
12月20日、横浜国際総合競技場で世界ナンバーワンのクラブを決定するFIFAクラブワールドカップ2015が開催された。ピッチの中央に整列する選手たちの横で、ある大役を務め上げた12人の中学生がいた。
サンフレッチェ広島(開催国王者)と広州恒大(アジア王者)による3位決定戦のキックオフ6時間前、子どもたちは一様に緊張した面持ちでスタジアムに集まった。本日のミッションは『クラブ フラッグベアラー』としてピッチに立つこと。まずは配られたユニフォームに袖を通し、リハーサルに臨んだ。

フラッグを手に練習する表情は真剣そのもの。最初は戸惑い、どこかぎこちない雰囲気だった子どもたちも、練習を重ねるにつれて少しずつ打ち解けていった。

そもそも、一体どうやってフラッグベアラーを務める権利を手に入れたのか? 今回のミッションに参加した12人は、「COPA CAMP」で選出された“最高の11個の個性”とアンバサダー受賞者で構成されている。
今年8月に「COPA COCA-COLA 2015」(8人制サッカーにバブルサッカーを加えたリーグ戦)の地区予選が全国6会場で行われた。各優勝チームは「COPA CAMP」に進出。フルコートでの11人制サッカーとバブルサッカーで順位が争われた。そして、“最高の11個の個性”とはそれぞれに与えられた役割。「挑戦者」、「守護神」、「韋駄天」、「切り札」、「天才肌」、「革命児」、「熱血漢」、「強心臓」、「仕事人」、「型破り」、「頭脳派」があり、参加者全員が自分の役割に全力を尽くしながら、白熱した試合を展開した。その中でも特に印象的な活躍を見せた選手11名とアンバサダー賞に輝いた1名が、見事フラッグベアラーを務める権利をゲットしたというわけだ。

控え室で出番を待つ子どもたちにあるサプライズがあった。「COPA COCA-COLA 2015」のアンバサダーを務める北澤豪氏が激励に訪れた。緊張でやや口数が少なくなっていた子どもたちも、北澤氏の登場に驚いたようで、この時ばかりは笑顔を見せていた。
そして、本番直前。待機場所に選手が姿を現すと、驚きを隠せない様子で目を輝かせた。憧れの選手を目の前にして大興奮の子どもたちだが、同時に「緊張で足が震える」と経験したことのない大舞台にプレッシャーを感じていた。


迎えた本番ではスタジアムの雰囲気に圧倒され、つい表情が硬くなってしまう。それでも震える手でフラッグを高く掲げながら、自分たちの役割をしっかりとやり遂げた。無事に1回目の本番を終え、プレッシャーから解放された子どもたちはほっと安堵の胸をなでおろした様子だった。
3位決定戦はスタンドで観戦。ミッションを忘れ、迫力満点の試合を存分に満喫した。再び控室に集まった子どもたちは、バルセロナ(欧州王者)とリーベル・プレート(南米王者)の決勝戦が迫ってくると、ソワソワし始める。これからバルセロナとリーベルの選手と同じピッチに立つと思うと、落ち着いてはいられない。「どうしよう。緊張してきた」とスター選手との共演に胸を躍らせた。子どもたちのお目当ては、やはりリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの“MSN”トリオ。待機場所でバルセロナの選手が側を通ると「感動したし、めっちゃ嬉しかった!」、「選手一人ひとりが本気の顔をしていて、かっこよかった」と満面の笑みを浮かべた。テレビ越しでは伝わってこない体格の良さやオーラも感じた様子で、「将来、同じピッチに立ちたい」と夢を膨らませた。
決勝戦には6万6853人の観衆が詰めかけ、スタンドは大勢のファンで埋め尽くされた。会場の熱気が高まってきたところで子どもたちが入場。3位決定戦の時は強ばった表情を見せていた子どもたちも、「何だか誇らしい気持ちになった」と胸を張ってピッチに足を踏み入れた。


世界大会の舞台で見事に大役を果たした子どもたちは、完全に緊張感から解き放たれたようで、「良い気分を味わえた!」と余裕の表情に変わっていた。「世界トップレベルの選手たちと同じピッチに立てて、本当に光栄だった」、「テレビでは見ることができない裏側を見れたのでワクワクした!」と興奮さめやらぬ中、ある子どもは「(COPA CAMPで)勝負をした仲間たちとまた会うことができて良かった」と一度はライバルとして戦ったと選手との再会を喜んでいた。
選手と同じピッチに立ったのは試合前のごくわずかな時間だったが、子どもたちにとっては一生忘れることのできない経験になったはず。トップレベルの選手と触れ、世界大会の空気を肌で感じた子どもたちが、ひと回りたくましくなったようだった。
By サッカーキング編集部
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