活躍などで、この鬼門も打破したいところ。また、清水戦ではゴイコ・カチャル、ブリーラム戦では染谷悠太と、新加入DFが活躍。守備陣をはじめ、選手層に厚みが出てきているのも好材料だ。鹿島戦までは20日間連続オフなし、5試合をこなす過密日程だが、選手をうまく入れ替えながら連携を高めていくランコ・ポポヴィッチ監督の傭兵術が、この一戦ではどのような形で実るのかも、見どころの一つになりそうだ。あとは、ゴールこそ生まれたとはいえ、フォルランを使った攻撃という点で課題が残っているのも事実。いかにこのワールドクラスのストライカーにボールを供給できるかも、鹿島戦のテーマとなるだろう。(totoONE編集部)

名古屋-神戸

■名古屋
リーグ戦2連勝中の名古屋。勢いが出てきているだけでなく、内容面の成長が著しい。前節・柏戦の前半は、2列目の選手までが絡む、厚みのある攻撃を披露。主導権を握ったアグレッシブな戦いは、開幕3試合で一番の出来だった。さらには大砲・ケネディが絶好調。昨季はけがで出遅れ、波に乗るまで時間がかかったが、2ゴール2アシストとエンジン全開の活躍を見せている。ナビスコ杯を若手主体で戦ったことで疲労もなく、チームを底上げすることもできた。プラス材料は多く、万全の状態でホーム2戦目を迎えられそうだ。
ただし、「正直、相手に助けられた部分もあった」(玉田圭司)と、反省を促す声もある。柏戦では多くのチャンスを作ったものの、主導権を握ったわりに決定機と呼べる場面は少なく、唯一の得点もケネディの高さでもぎ取ったものだった。安定感を増してきている守備にしても、相手の攻撃が迫力不足だった点は否めない。したたかな相手ほど、一瞬の隙を突いてくるもの。連勝にも地に足をつけているからこそ、チームの伸びしろを感じさせるが、先制点の行方次第では別の結果になっていたかもしれないだけに、玉田の危機感をチーム全体で共有したいところである。
3連勝を懸けて迎え撃つは、大型補強を敢行した神戸。成長途中のチームが現在地を計るには打って付けの“難敵”と言えそうだ。力のある相手を崩し切るだけの精度を備え、主導権を握った中で、まずは先手を取りたい。(totoONE編集部)

■神戸
J1第3節のF東京戦では、シンプリシオや小川慶治朗が不在の中、終盤は苦戦を強いられるも、森岡亮太の今季初得点や、GK山本海人、DF岩波拓也らの身体を張ったプレーもあり、待望のJ1復帰後初勝利、J1通算150勝をホームで達成することができた。リーグ戦では負けなしをキープした中、今節ではかつて神戸を率いた経験を持つ名将、西野朗監督率いる名古屋との対決に臨む。その中で、開幕戦のシンプリシオ、第2節のペドロ・ジュニオールに続き、第3節ではマルキーニョスにも加入後初得点が生まれ、早くも新ブラジルトリオが揃い踏み。シンプリシオが出場停止から復帰する今節では、この3人のコンビプレーに、さらなる期待が膨らむ。また、開幕2試合ではスーパーサブで、F東京戦とナビスコ杯のG大阪戦では先発でプレーした19歳の松村亮は、今、注目の逸材。若きドリブラーは、神戸の攻撃にアクセントを加え、F東京戦では2得点に絡み、前線からの守備でも貢献しているだけに、この17番の起用法にも注目したい。ただし、メンバーを入れ替えて臨んだ19日のG大阪戦では、0-2と今季初黒星を喫した。攻守両面で課題を露呈しただけに、短い間隔でどこまで修正できるかもポイントになる。リーグ戦7連敗中、10戦勝ちなしと、神戸にとって名古屋戦は鬼門だが、ここを打破することがチームの成長につながるはずだ。(totoONE編集部)

