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武藤、武井、宇賀神も…Jリーガー多数輩出の流経大中野監督「選手たちが強い気持ちで充実した4年間を過ごしている」

2015.10.28

nakano11

インタビュー・写真=平柳麻衣

 大学屈指の戦力や設備を誇る流通経済大学。これまで約60人にも上るプロサッカー選手を輩出してきた名将、中野雄二監督が語る流経大の強さの理由とは。

優勝に値するだけの強さは示せた

――流経大は今年で大学創立50周年ということで、中野監督はリーグ、総理大臣杯、全日本大学サッカー選手権(インカレ)の3冠を目標に掲げていましたが、総理大臣杯はベスト4に終わりました。ここまでの戦いを振り返っていかがですか?(インタビューは9月上旬に実施)
中野 今年3つのタイトルを取るために、2年前は総理大臣杯、去年は総理大臣杯とインカレ、と1つずつタイトルを上乗せしてきました。残念ながら総理大臣杯は準決勝で明治大学に敗れてしまいましたけど、優勝に値するだけの強さは示せたかなと。内容的にも見せ場は作れたし、相手の明治大が「流経大は強い」という印象を持ったと思います。また、最初のタイトルを落としたことで、負の連鎖が始まらなければいいなと心配していたのですが、その後の天皇杯で栃木SCに勝てたので、僕の中では払拭できたと思っています。

――総理大臣杯を落としたショックよりも、ある程度の満足感を得ているということですか?
中野 そうですね。負けて満足というのも変ですけど、明治大戦は審判のジャッジで不利な場面もありました。「審判のせいで勝てなかった」のではなく、「悲観するような負け方はしていない」という意味です。

――中野監督は以前、「今年のチームが歴代の流経大の中で一番強い」とおっしゃっていました。その根拠は?
中野 過去にも何度か優勝しましたけど、その時は華麗で、見ている人が楽しめるような攻撃的なチームでした。しかし、攻撃的なチームというのは、華麗さとともに脆さもあり、確実に勝つためには安定的な守備力が求められます。今年のチームは全員でハードワークし、相手のボールを「攻撃をするため」に奪いにいく意識が浸透しているので、過去になく強いチームだと思っています。

鳴り物入りで入学して、当たり前のようにプロにいった人はいない

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――今年の流経大は特に守備の意識が高い選手がそろっている印象ですが、そういう選手を意図的に集めてきたのですか?
中野 いえ、プロではないのでピンポイントで選手を補強できるわけではないですし、どちらかというと第1志望の大学に落ちたり、経済的な理由で来る選手が多いという現状です。例えば今、浦和レッズでプレーしている武藤雄樹も他大学のセレクションに落ちてうちに来ました。ただ、流通経済大学付属柏高校からは、有望な選手が毎年上がってきているので、時にはスタメンのうち7、8人が付属出身者という場合もあります。近年は流経大柏に行くことが「サッカー界のエリート」みたいになってきている流れもあるので。

――付属高校と良い関係が築けているのですね。
中野 一方で、付属が強すぎることもあって、特に関東エリアの有望な高校生は来ない傾向があります。「流経大柏の選手たちと同じ大学に入ったら、自分が出られる可能性が低い」と言われてしまって。だから、付属校以外の入学者に関しては、「鳴り物入りで入学して、当たり前のようにプロにいった」という人はいないんです。武藤もそうですし、武井択也(ベガルタ仙台)も高校時代は全く無名で、浦和の宇賀神友弥も浦和ユースでレギュラーではなかったですから。年代別の代表経歴もないような、あまり注目を集めていなかった選手たちが、大学に来てから「見返してやるんだ」という気持ちを継続して持って、充実した4年間を過ごしているのだと思います。

――流経大柏出身以外の選手の入学について、もう少し詳しく聞かせてください。
中野 寮のキャパもあって、1学年60人くらいを上限にしています。まずは、流経大柏の選手が優先になるので、本田(裕一郎)先生から希望者の数を聞いて、だいたい毎年20名前後が志望してきます。残りの40人については、セレクションとスカウトです。セレクションを1回実施すると、だいたい60から70人が参加してきます。また、うちのコーチの大平(正軌)は日本サッカー協会の強化部にも入っていて、スカウティング能力が高く、日本中を駆け回って選手をリストアップしてくれています。ただ、情報を持っているからといって選手が来てくれるわけではありません。当然、我々が欲しい選手はプロからも誘われるのでJリーグに行ってしまうことが多いですし、他大学を志望する選手もたくさんいます。やはり大学の知名度や偏差値、歴史という部分では他の大学には及ばないのかなと。

――他大学と比較した時に流経大のアピールポイントとなる部分は?
中野 全寮制なので食事や生活指導までしっかり管理していますし、グラウンドなどのハード面も充実しています。また、最近はスポーツ健康科学部という体育の教員免許が取れる学部もあります。選手の中には指導者や教員になりたいという選手も多いので、そこはアピールしています。あとは、1月まで推薦試験を受けられることもメリットですね。他大学の場合は夏から秋頃に行われる推薦試験を受けないと入れないケースが多いのですが、うちは1月まで受けられるので、プロ志望の強い有望な選手がプロに行けなかった時、最終的に来てくれる傾向があります。

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