2015.07.03

【独占インタビュー】細貝萌が語る今シーズンの苦悩…結婚式の裏話も明かす

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インタビュー・文=高尾太恵子

 ヘルタ・ベルリン所属のMF細貝萌が、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の啓発イベント『バイエル薬品「6 Minutes Run for CTEPH」』の結果発表会に参加した。

「6 Minutes Run for CTEPH」は難病指定されているCTEPHを多くの人に知ってもらい、患者への支援に繋げていくことを目的として始動した活動。CTEPHの臨床試験における評価項目「6分間歩行」にちなみ、啓発大使を務める細貝をはじめ、バイエル薬品社員、そして一般公募による参加者全員が6分間に走った合計距離と、細貝の2013-14、2014-15シーズンの公式戦走行距離を合計し、1kmにつき1000円で換算した金額を患者への支援プログラムや活動団体に助成する。

 2013年7月に東京の国立競技場からスタートし、5回目となる今回は、2013年からの2年間で集まった寄付の総額が発表され、細貝が2シーズンの公式戦で走った537kmと、イベントでの6分間走での合計距離792kmを換算した132万9000円が寄付された。

僕が走ることで患者さん、家族の力になることができる

――啓発大使として活動を開始して丸2年が経ちました。これまでの活動を振り返ってみていかがですか?

細貝萌(以下、細貝) こういう機会をいただいて、自分ができることもすごく増えてきたので嬉しく思っています。一番は、僕が走ることで力になれることです。試合で走った距離が助成金に換算されるので、僕がしっかりと走らないといけないんですよ。試合で疲れてきた時間帯でも「頑張らなきゃ」という気持ちになります。

――今回は、子どもたちにも難病を知ってもらうことがテーマになっています。子どものころから、様々な困難を抱えている方がいることを知ってもらうのは重要ですか?

細貝 そうですね。実際、子どもたちが病気のことをどれくらい理解できているかは分かりません。それでも、せっかくの機会ですから少しでも分かってほしい。まずは、子どもだけではなく、全ての人にこのCTEPHという病気の存在を知ってほしいと思っています。

――今後は具体的にどのような活動を予定されていますか?

細貝 まずは僕自身がドイツでしっかりとプレーをすること。こういう活動に支えられて頑張れている部分もあるので、やっぱりプレーで恩返しをしたいです。具体的にはまだ決まっていませんが、これからも多くの人にCTEPHという病気を知ってもらえるように、できる限りのことをやっていきます。

今までの中で一番苦しいシーズンだった

――今シーズンはご自身にとってどのようなシーズンでしたか?

細貝 すごく難しいシーズンでした。特にシーズン後半は、自分がピッチでしっかりとプレーすることができず、これまでのキャリアの中で最もつらい時期でした。

――終盤戦はなかなか出場機会がなく、4月には足に炎症を起こして入院されていました。どのような心境でその時期を過ごされていましたか?

細貝 その時期は今までの中で一番苦しかったですね。でも、それをしっかり乗り越えたことで、メンタル面でタフになりました。本当に苦しんだからこそ、今までで一番選手として、何より人として成長できました。だからシーズンを終えた今は、自分にとって良い1年だったと思っています。

――具体的にどういう部分で成長を感じましたか?

細貝 苦しいときでも、まずは自分自身ができることに集中してきました。今までであれば諦めてしまうところも、「もう少し頑張ってみよう」という気持ちを持つことができて、それを継続できた点ですね。

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2014-15シーズンはリーグ戦20試合の出場に留まった [写真]=Getty Images

――負傷で少しピッチから離れることで冷静に考えられた部分もありましたか?

細貝 そうですね。特に苦しかった時期に入院したので、自分の状況を冷静に考えることができました。入院期間や、完治するまでのプレーができなかった期間は、すごく意味のある良い時間でしたね。

――今シーズン途中から就任したパル・ダルダイ監督の続投も決定しました。ダルダイ監督は、細貝選手について「調子が戻るのを待っている」と説明していましたが、お互いに意見を交わすことはありましたか?

