2012.10.07

【コラム】長友佑都 世界一のサイドバックに向け真価が問われるシーズン

ワールドサッカーキング増刊 カルチョ2002 1015号掲載]

世界一のサイドバックに向け真価が問われるシーズン

今シーズンの最大の目標はチャンピオンズリーグ出場権の奪還である。もちろん、首脳陣はUEFAカップ時代に3度優勝しているヨーロッパリーグでの優勝も視野に入れている。そうでなければ、緊縮財政のため若手を中心にチームを立て直すと言いながら、カッサーノ、ガルガーノ、ペレイラ、ロドリゴ・パラシオといった経験豊富な即戦力を次々と獲得することはなかったはず。新しい黄金時代の構築を目指すインテルにとって、“もう一つの欧州制覇”も魅力的な獲物なのだ。

 だが、もしそれに集中するあまりカンピオナートで崩れ、チャンピオンズリーグ復帰を逃したのでは何の意味もない。とにかくセリエAでの3位以内を確保することが最優先なのだ。

 スクデット?それはシーズンの終盤にチャンスが出てきた時点で考えればいいことだ。正直に言うが、今シーズンのインテルにスクデットの可能性があるとしたら、それは王者ユヴェントスに何らかのアクシデントがあって低迷するケースだけだろう。もしユーヴェが順当に勝ち点を積み上げるとしたら、インテルには手の届かない高度を悠々と飛行していくということだ。

 長友は今シーズンも「世界一のサイドバックになるため」の歩みを進めるつもりのようだ。長友が今シーズンもインテルの重要な戦力と見なされるというのは先述した通りだが、もう一つ、彼が成長するためのポイントがある。それは過密スケジュールをこなす中、左サイドバックだけでなく、時には右サイドバックとして、あるいは中盤の左サイドとして起用されることもあるかもしれないということ。その時に、いかに自分のストロングポイント(攻撃力と粘り強い守備)を失うことなく、“バランス”の取れたプレーをしていくか、だ。

 最後に長友について私が懸念する点を挙げておきたい。カッサーノとの関係についてだ。カッサーノは入団会見で「いつもユウトのことが気になっていた」と言うほど長友にご執心の様子。だが、“悪童”は今まで所属したチームで常にトラブルを起こしてきた選手である。今回もまた退団したミランを散々に批判して、フロントやチームメートからの反発を買っている。大丈夫だとは思うが、カッサーノにはのめり込みすぎないことだ。ピッチ上で息の合ったプレーを展開できる程度の交流で、付かず離れずの関係を保つぐらいでいい。カッサーノ独特のシュールな悪ふざけが度を超えるようなら、“インテルの兄貴”であるマルコ・マテラッツィにすぐ相談することだ。まあ、本人には余計なお世話かもしれないが、これは老婆心として付け加えておくとしよう。

 「世界一のサイドバック」への道はまだ遠いが、セリエAでの過去2シーズンで長友は着実に成長しつつある。イタリアサッカーへの順応はもう完璧。新たなサイクル作りに本格着手したインテルの主軸となった長友にとって、真価が問われる1年になることは間違いない。