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【インタビュー】祝『ウイイレ』20周年! KONAMI担当者に聞いた“新作、20年、これから”

2015.11.06

PR担当:阿部さん(左)、プロモーション担当:斉藤さん(右)

 ファミリーコンピュータの誕生から32年。家庭用ゲーム機はその普及とともに飛躍的な進化を遂げてきました。1994年にはプレイステーションが発売開始。その翌年、サッカーゲームの名作である『ウイニングイレブン』シリーズの第1作がリリースされています。2015年は第1作発売から20年が経過し、10月1日にシリーズ最新作として節目となる作品『ウイニングイレブン2016』が発売となりました。

『サッカーキング』では、今回家庭用サッカーゲーム特集を実施! 特集第1回はKONAMIのプロモーション担当である斉藤さん、PR担当の阿部さんに『ウイイレ』シリーズ、さらには家庭用ゲーム機の現状や未来についてお話しをうかがいました。

>>【特集第2弾】週刊ファミ通編集長に聞く! 家庭用ゲーム機とサッカーゲームの現在から未来はこちら→→https://www.soccer-king.jp/sk_column/article/367228.html

>>【特集第3弾】あなたの思い出のTVゲームは何? あの日の記憶がよみがえる懐かしゲームプレイバックはこちら→→https://www.soccer-king.jp/sk_column/article/359032.html

●インタビュー=小松春生

むしろ20周年なので「今からでも遊んでみては?」というアプローチを

―――『ウイニングイレブン2016』が10月1日に発売となりました。今作のセールスポイントは何でしょうか?

阿部 今作で『ウイニングイレブン』シリーズ20周年を迎えました。その集大成として根幹である“試合を面白くする”ことを大切にしました。実際の制作にあたってはAIや操作性の向上、競り合いの表現ももちろん進化しています。日本国内の販売ではお客様にわかりやすく感じていただくため、“決める快感”をキャッチコピーとしました。試合の面白さやプレーのしやすさを前面に打ち出しています。

―――“決める快感”をキャッチコピーとした理由は何でしょうか?

阿部 『gamescom 2015』という世界最大級のゲームショウで「Best Sports Game」を2年連続で受賞しました。『ウイイレ』はその操作性が世界から高い評価をいただいています。難しい操作なしに選手がヒールパスやオーバーヘッドシュートをするなど、操作性が格段に向上していて、爽快さを感じていただけると思います。まだゲームを始めたばかりという方もプロのような技を使えますし、そこから“決める快感”というコピーが生まれました。

―――ゲームが日々進化している中、操作のしやすさや初心者にアプローチしていくことは新鮮に感じられます。

阿部 20周年を迎えましたが、長い歴史のあるゲームになると、「ずっとやっていないと難しいのでは…」といった不安をお持ちになる方もいらっしゃると思います。その点も考えの一つにありました。もちろん、今までプレーしていただいている方も、グラフィックがものすごく向上するなどの進化をしているので、楽しんでいただける作品になっています。ただ、初めて触れる方へも、むしろ20周年なので「今からでも遊んでみては?」というアプローチをしています。

―――毎年、シリーズの新作をリリースしていますが、『ウイニングイレブン2016』とこれまでの作品の大きな違いは何でしょう?

阿部 グラフィックや操作性は新作ごとに向上をしていますが、大きなポイントをしいて挙げるのであれば、マスターリーグです。クラブを運営するモードなんですが、日程などのメニュー画面の刷新に加えまして、新要素として「チームロール」システムが搭載されます。選手個人に“下部組織出身”や“スタープレーヤー”といった能力がつくようになりました。その要素がクラブの運営や発展に影響を与えていきます。

 マスターリーグもシリーズに搭載されて10年以上が経過し、根強いファンの方が多くいらっしゃいます。そういった方にぜひ遊んでいただきたい“推し”のところですね。パッと見ただけで、すぐに遊んでいただけます。私も「やりこんじゃおう!」と思っています。

―――『myClub』モードについてはいかがでしょうか?

阿部 こちらは去年から導入しましたが、お気に入りのクラブを運営していきます。大きいポイントとしてはオンラインであることです。オンラインのメリットとして、毎週情報を更新するライブアップデートが挙げられます。実際のサッカーの試合情報を反映させて選手の調子などを更新しています。公式HPで更新情報を発信しているので、ぜひご確認いただければと。

 また、注目していただきたいのはmyClub限定で“スタープレーヤー”がリリースされることです。往年の名選手がレジェンドとして登場して、現在の選手と同じピッチで遊ぶことができるので、ぜひプレーしてみてください。

ネイマール選手へのプレゼントがプロモーションのヒントに

―――ちなみに選手の能力値はどのように決めているんですか?

阿部 UEFA(欧州サッカー連盟)から試合データの提供を受けています。また、専門のスタッフが対象のリーグを必ずチェックしていて、そのフィードバックを元にしています。

―――今作の制作秘話はありますか?

