2012.10.16

日本代表、6年前の惨敗から歩んだ進化の日々…先制点で王者を本気に/ブラジル戦

文=小谷絋友

 有名な話だが、ブラジルではサッカーが下手な人間を「日本人」と呼ぶ。

 世界最大の日系人居住地のブラジルには、150万人にも上る日系人が在住する。彼らが人口に占める割合に対して、サッカー選手における日系人の割合が著しく低いことなど由来には諸説あるが、いずれにせよブラジルからすれば、16日に対戦する日本を脅威や畏怖の対象に見ることはない。それは、日本がフランス相手に敵地で勝利を収めても揺るがないと言える。

 一方で、格下扱いされるのは何も日本に限ったことでもない。

 周知の通り、ブラジルは過去のワールドカップ全大会に出場している世界で唯一の国であり、最多となる5度の世界制覇を果たしている最大のサッカー大国である。ブラジルからすれば、相手が日本であろうと現在の世界チャンピオンであるスペインであろうと、戦い方を変えることはない。勝利のために対戦相手の長所を消し去ることはなく、自らが依拠するサッカーを全面に押し出して相手を蹂躙しようとする。

 常に自らのサッカーを押し通すブラジルと対する際は、実力差があまりにかけ離れているか、結果のみを追求して極端な守備偏重の戦術を取らない限り、相手国にもある程度の攻撃の時間が担保される。実際に親善試合の際でも、今年6月に行われたアルゼンチン戦では、現在世界最高の選手であるリオネル・メッシに対してすら徹底マークをしない代わりに、ハットトリックを許して3-4と敗れた。

 日本は2005年にドイツで行われたコンフェデレーションズカップで対戦した際、2-2と引き分けで終えたが、翌年のワールドカップではっきりと実力差を示された。今回もポーランドという第3国での開催となるため、ブラジルがどこまでアクセルを踏み込んでくるかは未知数と言えるだけに、アウェーでのフランス戦よりも親善試合の色が濃くなる可能性がある。

 ただ、日本はブラジルとの対戦では2分け6敗と勝利がないが、少なくとも強豪国から敵地で勝利を挙げられるほど地力が付いてきた。対してブラジルは、ロマーリオやロナウドといった近年ブラジルに栄光をもたらしてきたエースと比べると、有望な若手の感を脱するには至っていないネイマールに期待をかけざるを得ないのが現状と言える。

 日本は既に「下手」の蔑称として扱われる存在ではないことは確かであるとともに、実力差は過去で最も近づいているだろう。それだけに望まれるのは、先制点である。コンフェデレーションズカップという公式戦でも、余力を残していたブラジルのことである。親善試合で彼らが先手を取るとなれば、おそらく先制以降はフルパワーを出すことはないと見込まれる。

 親善試合でブラジルの本気を引き出すために、そして結果的に1-4と完敗を喫したが、2006年ワールドカップと同じ、日本が先行するというシュチュエーションを作り出すことで、6年前からの進歩もより顕著に浮かび上がるはずである。

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