2014.04.14

【特別対談】セルジオ越後×三浦淳寛「ブラジルW杯には日本サッカーの未来がかかっている」

辛口評論家としてお馴染みのセルジオ越後氏と、同氏を恩師と仰ぐ三浦淳寛氏。日本代表に対して誰よりも愛を持つ二人が、ブラジル・ワールドカップを2カ月後に控えた今、初めて語り合った。(3月27日収録)
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引いて守って勝つのも手段の一つ

──さて、いよいよワールドカップ開幕まで70日を切りました。日本代表の現状について、それぞれどう思っているかというところからお聞きしたいのですが。

三浦 まず、本田圭佑を中心にしてチームを作ってきたというのは確かだと思うんですね。だから少し心配なのは、今ミランであまり試合に絡めていない本田のゲーム勘が、今後どうなるのか、というところですね。それは香川真司にも言えることですよね。世界の中での日本代表のレベルって、恐らく本当に一番良い状態で入って、更にプラスアルファが出てきて、ようやく良い成績が収めることができる、という感じだと思います。だから中心となっている2人のコンディションに関してはすごく心配ですね。彼らがいない時のオプションというのはこれまであまり試していませんから。

──セルジオさんはいかがですか?

セルジオ 冷静に考えたら、例えばコートジボワールにはヤヤ・トゥーレがいるよね。マンチェスター・シティーでバリバリのトップ下をやっている選手です。だけど日本だと、なんだか本田のほうがスーパーな選手のように扱われる。でも現実は違いますよね。ただしW杯は短期決戦だから、弱いチームが強いチームに勝てる可能性もある。だから僕は、自分たちのレベルを冷静に把握して、もっと守りを重視して、カウンターで少ないチャンスをモノにするような、そういうイメージで本大会に臨まなくてはいけないんじゃないかなと思います。特に1試合目のコートジボワール戦はそうすべきだなと。

──南アフリカ大会では大会前のテストマッチで敗れ続けたことで、逆に開き直ることができましたね。

セルジオ 韓国に負けて、すごく危機感を持って現地に行きましたよね。それが本番のチャレンジャー精神にもつながった。僕は弱いチームが引いて守って勝つというのは、なんら恥ずかしい話ではないと思うし、それも戦術だよね。相手が横綱で、日本が勝って座布団を飛ばす。そういう気持ちを最初から持っていたら、ポジティブに考えられると思うんだよね。一番タチが悪いのは、大丈夫だ、大丈夫だと軽く言っていて、ポンポンと点を取られてバタバタしちゃうこと。アジアの中にいると、錯覚してしまうんですね。やっぱり強い国と戦って、負けて学んだことはなんだと。それを生かさなければならない。だから「目標は優勝」というのも、僕はまだ言うべきじゃないと思うんだよね。ああいう言葉が、変な空気を作ってしまう。同じチームでも、例えば岡崎(慎司)とかはそのあたりがすごく謙虚だよ。で、今一番ゴールを決めている選手は誰か、という話ですよ。日本にはまだ謙虚さが必要だということ。自信と過信は全然違うからね。


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三浦が語るドイツW杯の裏側、団結力の重要性とは

──三浦さんはドイツW杯予選を戦われた経験がありますが、当時のチームを取り巻く雰囲気が、今と似ているんじゃないか、という声もあります。その辺りはどう思いますか?

三浦 実際に中に入っていないから分からないですけど、少し心配なのはセルジオさんが言ったようにサポーターの期待感がちょっと高過ぎるなっていう感じはあるんですね。日本代表を取り巻く空気がそういうものになってしまっている。これで実際にもし初戦で負けたら、一転して叩かれる可能性もあります。ですから一番大事なのは、負けた時にチームがどう一つになれるかというところですよね。ドイツW杯の時は、初戦のオーストラリア戦が終わった後に、ツネ(宮本恒靖)から電話をもらっているんですね。チーム状況が良くないと。あれだけ期待されて、力のある選手たちを揃えたチームが、一つ負けたことで一気にバラバラになってしまったんです。

セルジオ スポーツって、勝ったら解決しないんですよね。問題が先送りになるんです。でも負けたら一気にいろんなことが出てくる。それが人間社会ですよね。その点で、今のザックジャパンは、一見平和に見えるけど、実際のところはどうなんだと。負けた時にどうか、というのは気になるよね。

──改めて、今年のW杯における日本代表についてどういう期待をしますか?

セルジオ 今の日本サッカー界って、決して良い時代じゃないと思うんですね。経済的に追い込まれているクラブもあるし、Jリーグのお客さんは減っていて、いろいろな問題も起きている。そこで、W杯から盛り上がって帰るのと、しぼんで帰るのとでは大きな違いがありますよね。横浜フリューゲルスは、なくなりそうになったから結束力が出て、天皇杯も優勝した。やっぱり、人間は追い込まれたらプラスアルファの力が出るよね。今の日本サッカー界も、実は崖っぷちにいると思うんです。日本代表戦だけを民放が争って中継するんじゃなくて、Jリーグも民放が争うようになるために、もう一度そういう時代が戻ってくるために、やっぱりW杯で名乗りを上げなければならない。選手だけでなくすべての人たちが、日本サッカーの未来はこのW杯の成績にかかっているんだという自覚で頑張ってほしいと思いますね。

三浦 まさに同感ですね。本当にこれからの日本サッカーの未来が掛かっていると思うので、まずは絶対グループステージは突破して、とにかく一つでも多く試合をしてほしいと思いますし、そうすることでサッカー界が良い方向に向かっていくのかなと。そのためには、繰り返しますが、チームの一体感というものが必要だと思います。


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対談時に2人が着用していたのは、イタリアで社会現象を巻き起こすほどの人気を誇る「クルチアーニ C ブレスレット」の「サムライブルーモデル」。我らが日本代表への気持ちの込められたこのブレスレットを着用し、いざブラジルへ!