2014.06.10

[ROAD TO BRAZIL]フランス人監督の下、攻守のバランスを追求…コートジボワール代表戦力解析

[サムライサッカーキング3月号掲載]

3大会連続3回目の出場となるアフリカ最強の攻撃力を誇るエレファンツ。若きフランス人監督がもたらしたバランスを携え、4年前の雪辱を期す。
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文=河治良幸 写真=Getty Images

中心はヤヤ・トゥーレ、ラムーシ監督の采配も肝

 ワールドカップ・アフリカ予選を8試合で19得点7失点と、圧倒的な強さで突破したコートジボワール代表(愛称エレファンツ)。3大会連続、3回目のW杯出場となる。日本代表とは過去に3度対戦し、コートジボワールの1勝2敗と負け越しているが、南アフリカW杯の直前にスイスで行われたテストマッチでは、セットプレーから2得点を奪い、2-0で完勝している。

 その試合では、ディディエ・ドログバが田中マルクス闘莉王との接触で右腕を骨折し、南アフリカW杯にベストコンディションで臨めなかった。あれから4年が経ち、ドログバも36歳。アフリカ予選の序盤戦でサブリ・ラムーシ監督にメンバーから外されたこともあったが、やはりチームに欠かせない存在として復帰すると、3次予選のセネガル戦では獅子奮迅の活躍。攻撃に流れを呼び込み、相手が猛攻を仕掛けてきた第2戦の終盤は守備でも奮闘するなど、文字どおり大黒柱となった。

 ドログバは現在もチームのカリスマだが、攻守において中心をなすのは、3年連続でアフリカ最優秀選手賞を受賞したヤヤ・トゥーレだ。

 圧倒的な身体能力と確かな技術を兼ね備え、チャージに来る敵を強靭な肉体ではね退けながら、ダイナミックな仕掛けにつなげる。強烈なキック力を備えるヤヤ・トゥーレは、ドログバからFKキッカーも引き継いでおり、アフリカ予選での3得点中の2得点はFKを直接ゴールに突き刺したものだ。

 コートジボワールの守備は、そのヤヤ・トゥーレを軸として、高い位置からプレッシングを掛けてボールを奪いにいくスタイルだ。ただ、全員がコンパクトに連動するのではなく、基本的には1人が単独でボール保持者に当たり、周囲の選手はバランスを取る。前線の選手は高いポジションを取り、ディフェンスラインは相手が迫るとすぐ下がる傾向があるため、中盤が間延びして両ワイドにスペースが生じることも多い。ここは日本代表にとって付け入る隙となるだろう。

 DF陣は一人ひとりが強靭なフィジカルを誇るが、両サイドバックの主力であるセルジュ・オーリエとアルトゥール・ボカは守備時のポジショニングが不安定で、センターバックにしても、本職がボランチのディディエ・ゾコラは空中戦、巨漢DFのスレイマン・バンバは変化のある攻撃に弱い部分がある。

 ただ、予選突破を掛けたセネガルとの第2戦では、ベテランセンターバックのコロ・トゥーレが右サイドバックに入り、粘り強い対応で守備を引き締めた。新天地リヴァプールで復調したこのDFがディフェンス陣の一角に入ると、日本にとっても得点のハードルが一段高くなる。

 攻撃は中盤が正確にボールをつなぎ、ウィングの鋭い仕掛けでチャンスを作るのが基本形。ドログバやヤヤ・トゥーレのボールキープを起点とした中央攻撃も危険で、その場合はウィングがカットインしてフィニッシュに絡む。

 アフリカ予選では左ウィングを基本ポジションとするサロモン・カルーが、効果的な飛び出しからチーム最多の5得点を挙げた。右ウィングのジェルヴィーニョは得点こそなかったが、高速ドリブルからの鮮やかなラストパスで4つのアシストを記録。更に4得点を生んだPKのうち3つはジェルヴィーニョがエリア内で倒されて獲得したものだ。

 このように、コートジボワールは高い攻撃力を有している。しかしフランス人のラムーシ監督は攻守のバランスを追求しており、フィニッシュ時にアタッキングサードまで攻め上がっているのは4人の攻撃陣にプラス1人といったところ。6、7人の選手がゴール前に殺到した、ヴァヒド・ハリホジッチ(現アルジェリア代表監督)が率いて平均3得点を挙げた4年前の予選時ほどの迫力はないが、タイミング良く攻め上がるサイドバックからのハイクロスに、強靭なドログバやヤヤ・トゥーレが合わせる形は危険だ。

 レギュラー陣の他にも攻撃のタレントは揃う。スピードとパワーを併せ持つウィルフリード・ボニー、抜群のスピードと左足の強烈なシュートを武器とする俊足FWのジョヴァンニ・シオ、FW級の決定力を誇る攻撃的MFのヤ・コナンといった個性派も控えており、ラムーシ監督が試合展開に応じてどういうカードを切ってくるかも勝負に大きく影響しそうだ。