大宮-仙台

■大宮
「勝ち点3は一番の薬」、「オフ時のメンタルが全く違う。良いメンタルで次の試合の準備ができる」と大宮の選手たちは、今季初勝利がもたらしたプラスの効果を口にしている。しかし、「後半は押し込まれ過ぎた」と話すのは渡邉大剛。そのような状況の時、どう打開すればいいのか? 「まずはボールホルダーにもっとプレッシャーにいく。奪ったボールを攻撃に繋げられなかったので、もう少しブロックを前にしてマイボールを中継できるようポジションを取る」(渡邉)。また、ボールの取りどころがしっかりしてしない、攻撃への切り替えが上手くいかない、そういう状態が続いて攻撃意志を示せなかったために、川崎にどんどん人数・圧力をかけられたとも分析した。
一方、ボランチ片岡洋介は「開幕2戦で勝てずに凄く責任を感じていた。勝って自分に自信がついた。自分にとっても大きな1勝だった」、「(3試合を終えて)守備は引けているが、前への力も与えていかないとけない。正直、不安な気持ちが多かったが、一言で言えば慣れてきた」と話した。徐々にチームにフィットしてきていると言えるだろう。GK北野貴之は「この劇的勝利は、今後どんな状況でも自分たちは勝ちにいけるという自信をもたらした」と話す。
改めて、今季のチームコンセプトを渡邉に聞いてみた。「監督は自由にやらせてくれているが、逆にコンセプトが明確でない分、立ち返ることが難しい」と話した。初勝利を手に入れたとはいえ、まだまだチームの完成には程遠いのかもしれない。劇的な逆転勝利で自信をつけた大宮、次節どのような戦い方を見せてくれるか楽しみだ。(上野直彦)

■仙台
リーグ戦の初勝利が待ち遠しい仙台。前節は押しながら勝ち点1を挙げるにとどまったが、内容面で手応えを得たことも事実。この感触を勝利につなげたいところだ。
大宮戦を前に、仙台はナビスコ杯を19日に戦った。アウェイの連戦になるためコンディションが気になるところだ。というのも、大宮は19日に試合を消化していないためだ。仙台はウイルソン、リャン・ヨンギ、太田吉彰、菅井直樹といった選手を19日は休ませたが、彼らの状態を考えた上でグラハム・アーノルド監督がどのようなメンバーを選ぶかに注目だ。角田誠がまだ負傷から復帰していないことから、代わりに入るボランチには攻守における選手間の距離をうまく調整することが求められる。
ナビスコ杯との兼ね合いでいえば、プラス材料もある。19日に出番をつかんだ八反田康平らが新しく与えた刺激が、チームを活性化させることを期待したい。また、その前のリーグ戦前節からの流れでいえば、G大阪をシュート1本のノーゴールに抑えたことで、守備面での自信は深まった。あとは3試合でわずか1点の得点力をどうするのかが継続課題だが、G大阪戦で試みた武藤雄樹のトップ下起用には、1トップのウイルソンの孤立化を防ぎ、攻撃に厚みを加える効果があった。攻撃の切れ味を増し、勝ち点3を獲得したい。(板垣晴朗)

浦和-清水

■浦和
一部サポーターが差別的な横断幕を掲げた問題に揺れる中、浦和は王者・広島に2-0と完勝。膠着状態になりがちだった試合展開で、攻め急いでバランスを崩すことなくキッチリと白星を手にした。また、今季は特に意識している守備の安定感も保てた。開幕から3試合でわずか1失点と結果が出ていることで、選手たちは手応えを掴んでいる。
昨季、清水とは1勝1敗と五分の成績だったが、ペトロヴィッチ監督は広島時代を含め、アフシン・ゴトビ監督には4勝1敗と相性の良いところを見せているのは心強い。広島戦は昨季機能した戦い方を踏襲する意味もあり、柏木陽介がシャドーで起用されたが、清水戦では再び柏木をボランチに戻し、攻撃力をより高めた今季の基本形で戦うことが予想される。
ただ、この試合では、森脇良太が出場停止で出られない。代役候補は坪井慶介と濱田水輝の2人。実績重視でいけば、ミシャ体制1年目で右センターバックのレギュラーを務めた坪井に軍配が上がるが、うまさに加えて高さもあるノヴァコヴィッチ対策として、鳥栖戦で豊田陽平をマークした濱田を起用するということも考えられる。
この試合で最も注目されるのは、やはりJリーグ史上初となる無観客試合の影響だ。特に、日本最大数を誇る浦和のサポーターは熱狂的な声援で愛するチームの背中を押し、立ちはだかる敵を圧倒的な声量で威圧していただけに、このイレギュラーな環境が選手たちのメンタルにどのように作用するのか気になるところだ。(神谷正明)

■清水
前代未聞の無観客試合は、浦和にとってはもちろん清水にとっても大きな影響を与えることになる。選手にとって、ブーイングはプレーをナーバスにさせてしまうことがある。今回はそれがない分、心理的に少し楽かもしれない。しかし、闘争心をそがれてしまう恐れもある。絶対に負けられないという雰囲気は、埼玉スタジアムならではのもの。良い意味でも、悪い意味でも影響が出ることは避けられない。
さて、試合に関してだが、清水はこのところ攻守において精細を欠いている。特に問題は守備だろう。第2節・横浜M戦では、右サイドに蹴り込まれた1本のロングパスから失点を喫したが、第3節のC大阪戦でも同じ形でやられている。浦和戦でも右サイドを狙われる可能性は十分にあると言える。ただ、右CBのヤコヴィッチが負傷中であり、左CBで起用されていた平岡康裕を右CBに戻す可能性が高い。カバーリング能力に秀でた彼が右に戻ることである程度は修正できると思われる。
対戦成績を見ると、2009年7月から4連勝を含む、7戦無敗という成績だったが、浦和の指揮官にペトロヴィッチ監督が就任して以降は2連敗。昨年4月、アウェイでバレーの一発を守りきり、ようやく勝利を手にしたが、続くホーム戦では惨敗。両サイドに人数をかけられると、最後は個の突出した能力に頼らざるを得なくなる。今季はそれが“ツインタワー”になるのであろうか。ナビスコ杯に出場して調整した長沢駿が一つのカギになると思われる。(田中芳樹)

