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中村文哉(G大阪ユース/1年/ FW )「抜群のメンタリティーを誇る将来のエース候補」

2012.08.27

Jリーグサッカーキング10月号掲載】

ユース年代を中心に日本中だけでなく、世界へも飛び回っている“ユース教授”が、注目&オススメの選手を紹介します。今回はG大阪にに所属する1年生ストライカー、中村文哉選手です。

文・写真=安藤隆人

 今年のガンバ大阪ユースは1年生がいい。その頭格が、中村文哉だ。

 中学時代から将来を嘱望される存在だった。彼の地元は筆者と同じ岐阜。全国レベルの強豪・岐阜VAMOSでは、県内ダントツの知名度を誇った。切れ味鋭いドリブルとスペースを見つける能力に優れ、バイタルエリアで見せる無類の勝負強さは、中学レベルを超えていた。多くのJクラブの争奪戦の末、彼が選んだのはG大阪ユースだった。

 加入後、彼はすぐにその才能を発揮する。まだ1年生だけにレギュラー獲得には至っていないが、途中出場で流れを変えられる選手として早くも大きな期待を集めている。

 彼の性格はまさにストライカー向き。1年生にもかかわらず、臆することなく堂々と指示や要求を出す。相手がすべて年上であってもお構いなしで、自分のストロングポイントを出せるのは大きな強みだ。

 しかし、彼はG大阪ユースの一員として初めて出場した全国大会で大きな悔しさを味わう。日本クラブユース選手権で順当にグループリーグを突破したチームは、広島ユースとの決勝トーナメント初戦を迎える。彼はベンチで戦況を見つめたが、開始わずか15秒という早い時間に先制点を許すと、その後も相手の猛攻の前に厳しい戦いを強いられた。

 そして1-4で迎えた63分にMF東宏樹に代わってピッチに送り込まれると、前線で声を出しながらボールを要求し続けた。しかし、思うようにボールは受けられず、ボールを持っても素早い寄せに何もさせてもらえなかった。試合は79分に1点を追加されて1-5の大敗に終わった。

 厳しい状況での出場だっただけに、流れを変えるのは至難の業だった。ましてや彼はまだ1年生。だが、試合後には悔しさを前面に出し、シュートを1本も打てず、何もできなかった自分を責めた。

 このメンタリティーこそが、ルーキーながら出番を得ている証拠であり、これからさらに伸びる要素の一つである。ユース年代での初めての全国大会はほろ苦いものに終わったが、彼ならこれを力に代えてくれるだろう。

 今年はU-16日本代表の一員として、9月にU-17アジア選手権を控えている。U-17ワールドカップ出場権を懸けた戦いだ。彼に立ち止っている時間はない。更なる成長に向け、そして将来G大阪のエースになるために。今はよりハングリーに戦い続けてほしい。

【プロフィール】
安藤隆人(あんどう・たかひと)
1978年2月9日生まれ。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、サッカージャーナリストに転身。ユース年代の取材のために全国行脚を繰り返し、海外取材も精力的にこなす。今年1月には、これまでの自身の歩みと、取材を通して共に成長してきた本田圭佑、岡崎慎司、香川真司らとの歩みを一冊の本にまとめた『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』を出版。Numberや日経ビジネスアソシエにも寄稿。

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