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CL優勝を誓うロナウド「ヨーロッパの頂点に立てるなら、成功したシーズンと言えるはずだ」

2013.02.08

ワールドサッカーキング 0221号 掲載]
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インタビュー・文=ピーター・スジネーター 翻訳=石橋佳奈

 ワールドサッカーキング最新号では、圧倒的な得点力を見せつけ、今シーズンもチームをけん引するクリスチアーノ・ロナウドのインタビューを掲載している。タイトル獲得が絶望的となったリーグ戦をこなしながら、レアル・マドリーは欧州制覇にすべてを懸けている。簡単な状況ではない。だが、彼の野心が失われることはない。C・ロナウドが後半戦の決意を語る。

「優勝はほぼ不可能になった」

 強気で知られるジョゼ・モウリーニョ監督がそうコメントしたのは、昨年12月のことだった。レアル・マドリーが第16節のエスパニョール戦に引き分け、首位バルセロナとの勝ち点差が13ポイントにまで開いた時だ。

「これほど勝ち点を落とし、目標から遠ざかったことはない」

 そう語ったモウリーニョには、当然のように解任のうわさが持ち上がった。フロレンティーノ・ペレス会長との確執、選手との対立、選手同士の派閥争い……。ネガティブな話題が次々と報じられ、続く第17節でマラガに2-3と敗れると、メディアは一斉に「R・マドリー崩壊」と騒ぎ立てた。

 全くもってR・マドリーらしい光景だ。誰がプレーしても、誰が指揮官を務めても、試合に勝っていても負けていても、このクラブの周辺は騒がしい。ペレス会長が事態を収めようと会見を開けば、それが更なる臆測を呼ぶ。良かれ悪しかれ、常にサッカー界の中心に位置する。それがR・マドリーの宿命なのだ。

 そんな状況で迎えた2013年、クリスチアーノ・ロナウドは以前にも増してハイペースでゴールを積み重ねている。1月はリーグ戦3試合で7ゴール。好調のせいか、インタビューに答える言葉にも力強さが感じられる。

「僕がゴールを奪う。それが戦術さ」

 冗談めかしてはいるが、本音かもしれない。不調のチームに“個の力”で勝利をもたらし、残されたチャンピオンズリーグのタイトルを手にする―。そんな常識外れの芸当が、C・ロナウドというプレーヤーにはよく似合う。

欧州の頂点に立てれば成功したと言える

少し前の話題から振り返ってもいいかな。2012年度のバロン・ドールはリオネル・メッシの手に渡ったけど、落ち込んだ?

ロナウド いや、ファイナリストの3人に残っただけでも光栄だったよ。もちろん、バロン・ドールを受賞したかった気持ちがあることは否定しない。でも、昨シーズンはリーガ・エスパニョーラのタイトルが最も重要な目標で、僕らはそれを達成した。チームのタイトルを取れたことに比べれば、個人の賞が取れなかったことなんて気にならない。

昨シーズンのリーグ優勝に貢献した君ではなく、メッシがバロン・ドールに選ばれるのは不公平だという意見もあった。

R―そりゃ、世の中にはいろんな意見がある。みんな、それぞれが考える最高の選手に投票するわけだから、結果に対してあれこれ言いたくはない。自分がバロン・ドールの候補になったこと、そしてマドリーの選手が5人もベストイレブンに選ばれたことをただ誇りに思うだけだ。何度も言っていることだけど、サッカーではチームの一員として、チームのためにプレーしなければ何も達成できない。あのメッシだって、彼一人の力でバロン・ドールを獲得したとは思っていないはずさ。

実際のところ、メッシと君はどちらがより優れた選手だと思う?