G大阪-広島

■G大阪
「アウェイ2連戦で勝ち点4は悪くない」と言う丹羽大輝の見解はチーム全体の共通認識だ。連勝こそ逃したものの、前節もアウェイの仙台戦で手堅く勝ち点1をもぎ取った。選手たちが自信をにじませる根拠の一つが開幕からわずか1失点の守備力にある。
2年ぶりにJ1に復帰したG大阪は、従来の戦いぶりとは異なり、時に割り切って守る守備の堅さも持ち合わる。浦和戦ではセットプレーから1失点したが、リーグ戦3試合を終えて流れの中から崩された場面は皆無に近く、今野泰幸と内田達也のダブルボランチで中央を固める守備陣に大崩れはない。
ただ、堅守とは対照的に表看板の攻撃陣は未だ本領発揮にはほど遠い。仙台戦では試合終盤に放った苦し紛れのシュート1本にとどまっており、G大阪らしいパスワークで押し込む場面は数少ない。3試合で無得点のFW陣の奮起が必要だ。宇佐美貴史の離脱の余波をもろに受けている前線は、未だに理想型を模索している。攻守にハードワークする佐藤晃大の相棒探しは、まだ答えが出切っていないが、仙台戦で途中出場したリンスが随所に好プレーを披露。ナビスコ杯では先発出場しただけに、広島戦でもチャンスはありそうだ。
コンディションが万全でない遠藤保仁や岩下敬輔だけでなく、仙台戦では藤春廣輝もふくらはぎに違和感を覚え、ナビスコ杯の神戸戦を回避。昨年のJ1王者に挑む一戦に欠かせない主力の状態は気掛かりな点だ。(totoONE編集部)

■広島
カップ戦で勝利しているため、あまり相性を気にしたことはなかったが、実はリーグ戦における広島と万博競技場との関係性はすこぶる悪い。2000年4月8日、後半アディショナルタイムに服部公太のFKで同点に追いつき、上村健一のヘッドでのVゴール勝ちが、広島の万博におけるリーグ戦最後の勝利だ。90分での勝利でいうなら、1998年9月19日、伊藤哲也と久保竜彦のゴールで2-0の勝利を飾って以来、広島は万博で勝てていない。2点リードしても逆転された2005年。G大阪がJ2に降格し、広島が優勝した2012年も1-1で引き分けるのが精一杯だった。広島にとって最も勝てなかった会場はIAIスタジアム日本平(1996?2010)の15年間だが、万博との相性もその域に達しようとしている。
今季の万博対決も、広島には暗雲が漂う。リベロ・千葉和彦が前節の浦和戦で負傷し、ACL対FCソウル戦を欠場。今節の出場もどうやら厳しそうだ。さらにこの試合は、第2節の川崎戦から続く5連戦の最後にあたり、疲労もピーク。森保一監督も選手のやりくりに苦心せざるを得ない状況にある。
ただ、ソウル戦でACL初勝利を飾った広島の士気は上がっている。特に、公式戦4得点中決勝点が3点という塩谷司の存在は、相手にとって脅威そのもの。また、負傷から開幕に出遅れた髙萩洋次郎もソウル戦で1得点1アシストを記録し、復活ののろしを高々と上げた。苦闘の歴史に終止符を打つべく、紫の戦士は2年ぶりに万博に乗り込む。(紫熊倶楽部 中野和也)

新潟-鳥栖

■新潟
先制を許したアウェイ甲府戦だが、川又堅碁の同点ゴールで勝ち点1を持ち帰った前節。エースの今季初ゴールは、CKでニアに飛び込んで頭で合わせる“らしい一撃”。開幕戦で打撲した左ひざの痛みはまだ消えていないが、復調のきっかけになりそうだ。ナビスコ杯徳島戦の遠征に帯同せず、休養十分で鳥栖戦に臨む。
その徳島戦では若い力が躍動した。まず鈴木武蔵が2得点を記録。田中達也が腰痛で甲府戦のメンバーから外れて手薄になりかけたFW陣を活気づける。さらに高卒ルーキーの小泉慶がボランチでデビュー、フル出場。球際で恐がらないタフな守備、積極的なボールの集配で、堂々とアピールした。甲府戦、徳島戦と続けて先発したMF加藤大も、アタッキングサードでの密集を厭わぬパス能力でチームのポゼッションを高めている。
一方で左サイドバック、キム・ジンスのコンディションが上がらないのは不安材料の一つ。チームとしても公式戦4試合終えて無失点試合がなく、安定感に欠けている。(totoONE編集部)