細貝 頻繁ではないですが、話し合いはしました。「調子が戻るのを待っている」ということを直接言われましたし。個人的には決して調子が悪かったわけではないとは思いますが……。ただ、チームが難しい時期だったこともあり、その間に足の炎症もあったので、自分のタイミング的にも(出場するのは)難しかったのかなと思っています。

――では、来シーズンに向けての目標を教えてください。

細貝 新しいシーズンなので、始まってみないとどうなるか分からないですけど、チームともしっかりと話をしています。チームは僕が「ボランチで一番の選手だ」とずっと言ってくれています。とは言え、今シーズンの後半戦は試合に出られなかったし、メンバーにも入れてもらえなかった。正直、少し不安はあります。それでも自分に自信がないわけではないので。ヘルタ・ベルリンで自分がやれるという自信もあります。まあ、始まってみないと分からないことが多いですね。

僕ができるサポートはしてあげたいし、知識を上手く伝えてあげたい

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ヘルタ・ベルリンでチームメイトの細貝(右)と原口(左) [写真]=Getty Images

――ドイツへ移籍して1年目だったチームメイトの原口元気選手をどう評価されていますか?

細貝 すごく頑張っています。終盤戦は継続して試合にも出ていましたから。彼は見た目以上にしっかり練習もしていますし、努力もしている選手です。僕はただ先輩として、彼が気持ちよくプレーできるようにサポートしてあげたいという気持ちが強かったです。

――来シーズンは、武藤嘉紀選手がマインツに、宮市亮選手がザンクトパウリ(2部)へ移籍することが決定しています。ブンデスリーガ1部も2部も経験されている細貝選手から、何かアドバイスはありますか?

細貝 彼らは能力のある選手たちなので、基本的に問題ないと思いますよ。それでも分からないことがあれば、自分が知っている知識を上手く伝えてあげたい。彼らの実力であれば何の問題もないと思いますけどね。

――武藤選手は1部同士で対戦する機会もあります。

細貝 ポジション的に彼は攻撃的な選手で、僕はどちらかというと守備的。楽しみな対戦が一つ増えましたね。

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奥さんのウエディングドレス姿を見た時点で泣いてしまった

――プライベートについて少しお聞かせください。先日、結婚式を挙げられたということで、おめでとうございます。式の感想を教えていただけますか。

細貝 ありがとうございます。すごく良かったですよ。ちょうど結婚することが決まった時期に移籍したので、結婚してもう4年が経っているんです。なかなか式を挙げるタイミングがなかったので、ようやく奥さんや両親のためにも式を挙げることができて一安心しています。

――ドイツで4年間の夫婦生活を送られる中で、奥様の存在が支えになったエピソードはありますか?

細貝 それはたくさんありますよ(笑)。海外生活なので日本とは違う問題も起きます。僕はプレイヤーとしてドイツへ行っていますけど、奥さんに関しては自分が求めて渡欧したわけではない。彼女も、自分の仕事を頑張りたい気持ちが強い中で僕に付いてきてくれたんです。とても助かっていますし、本当に感謝しています。自分のことを二の次にして、サポートしてくれているっていうのはすごく嬉しいです。

――式を挙げて、改めて心境の変化はありましたか?

細貝 まあ4年も一緒に生活しているので、何が変わったということはないですね。一つのケジメとして、式を挙げて良かったとは思っています。

――式の最中はずっと泣いていたとお聞きしました。

細貝 はい(苦笑)。まだ式が始まる前なのに、奥さんのウエディングドレス姿を見た時点で泣いてしまって……式が始まってからも終始泣いていました(笑)。

サプライズのビデオメッセージには驚きました

――同じドイツでプレーする内田篤人選手や乾貴士選手が式に出席していることが話題になりました。何か祝福の言葉はありましたか?