R―よくその質問をされるけど、正直に言うと、どう答えていいかいつも悩むよ(苦笑)。メッシと僕はポジションが違うし、プレーヤーとしてのタイプも違う。それを比較して何がしたいのか……いや、やめておこう。分かってるさ、君たちは雑誌をもっと売りたいだけなんだって(笑)。

手厳しい指摘だね(苦笑)。

R―そもそも、僕とメッシは同じサッカー選手という職業を選んだ者同士、ある意味で仲間みたいなものだと思う。確かに僕と彼は親友ではないし、一緒に食事することもない。だけど、お互いにリスペクトしている。ライバル関係ばかりを強調されるのは、あまり気持ち良いものじゃないな。

なるほど。では、メッシとライバルでなく、同じチームでプレーする姿は想像できる?

R―今度はそう来たか(苦笑)。別にいいんじゃない? 一緒にプレーするのは問題ない。でも、僕がバルセロナへ行くことも、メッシがマドリーに来ることも考えられないから、そういう意味じゃ、質問の答えは「想像できない」ということになるね。



そのメッシがいるバルセロナが好調な一方で、今シーズンのR・マドリーは首位から16ポイントも離されてしまった(第22節終了時点)。タイトルは難しくなったと思っている?

R―かなり不利な状況になってしまったことは認めざるを得ない。数字としては不可能じゃないし、諦めているわけでもないけど……首位のバルサが失速するような展開にならない限り、僕らにチャンスがないことも事実だ。僕としては、とにかく目の前の試合に勝ち続けるだけだよ。リーガのタイトルを失ったとしても、チャンピオンズリーグが残っている。ヨーロッパの頂点に立てるなら、成功したシーズンと言えるはずだ。

チーム自体は一時の不調を脱して上向いてきたようにも見える。やはりゴンサロ・イグアインが故障から戻ってきたことが大きかったのでは?

R―そうだね。シーズンの前半戦はとにかく故障者が多かった。ゴンサロの復帰というポジティブなニュースによって、チームに前向きな雰囲気が戻ってきたことは確かだと思う。まだ戦力的には厳しいところもあるけど、チャンピオンズリーグに向けて良い流れを作っていきたい。

僕がゴールを奪う それが戦術さ

ここからは話題を変えて、君のプレースタイルについて話を聞いていきたい。最近はずっと左サイドに固定されているけど、君のベストポジションはどこなんだろう。

R―監督が決めたポジションが常にベストポジションだ。右でも左でもセンターでも、監督が言えばどこでもプレーするよ。

つまり、ポジションの好みはないということ?

R―自分で選べるなら、自由に動けてインサイドにも入れるという意味でウイングがいい。右か左かはあまり関係ない。ボールに多く触れて、自分のリズムでプレーできるポジションが好きだ。ある程度スペースがあるほうがスピードに乗れるしね。

昨シーズンからは前線で起用される機会も増えた。モウリーニョ監督は、君をFWで起用したほうが決定力をもっと生かせると考えているのでは?

R―マドリーのサッカーでは、センターフォワードかウイングか、というのはそれほど重要なことじゃないと思う。ピボーテより前の選手はかなり流動的に動くし、ウイングの時だって中央に入り込めばFWの動きが求められる。ただ、前線だと後ろを向いてプレーする時間が多くなるから、個人的にはそれが難しい。やっぱりボールを持ちながら前を向いてプレーできるほうがやりやすいね。ゴールまでの流れをスムーズにイメージできる。

では、FWで起用された時はどんなことを意識する?

R―DFを背負うようなプレーは得意じゃないし、求められていないと思う。その代わり、相手の最終ラインの裏をいかに突くかを考えている。中盤から質の高いパスが出れば、一本のパスで決定的な場面が生まれる。特にシャビ(アロンソ)は常にそういうパスを狙っているから、彼と呼吸を合わせて飛び出すタイミングを見計うようにしている。


ポルトガルは名ウイングの“産地”として知られる。君は小さい頃からウイングとしてプレーしてきたのかな?

R―いや、スポルティングのアカデミー時代はセカンドストライカーやトップ下としてもプレーしていた。どのポジションも好きだったよ。本格的にウイングの動きを覚えたのは(マンチェスター)ユナイテッド時代かもしれない。ユナイテッドのシャープで力強い攻撃を学んだことで、自分の武器を効率よく使うことができるようになったと思う。

モウリーニョ監督は試合の際、君にどんな指示を与えている?