■鳥栖
前節は鹿島との首位決戦に臨んだが0-3の敗戦を喫し、ホームでは約半年ぶりの黒星となった。スコアとしては大差がついたが、立ち上がりから多くのチャンスを作り出しており、選手たちに大きなショックは見られない。また、水曜日にナビスコ杯を戦った新潟と違い、鳥栖は予選リーグ第1節は試合が無かった。新潟戦に向け、しっかりと1週間、集中して準備できる分、有利な日程と言えるだろう。今季初の敗戦を喫した後ということもあり、どういうリアクションをチームとして取れるかが今節のテーマになるが、焦点は川又堅碁を封じ込めるかどうかだろう。昨季はリーグ戦2試合で合計6失点を喫している新潟戦だが、その全てに川又が絡んでおり、川又自身にも4得点を許している。勝利を目指す上で新潟のエース封じは避けては通れない道だ。そして、先制点は是が非でもモノにしたい。交代カードに攻撃的な選手が不足していることもあり、先行を許せば厳しい状況になる。そのためにも先行逃げ切りの展開に持ち込みたいところだ。チームのストロングポイントである安田理大とキム・ミヌの左サイドは、依然として好調を持続。昨季はリーグ戦でホーム、アウェイともに敗れている相手だけに選手たちのリベンジへの意識は強い。昨季の借りを返しにデンカビッグスワンスタジアムに乗り込む(totoONE編集部)

F東京-川崎

■F東京
ナビスコ杯予選A組初戦の鹿島戦で、F東京はレギュラー陣のほとんどを温存した。一方、川崎はACL第3節を南半球の豪州・シドニーで戦い、長距離フライトを経て日本に戻ってきた。主力のコンディション面では圧倒的に優位な立場にある上、相手は公式戦4戦続けて後半ロスタイムに失点を喫しているだけに、ゲーム終盤の戦いが勝敗のカギを握ることになりそうだ。
リーグ戦で2試合連続ゴール中のFWエドゥーが絶好調だ。決定力不足が叫ばれる中、左利きのストライカーは「もちろん、次の試合もゴールするよ」と意欲的。神戸戦の後半途中から移行したトップ下を置く新システムも良好で、マッシモ・フィッカデンティ監督は「チャンスはたくさん作れているので、ゴールを決めきるためにも同じように積極的な姿勢を示していきたい」と、攻撃姿勢を貫徹したい考えを強調した。
ただ、リーグ開幕3戦未勝利で、チームには停滞感が漂っている。今季は失点減を掲げ、「守備から試合に入っているので、失点すると厳しくなる」と太田宏介。そんな心理的な影響からか、失点直後に不安定になる戦い方は依然として改善されていないため、川崎に畳みかけられれば致命傷になりかねない。(totoONE編集部)

■川崎
悪い流れが止まらない。19日のACLは敵地で開始早々に失点を許し、それを巻き返せず、これで公式戦4連敗となった。5連戦のラストを締めくくる多摩川クラシコは正念場となる。
最大の敵は、なんといってもコンディションだろう。この4連戦でチームの疲労がピークに達しているのは想像に難くない。20日にチームは帰国予定だが移動はタイトである。そこから23日まで、どれだけ疲労を回復した状態で臨めるか。個々のコンディションにもばらつきがあるのは仕方がないところ。ベテラン勢のみならず、好調を維持していた小林悠など若手のプレーにも陰りが見え始めているのも懸念材料だ。左サイドバックに先発復帰した登里享平が負傷交代しており、このチーム状態をどう見極めて、誰をピッチに送り込むのか。風間八宏監督のマネジメント力が問われる試合だ。
明るい材料を探すとしたら、ミッドウィークのACLでレナトとパウリーニョといった主力外国人を温存できた点だ。特に、これまで何度も窮地を救って来たレナトの一発には期待したいところ。絶対的な存在である中村憲剛と大久保嘉人も後半からの出場だったため、疲労度は比較的軽い。苦しい時に頼りになるのは個の力でもある。1失点はしたものの、ジェシの復帰で守備陣は安定感を取り戻した。これまで築きあげてきたパスワークだけに固執することなく、前線のタレントの力でねじ伏せて勝つような、スパッとした割り切りがあっても良いはずだ。(いしかわごう)

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