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ユヴェントスでの充実ぶりを語るポグバ「絶対にレギュラーをつかむ」

2013.03.01

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ワールドサッカーキング 0307号 掲載]

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インタビュー・文=グイド・ヴァチャーゴ
翻訳・構成=高山港

 

昨夏にマンチェスター・Uからユヴェントスへと移籍したポール・ポグバは、わずか半年間で不動の中盤トリオを脅かすまでに成長した。スケールの大きなプレーで見る者の度肝を抜く規格外のルーキーが移籍の経緯、ユーヴェの現状、そして将来の目標を語ってくれた。

 

 

期待した以上の経験をさせてもらっている

 

まず、昨年の夏、マンチェスター・ユナイテッドからユヴェントスへ移籍した理由を改めて教えてほしい。

 

ポグバ(以下P―ユナイテッドは世界最高のクラブの一つだし、そこで僕は(アレックス)ファーガソンのような偉大な監督の指導を受けていた。もちろん、これ以上の環境はないと思っていたよ。ただ同時に、そこでは僕の将来はないとも感じていたんだ。ファーガソンからは何度となく「いつかお前の時代が来る」って言われていたんだけど、結局はリザーブチームでのプレーがメインで……僕が求めていたのはトップチームでのチャンスだった。それなりに通用するとも思っていたしね。そんな時、ユーヴェから興味深い話をもらったんだ。

 

ユーヴェはどんな形で君に接近してきたんだい?

 

P―ユーヴェに移籍することができたのは、代理人のミーノ・ライオーラのおかげさ。彼が仲介役になってくれたおかげで、僕は(アントニオ)コンテと出会うことができたんだ。コンテの第一印象はとても良かったよ。彼は、ユーヴェがどういったスタイルでプレーしているのか、その中で僕にどういった役割を求めているのかを具体的に説明してくれた。僕と顔を合わせる前からユナイテッド時代の僕のプレーを何度もチェックしてくれていたんだ。しかも、僕が2012-13シーズンの構想に入っていることもそこで知らされた。 「ここでならトップチームでのチャンスが必ず巡って来る」と確信して、ユーヴェ行きの話をすぐに受け入れたのさ。

 

その決断に後悔はしていない?

 

P―後悔なんてあるわけないよ。僕が期待していた通り、いやそれ以上の経験をさせてもらっているんだからね。ユーヴェでは多くの試合にスタメンで使ってもらっている。昨年10月のナポリ戦(ユヴェントスが2-0で勝利)ではセリエAでの初ゴールを挙げることができたし、チャンピオンズリーグ・デビューも果たすことができた。これ以上、僕に何を望めと言うのさ(笑)。

 

君の代理人のライオーラは、腕利きの交渉人だけど、クラブに大金を要求することでも有名だ。だから、君が好条件を提示するクラブに引き抜かれるんじゃないかと心配しているんだけど……。

 

P―ライオーラのことはよく知っているつもりさ。彼が周りからどういった見られ方をしているのかもね。選手の立場から見れば、彼のように選手の利益を考えてくれるのはありがたいよ。ただ、僕がユーヴェをすぐに離れるなんてことはあり得ない。僕はユーヴェというチームも、トリノという町もすごく気に入っている。もう僕の心は、ビアンコネーロ(白と黒)のカラーに染まっているからね。

 

君は瞬く間にユヴェンティーニに受け入れられ、ユヴェントス・スタジアムのアイドルになったね。

 

P―スタジアムのムードはいつも最高だよ。オールド・トラッフォードに引けを取らない独特な雰囲気を持っている。ファンのみんなが僕のチャントを初めて歌ってくれた時は、体中に鳥肌が立った。あの感動は忘れられないよ。

 

ちなみに、マンチェスター・Uの下部組織にいた頃は、どんな生活を送っていたんだい?

 

P―下部組織の他の選手と全く同じ生活さ。午前はユナイテッドと提携を結んでいる学校で勉強して、午後はトレーニングというルーティーンだった。ユース時代のほとんどは他の選手と一緒にクラブの寮で暮らしていたんだけど、ユナイテッドでのラストイヤーはマンチェスターに引っ越してきた母親との2人暮らしだったんだ。

 

僕はイタリアのサッカーが大好き

 

ユーヴェの一員になって、最も強い印象を受けたチームメートは誰?

 

P―(アンドレア)ピルロだよ。彼と一緒にプレーできることを本当に喜んでいる。彼のボールコントロールやパスの精度、冷静さには驚いたよ。複数の相手に囲まれても平然といなし、逆にマークを引きつけたら、フリーになった味方や手薄なスペースにパスをさばく。彼のプレーはすべて、プレイステーションのサッカーゲームのように正確で、周りが見えている。彼こそサッカー界の“モンスター”だよ。

 

君はそのピルロが担っているアンカー、もしくはアルトゥーロ・ビダルやクラウディオ・マルキージオが担っている一列前のポジションで起用されている。コンテは君をアンカーの選手として育てる方針のようだけど、君自身はどちらに適性があると思っている?

 

P―個人的には、ピルロのポジションよりビダルのポジションのほうが向いていると思っている。レジスタとしてプレーするのは好きだよ。でも僕は、ピルロほどの視野の広さを持っているわけじゃない。僕はむしろ、ビダルのように後方からボックス内に走り込んだり、エリアの外からミドルシュートを打つほうが合っているように思う。コンテも僕を2つのポジションで併用しているから、まだ今の段階では適性を見極めている最中なんじゃないかな。

 

コンテや先輩からは日頃どんなアドバイスをもらっているの?