細貝「おめでとう」と言ってもらいましたよ。実は、海外組の日本代表選手には声を掛けていたんです。でも、海外組だけ先行して国内合宿をすることになったので、スケジュールが合わなくなってしまって。そしたら、ビデオメッセージをくれたんです。

――サプライズで?

細貝 そうです。僕は全く知らなかったので驚きました。海外組全選手からメッセージをもらいましたよ。当初は出席予定だったので来られなくなったのは残念でしたけど、合宿中にわざわざメッセージをくれたのはすごく嬉しかったです。特に岡ちゃん(岡崎慎司)は笑いを取ろうと頑張ってくれていました(笑)。他にも、浦和レッズのメンバーがメッセージをくれましたよ。梅ちゃん(梅崎司)だったり、槙野(智章)だったり、(柏木)陽介もそうだし、阿部(勇樹)さんもそうだし、(鈴木)啓太さんも。スタッフも含めてみんなメッセージくれたので、すごく嬉しかったです。やっぱり槙野はキャラがキャラなので、楽しそうにビデオを撮ってくれていましたよ(笑)。

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6月11日のイラク戦に出場した本田、長友、岡崎、香川(右から)[写真]=Getty Images

――それを見てまた泣かれました?

細貝 それは笑いながら見ることができましたね。でも、友人代表としてスピーチをしてくれたエスクデロ・セルヒオ(FCソウル所属)の言葉を聞いていると涙が出てきました。スピーチに関しては、ウエルカムスピーチを聞いただけで泣いていたくらいなので、最後のスピーチでは涙が止まらず、全然喋れなかったですね。

――そもそも1カ月という短期間で準備されたようですね。

細貝 準備はほとんど奥さんがやってくれました。僕は式の一週間前までドイツにいましたから。式場のホテルも帰国して、式の4日くらい前に初めて見て。タキシードも帰国してから急いで採寸しました。ほとんど何をしたらいいか分からない状況で当日を迎えました。唯一、僕が手伝ったのは音楽ですね。式中に流れるBGMを作りました。あとは全部奥さんが準備をしてくれて…すごく感謝しています。

――それは細貝選手の好きな音楽を選曲されたのでしょうか?

細貝 どの曲がいいとかではなくて、「ここはジャズ系でいこう」とか本格的に作りましたよ。出来上がったCDもすごく良い仕上がりで。式を終えた後も、そのCDを聴いて余韻に浸っています(笑)。

――内田選手もご結婚されましたね。

細貝 前から二人のことは聞いていました。内田選手とは普段から連絡を取りますし、仲が良いので色々と話しています。とにかく彼には幸せになってほしいですね。彼の選んだ人ですし、今後も家族同士で良い付き合いができたらいいなと思っていますけどね。

子どもから大人まで楽しめる場所を作りたい

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――今回のイベントでは、楽しそうに子どもたちとのミニゲームをする姿が印象的でした。ドイツで子どもたちとプレーする機会はありますか?

細貝 あまりないですね。ファン感謝デーのサイン会みたいなイベントはありますけど、子どもたちと触れ合う機会は多くありません。やっぱり子どもたちとプレーするのは楽しいですね。

――ご出身の群馬県にフットサル場を作られたんですよね。

細貝 フットサルは小さい子どもから年配の方まで幅広く楽しんでもらえるスポーツだと思っています。僕を育ててくれた群馬県に、そういう人たちが楽しめる場所を作りたくて以前から計画を立てていたんですが、やっと完成しました。僕自身、このオフ期間中に足を運んでトレーニングをしましたし、みなさんに楽しんでいただける場所になったら良いなと思っています。

■細貝萌プロデュースのフットサル場『HOSOGAI FUTSAL PLATZ』
http://hosogai-futsal.com/
■細貝萌オフィシャルブログ『Hajime Hosogai.net』
http://www.hajime-hosogai.net/