R―「あらゆる場面でポジティブに行け」ってこと。弱気にならずに、常にゴールを狙うプレーが重要だと言われている。

メンタルや姿勢の面だけでなく、戦術についてもかなり細かい指示があると思うんだけど。

R―僕がゴールを奪う。それが戦術さ(笑)。冗談はさておき、すべての戦術的な準備はトレーニングの中で自然に行われるから、試合前の指示やミーティングはかなりシンプルなんだ。戦術の話なんてしないことが多いよ。

監督は君にゴールを求めているのかな? それとも、試合に勝てればそこは気にしない?

R―誰がゴールを決めるかは重要じゃない。だけど、僕にはゴールを決める力があり、そのゴールが試合結果を左右することもある。僕がゴールを狙い続けるのは自分のためじゃない。チームを助け、そして勝つためだ。

移籍するチャンスは何度もあった

ここで、ファンが気になる話題についても聞いておきたい。昨年末から、R・マドリーでは監督に対して選手が反抗しているという話があったね。モウリーニョには解任のうわさが上がり、ペレス会長が特別に会見を開くほどの騒動になった。この一件の真相は?

R―クラブが発表したとおりさ。何も問題はない。モウリーニョは今もベストを尽くしてるし、選手にはそれが分かっている。

ただ、ペレス会長が会見を開いても、モウリーニョへの批判はやむ気配がないようだ。

R―そんなことはないよ。ホームのサンティアゴ・ベルナベウでは、モウリーニョを支持する声援をたくさん聞くことができるからね。モウリーニョを嫌う人がいるのは知っているけど、あくまで一部のファン、一部のメディアの意見を取り上げて騒いでいるにすぎない。僕には成功者に嫉妬するタイプの人たちが大騒ぎしているだけに見えるよ。


モウリーニョはイケル・カシージャスをスタメンから外すという荒療治を行った。2人が不仲だという話も以前から根強いね。

R―それもクラブが発表したとおりだ。スタメンを外れたのは、テクニカルスタッフがそう判断したからで、モウリーニョが彼に罰を与えたわけでも、カシージャスがミスを犯したわけでもない。第一、彼が素晴らしいGKだということは僕ら全員が分かっている。

ということは、彼が離脱したダメージも小さくないわけだ(カシージャスは1月23日に行われたコパ・デル・レイ準々決勝のバレンシア戦で左手を骨折。最大3カ月の戦線離脱を余儀なくされた)。

R―当然だろう。カシージャスほどのGKを失えば大幅な戦力ダウンは避けられない。彼の一日も早い復帰を願っているよ。

最後にもう一つだけ質問を。モウリーニョと同様、君がチームを離れるのではないか、という報道がある。答えにくいと思うけど、この話はどこまで真実?

R―答えにくくなんてないさ。だって、何の根拠もないデタラメだからね(苦笑)。いいかい、僕が金のためにプレーする選手なら、もうとっくにどこかのクラブへ移籍しているはずだろう? マンチェスター・シティーだろうと、パリ・サンジェルマンだろうと移籍するチャンスは何度もあった。だけど今、僕は現実にここでプレーしているんだ。

つまり、金のためじゃないと。

R―そう。僕はマドリーの白いユニフォームが着たくてここに来た。世界一の伝統と歴史を持つクラブでプレーしたかったし、ハイレベルなチームメートとともに成長したかった。その考えは今も全く変わらないよ。今の僕はマドリーのために、マドリーのファンのためにプレーしている。

ということは、これからもずっとR・マドリーでプレーし続けるということ?

R―それは分からない。僕は正直な人間だから、「永遠にマドリーでプレーする」なんて簡単に誓うことはできないよ。チームから「いらない」と言われればそれまでだしね。ただ、マドリーでプレーし続けられる限り、僕はここにとどまるつもりだ。それだけは覚えておいてほしい。

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