 

P―僕はまだ若いし、プレーよりもメンタルのことが中心かな。コンテからは、選手としての考え方についてよく言われている。「わずかな成功で調子に乗ってはいけない」、「地に足をつけて練習に励め」といったことだね。先輩からはピッチ外でのアドバイスが多い。ユーヴェの選手としてのマナーとか、振る舞い方とかだよ。

 

戦術理解力の高さが求められるイタリアでは伸び悩む若手が多い。君自身、戦術的な縛りは苦ではない?

 

P―むしろ逆だよ。僕はイタリアのサッカーが大好きなんだ。イングランドは個人の能力に頼ったサッカーが中心だったけど、イタリアは戦術がすごく洗練されている。中盤の僕にとっては、戦術的に組織されたチームでプレーするほうが楽しいし、「サッカーをやっている」という充実感が得られるんだ。もちろん相手も組織されたチームばかりだけど、彼らの想像を上回るプレーで組織を崩したいといつも思っているんだ。

 

イングランド時代にはパトリック・ヴィエラと比較されていたようだね。母国とユーヴェの偉大な先輩は、やはり憧れの存在なのかな?

 

P―そうだね。ヴィエラのことはすごく尊敬している。彼のようにあらゆるタイトルを手にした勝者と比較されることを誇りに思うよ。だけど、僕はあくまでポール・ポグバでいたいんだ。若手が脚光を浴びると、決まって「○○の後継者」という形でスター選手と比較される。それがサッカー界の決まり事だということは分かっているけど、僕にだってアイデンティティーがあるからね。

 

今年1月のウディネーゼ戦では素晴らしいミドルシュートを2発も決めて、周囲の度肝を抜いた。エリア外からのシュートには相当自信を持っているようだね。

 

P―僕は常にエリア外からのシュートを狙っている。僕自身、ミドルシュート、ロングシュートを武器にしているつもりだよ。中長距離のシュートは、ボールを強く蹴ること、正確に蹴ることはもちろんだけど、ボールが浮かないように足をボールにかぶせるような感覚で蹴ることがポイントなんだ。低い弾道のシュートを打つことは思った以上に難しいんだけど、昔からロングシュートを打つことが好きだったから、何度もチャレンジして、今ではごく自然に抑えたシュートを打つことができるようになったんだ。

 

ユーヴェでレギュラーの座をつかむ自信はある?

 

P―それが今の僕の目標さ。「絶対にレギュラーの座をつかむ」という強い意識でトレーニングに臨んでいる。信念を持って挑んだチャレンジで、これまでかなわなかったことはない。だから、必ず達成できるはずさ。

 

ユーヴェは“選ばれたチーム”

 

ミランで活躍しているステファン・エル・シャーラウィやマッティア・デ・シーリオは君とほぼ同世代。正直、彼らの活躍は気になったりする?

 

P―エル・シャーラウィのプレーには本当に驚いたよ。若いのに、彼のプレーや動き方を見ると、経験豊富なベテランを思わせるように巧妙だ。本当に僕と同世代なのかと疑問に思うほどね。デ・シーリオは足元のスキルがしっかりしていて、プレーの一つひとつが正確な印象だ。現代的なサイドバックと言えるだろうね。だけど、やっぱりエル・シャーラウィのほうがレベル的には一段階上かな。彼は正真正銘の怪物だよ。

 

彼らが在籍しているミランは、この冬のメルカートでマリオ・バロテッリを獲得した。君も彼同様、少し規律にルーズな選手と見られている。何でも、2日間続けて午前練習に遅刻したそうだね。

 

P―2日のうちの1日は、正当な理由があったんだ。マンチェスターからトリノへの引っ越しの手続きに思ったより時間が掛かってしまって……言っておくけど、前夜にクラブで大騒ぎして寝坊したわけじゃないからね(苦笑)。

 

君の独特なヘアスタイルにも注目が集まっている。何かこだわりはあるのかな?

 

P―ヘアスタイルというかファッション全般が好きなんだ。髪型にはそれほどこだわりはないよ。実際、コンテに指摘されて「鶏冠部分」をすぐに切り落としたぐらいだからね(苦笑)。むしろ髪型より服装のほうに興味があるんだ。ショッピングが趣味みたいなものだから、魅力的な店が多いトリノでは、ついつい洋服にお金を使ってしまうんだ(苦笑)。

 

話をチームに戻そう。今シーズン、ユーヴェはセリエA連覇を果たすことができると思う?

 

P―今はシーズンの後半戦が始まったばかりだし、スクデットを口にするのはまだ早いと思う。もっとも、僕たちはスクデットを勝ち取るために必要なことをすべてやっているけどね。僕は昨シーズンのスクデットを知らないから、何としても喜びの輪の中に加わりたいんだ。

 

じゃあ、CLはどうかな? ユヴェンティーニはビッグイヤーの獲得を夢見ているようだけど。

 

P―僕たち選手もCLでの優勝を願っている。ビッグイヤーは、ワールドカップのトロフィーと同じくらい価値のあるタイトルだからね。

 

今シーズンのユーヴェがCLで優勝する可能性はどれくらい?

 

P―ベスト16に進出したチームはすべて強いし、すべてが優勝を狙っている。ただ、そこには「スポーツの法則」が存在する。どんな相手にも柔軟に対応し、多くの苦難を切り抜けた唯一のチームがタイトルを手にできると思うんだ。ユーヴェは、それを達成できる“選ばれたチーム”だと思っているよ。

 

 

 

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