阿部 今回、ネイマール選手にイメージキャラクターとして登場してもらっています。ゲーム内のCGは毎作、制作陣がこだわりにこだわり抜いて作っているんですが、実際に海外の選手を3Dフォトスキャンする機会を作ることはなかなか難しい部分があります。ただ今回は幸運にもそれができたので、格段にビジュアルがグレードアップしました。

 ただ、7月に来日した際に3Dフォトスキャンの撮影をしたのですが、その来日直前までスケジュール調整が続いたので、プロモーション用であらかじめ使用していた映像と3Dフォトスキャン後のビジュアルを使用した映像を差し替えていく作業が、かなり大変でしたね。

―――ネイマール選手が今作をプレーしている動画を見ましたが、かなり盛り上がっていました。

阿部 対戦相手が弊社欧州支社の社員だったんですが、ネイマール選手の普段着のファッションに寄せ過ぎてしまって。これもある意味、制作秘話ですね(笑)。

―――一瞬、ネイマール選手のお友達の方に見えました(笑)。楽しまれている様子でした。

阿部 かなり腕前もあって。サービス精神が旺盛な方で、激しいファールがゲーム内であると同じように転がって痛がるフリをしてくれたりしていました。あと、『ウイニングイレブン2016』のパッケージ画像のネイマール選手部分を、お子さんの写真に差し替えた特別デザインを用意したところ、すごく喜んでいただけて。実は喜んでいただけたことをきっかけにして、先日開催された『トウキョウゲームショウ2015』でも、オリジナルパッケージ作成ブースを展開するなど、プロモーションのヒントにもなりました。

サッカーのリアルさの追求、年々そのこだわりも強くなっています

―――『ウイニングイレブン2016』でシリーズ20周年を迎えましたが、振り返っていかがでしょうか?

阿部 サッカーは世界で最大規模のスポーツであり、このゲームを通じて世界中の皆さんに遊んでいただけていることに夢があると思っています。『ウイイレ』シリーズでは世界大会も行っていて、国籍も言葉も違いますが、『ウイイレ』で仲良く遊んでいただけていることは、とても喜ばしいことだと思います。

―――“20周年”ということは、改めてスゴイことですよね。

斉藤 一人のユーザーとして考えても、毎年“サッカー”ということは変わらない中で、新しいことが組み込まれています。今作でも天候でプレーの質が変わったり、泥ハネの表現も全く変わります。実際にスタジアムでサポーターの声援を収録したりもしています。どこまでサッカーのリアルさを追求していくか、年々そのこだわりも強くなっていて。

 そういったマニアックなところもありつつ、操作性の面では“快感”というところを突き詰めてやっていることは、この20年の積み重ねであり、制作チームの努力でもあると思います。

―――20年間の中で、ユーザーから評価されている『ウイイレ』のポイントはありますか?

阿部 本当かどうか分かりませんが、サッカーゲームでスルーパスの要素を取り入れたのは『ウイイレ』が最初だときいています。そこが海外で大きく評価されて広がっていきました。今作では、オリジナルのユニフォーム作成機能で画像を取り込めるようになったので、より簡単に作れることができるようになりました。そういった点は女性から見ても楽しい要素ではないのかなと思います。

斉藤 過去、地方のサッカー部へ『ウイイレ』やサッカーボールを届ける企画を実施したんですが、その際は大変喜んでいただいたこともあります。ユーザーの方がどれだけ楽しんでいただけるということは制作チームも考えています。毎作、喜んでいただけるポイントを作るようにしています。

―――この20年間で家庭用ゲーム機を取り巻く環境は大きく変化し、進化しました。また、そのサイクルも早くなっています。『ウイイレ』シリーズ含め、どう捉えていますか?

阿部 プレイステーション(PS)に関して言えば、PSからPS4まで4世代登場しました。グラフィックなどCGのクオリティはものすごく向上しました。一方でその分、選手の動きやディテールにごまかしが効かなくなりました。

斉藤 どんどんモーションが追加され、よりサッカーの試合に近くなっています。『ワールドサッカー ウイニングイレブン 2014 蒼き侍の挑戦』をリリースした時、店頭でのプロモーションで通りすがりの方から「今日、日本代表の試合やっているんだ」と声が挙がったりしました。動きや表情はそれくらいのクオリティにどんどんなっています。ハード面の進化もそういった部分で感じていただけると思います。

阿部 変化や強みという点では、オンラインとなったのでライブアップデートを推していきたいですね。

斉藤 以前は一度リリースしたソフトをお届けしたままになってしまうので、ユーザーの方とのコミュニケーションが取りづらい部分もありました。オンラインになり皆様の声をいただき、それをゲームに反映することがより積極的に可能となりましたし、逆にいいプレーの動画などをどんどんアップしていただいて、ユーザーの方同士での相乗効果が生まれるつながりができるようになってきている点は、オンラインになったことで生まれたことだと思います。オンラインの『myClub』モードもハードの性能が上がってきたから、可能になったことだと感じています。

―――ハードが進化するとともに、ユーザー層も変化していますか? PSに関して言えば、初代のPSは小中学生が積極的にプレーしていましたが、PS4はよりコアな大人のユーザー層が多いように感じます。

