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コカ・コーラ社担当者が語る「スポーツマーケティングを自身の仕事と決めた理由」/前編

2016.11.16

オリンピックのオフィシャルスポンサーとして最長の歴史を誇り、FIFAのトップパートナー、日本では様々な大会のスポンサーとして、スポーツと深く関わりを持つコカ・コーラ社。その他、各スポーツ界のトッププレーヤーと個人契約を結ぶなど、スポンサービジネスにおいてグローバルな発展を遂げる秘訣、またその戦略について、日本コカ・コーラ株式会社マーケティング本部IMC マーケティングアセッツ グループマネージャーの渡邉和史(わたなべ・かずふみ)氏に話を伺った。

インタビュー・文・写真=波多野友子

――幼い頃からアメリカ生活が長かった渡邉さんですが、大学以降のキャリアを日本で積むことをご自身で決断されたそうですね。

渡邉和史 父の転勤や転職の関係で、高校卒業まで国内外を行ったり来たりの人生だったんです。生まれはカリフォルニアですが、2歳から9歳までは日本で過ごし、その後また12歳までニューヨークとロサンゼルスで暮らしました。さらにその後2年間だけ日本へ戻り、14歳から17歳までコネチカットへ。多感な時期をアメリカで過ごして感じたのが、彼らにとって僕は「日本人」ではなく「一アジア人」という認識に過ぎないということ。そのくらい日本の文化がアメリカに根付いておらず、とても悔しかったんです。「日本人」として世界に日本カルチャーを発信するために、帰国して大学受験からスタートすることを決めました。

――帰国後、上智大学へ入学されました。卒業後の進路はどのように設定したのでしょうか?

渡邉和史 就職活動にあたり、「スポーツを題材にして日本のプレゼンスを世界に発信する」という明確なライフコンセプトを設定しました。きっかけは、野茂英雄選手がメジャーリーグでノーヒットノーランを達成した時の感動の記憶でした。一人の日本人が、アメリカの人気スポーツで一大ムーブメントを引き起こすのを見た時、言語を超越して日本に関心を持ってもらうコンテンツとして、スポーツの価値に気づいたんです。このライフコンセプトを武器に様々な業界を受けましたが、最終的に「スポーツに協賛する企業でのマーケティング」という仕事に魅力を感じ、第一歩として1997年にスポーツコンテンツも手掛ける大手広告代理店へ入社しました。

――広告代理店入社後、初めて関わったスポーツの仕事は何だったのですか?

渡邉和史 入社後すぐに担当したのは、南米のサッカークラブ王者を決めるリベルタドーレス杯です。冠スポンサーだったトヨタ自動車の営業担当として奔走しました。大会運営以外にも、現地の孤児院に公式球を寄付するというプロジェクトを提案し、地元メディアから反響を得ました。そして同杯の決勝戦で、その後のキャリアに影響する出来事が起こりました。強風が吹き荒れた試合中、ピッチに飛ばされそうになった看板を体を張って守ったんです。たまたまその様子を見ていたFIFAの関係者から声を掛けられ、関連会社のISLへ転職。その後2000年にFIFAへ転職をすることになりました。

――ドラマティックな転職だったのですね。FIFAではどんな案件を担当したのでしょうか。

渡邉和史 2002年日韓ワールドカップで、FIFAと日本組織委員会の調整役を担当しました。公式スポンサーだった韓国メーカーの車を数千台手配し、陸運局と交渉して国内へ運び込みました。大会期間中はFIFAのオフィシャルジャケットを着て、会場で運営に携われたのも貴重な経験でしたね。役目を果たしたということで、大会後は再度広告代理店へ戻り、再びスポーツマーケティングの仕事に邁進することにしたんです。

――転職活動に際しては、かなりアグレッシブな姿勢で臨まれていますね。

渡邉和史 父の影響も大きいと思うのですが……。自己実現のためには、働く場所を変えることに対して躊躇はありませんね。また僕にとっては、常に楽しくテンション高く仕事ができることが一番大切なんです。これはアメリカで培われたスタイルかも知れませんが、そうすると選ぶ業界も自然と絞られてくるんです。もし公務員になったとしたら、おそらくすぐに潰されると思います(笑)。どこへ行ったとしても、スポーツを通して日本の魅力を世界に発信するというライフコンセプトがブレるということはありません。

コカ・コーラ社担当者が語る「スポーツマーケティングの魅力と業界で活躍するために必要なこと」/後編

日本コカ・コーラ株式会社
マーケティング本部 IMC マーケティングアセッツ
部長 渡邉和史(わたなべ かずふみ)

アメリカで生まれ育ち、大学は日本の上智大学を卒業後、博報堂に入社。トヨタ自動車の営業担当として、リベルタドーレス杯の運営や同社キャンペーンなどを担う。2000年にFIFA Marketing AGに転職。2002年FIFA World Cup?を経験。2004年には博報堂DYメディアパートナーズへの転職を経て、2011年に日本コカ・コーラに入社。アクエリアスブランドのスポーツマーケティングや2014年FIFA World Cup?のキャンペーンを手掛け、現在はコカ・コーラのスポーツ/エンターテインメントの交渉窓口、コミュニケーションプロデュースを遂行中。またIOCとの共同プロジェクト、オリンピックムーブスにもメインで関わる。

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By サッカーキング編集部

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