阿部 でも10月1日から値下げもしましたし、その機会に『ウイイレ』も…(笑)。

斉藤 そういった部分で少なからず離れてしまう方もいらっしゃるかと思います。ただ、SNSでの反応などを見る限りでは、若年層から40代の方まで幅広くプレーしていただいていると思います。

阿部 スマートフォンも新しい機種が登場したら、若い世代の方も買い替えるなどしていますし、新しいハードを欲しいという欲求は若年層も失っていないと思います。取材などで10代のモデルさんなどとお話しをする機会がありますが、「PS4は持っているし、新しいものが出たら買っちゃう」と。私も最初は敬遠されているようになってきたと思っていましたが、実際はそうではないと実感しています。

斉藤 どうやって商品の魅力を幅広く知っていただくかが今後の課題になると思います。

―――最初にお話しされたように、新しいユーザーにもプレーしてもらうことが重要になりますね。

斉藤 サッカーというコンテンツの人気は上がり続けています。そのサッカーを自分の思い通りにプレーできるようになっているのがこのゲームだと思うので、皆様にどうやって遊んでいただけるか、アウトプットを考えていかなければならないと思います。

“サッカーライフの一部”になっていくことが最終的な目標

―――スマートフォンでのゲーム市場は今後も右肩上がりでしょうか?

阿部 『ウイイレ』シリーズで言えば『ウイニングイレブン クラブマネージャー』があります。『ウイニングイレブン2015』のエンジンを使用しているのですが、こちらはプレイステーションとは違う視点で、『ウイイレ』の楽しさに触れていただけるゲームです。プレイステーションとスマートフォン、それぞれで『ウイイレ』のいいところを少しずつ違う視点から、楽しんでいただけるようなプロモーションをしていきたいです。

斉藤 よく言われることだと思いますが、デバイスやハードごとに楽しんでいただけることは違うと思っています。プレイステーション4のCM内で、「できないことが、できるって、最高だ。」というコピーを使用しています。一方で、スマホではそこまでの没入感は得られないと思っていて、一人でプレーしがちです。PS4というハードの特性としてリアルさ、没入感、大人数で楽しめるという点で、ある程度の棲み分けはしていけると思っていて。スマホでどうやって『ウイイレ』を楽しんでいけるのかをその中で考えていますので、今後にぜひ期待していただければと思います。

―――家庭用機とスマホが双方向でリンクしていくといった可能性はいかがですか?

斉藤 可能性としてはあり得ます。今はタイトルのIP(知的財産)を活用していることが多いです。タイトルが違いますが、『メタルギア』シリーズではPS4でプレーしているものを、外に出た時にもデータを引き継いでプレーすることを検討しました。シーンを選ばずにプレーできる方法を今後、全体的にも考えていくことになると思います。

―――20周年を迎えた『ウイイレ』シリーズですが、その『ウイイレ』“らしさ”とは何でしょうか?

阿部 実際にサッカーをすることと、単純にゲームを遊ぶことの間にある存在になりたいですね。サッカー観戦をした後に、その熱を持ったまま遊ぶことが『ウイイレ』ですね。

―――「応援しているチームがいい試合をできないとすぐにゲームでリベンジすること」は『ウイイレ』あるあるですね。選手も海外や日本で『ウイイレ』をやる方がたくさんいて、実戦とゲームの間、ということは感じていると思います。

阿部 サッカー経験者の方には、「俯瞰でサッカーができるから、実戦にも生きる」と言っていただけます。

斉藤 実際のサッカーは毎日あるわけではなく、週の半ばと週末に試合があることがほとんどです。その試合で楽しさや悔しさがあると思うので、試合がない時は仲間で『ウイイレ』をプレーしていただいて、試合がある時はリアルな部分を楽しんでいただく。“サッカーライフの一部”になっていくことが最終的な目標なのかなと感じています。

―――最後にユーザーの方へメッセージをお願いします。

阿部 今作品は本当に“気持ちいい”です。前作から比べても細かい動きが増え、アクロバティックなプレーもあります。サッカーに触れたことがない方でも気持ち良く、楽しい気持ちになれることを伝えたいです。

斉藤 プレーの細かさ、幅が非常に広がったので、今までプレーしてきていただいた方には引き続き、楽しんでいただけると思います。少しご無沙汰になっている方は、「ハードの進化とともに難しくなったのでは?」と思っていらっしゃるかもしれません。確かに可能になったことの幅は広がりましたが、基本的な操作は変わっていないので、やっていただいたらすぐ、当時のプレーを思い出していただけると思います。

 初心者という方もすぐにゴールを決められます。ゴールを決めたら喜びを爆発させるのは誰もが持っている感情なので、まだプレーしていない方も体験版もありますので、触れてみていただければと。『ウイイレ』の“気持ちよさ”、サッカーの“気持ちよさ”を一緒に味わえるほど、クオリティの高いものになっているので、ぜひやってみてください。

ウイニングイレブン 2016

<発売日>2015年10月1日

<価格>PlayStation®4:7,600円(税別)、PlayStation®3:6,600円(税別)

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By 小松春生

Web『サッカーキング』編集長

1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。イギリスと⚽️サッカーと🎤音楽と🤼‍♂️プロレスが好き

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