2013.12.08

「小学校のときにはもう漫画家になりたいと思っていた」 戸田邦和(漫画家)インタビュー中編

戸田邦和

戸田邦和

 戸田邦和先生(写真右)は独学で漫画家になった。

 いつごろから漫画家を目指していたのか。

 多数のスポーツマンガはデビュー作からつながっていた。

なんとかして道具を手に入れて描いていた

――戸田先生は、少年時代にどんなマンガをお読みになられていたんですか?

戸田邦和(以下、戸田) 小さいころから読んでましたね。最初は『ドラえもん』はもちろん、藤子不二雄先生で育ちましたよ。少年マンガは、車田正美先生の『リングにかけろ』からハマりましたね。近所のお兄ちゃんがプレゼントしてくれたんですよ、『リングにかけろ』の5巻だけを(笑)

――中途半端な巻ですね(笑)

戸田 前後の話はまったく分からないんですけど、ボクシングやってて面白くて、そこからコミックスを買って、『少年ジャンプ』も読むようになりましたね。

――いろんなマンガを読みながら、いつごろから漫画家になりたいと思われていましたか?

戸田 小学校のときにはもう思っていましたね。マンガを真似して描いたりしましたし。ちょっと微妙に変えたキャラクターにして名前だけ変えて、コマ割りとかはまったく同じでまんまコピーするような形で。

――小学生でですか? 単純にイラストではなく、マンガとして形になっているものを。

戸田 そうですね。コマがあって右左ページを描いてということをやっていましたよ。最初は鉛筆で誰かの真似をするような感じでしたけど、雑誌の中にあるマンガ教室みたいなコーナーを見て、なんとかして道具を手に入れて描いていましたね。

――独学だったんですね。そして21歳のとき、ついに漫画家デビューとなりますが、デビュー作が『ROUND』と『ONCE AGAIN』の二つでした。

戸田 それは、担当さんの意向で『ROUND』を新人の手塚賞に応募したんですね。でも、デビューが確実な入選はなかなか出ない賞ですし、佳作だとしてもトップではないのでデビューにはならない。だから毎月ある月例賞のトップを目指して、もう一本『ONCE AGAIN』を描いていたんです。それで下書きまでやった段階で、『ROUND』がその年の手塚賞のトップだった準入選になったんですよ。

――デビュー確定ということになったんですよね?

戸田 そうなんです。でも、よかったなと思っていたら担当さんから、「今描いている最中の原稿を会議に出したいから持ってきてくれる?」って。なぜか、手塚賞準入選の『ROUND』と、まだ賞も取ってないけど書き下ろしの『ONCE AGAIN』も同時掲載で行こうっていう話になったんです。

――どちらもボクシングマンガですが、どういった違いを考えてお作りになったんですか?

戸田 当時、『はじめの一歩』が始まって衝撃を受けたんです。今まで使っていない構図で引いた遠い画面でも迫力や痛みがあって、絵が動いていたんです。それに影響されて、迫力のあるアクションを描きたいと思って『ROUND』を作りましたね。『ONCE AGAIN』はまったく違う絵のスタイルです。同じ人物が描いているように見えないんですよ。こっちは『ろくでなしブルース』のように、マンガの表現のできる範囲の中で写実的にしようとしましたね。まだ新人のころで自分のスタイルも確立もしていないので、その当時いいなと思ったものをどんどん取り入れていました。

戸田邦和イラスト

80ページの企画がとんとん拍子で進んでいった

――その後、いろんなジャンルの読み切りをされていますよね。『痛快! デビルフィッシュ』は釣りがテーマでした。

戸田 ありましたね(笑)。『成立高校サッカー部物語』もありますしね。

――スポーツがらみだと、メジャーリーグのマック鈴木選手を題材にした『MAX - マック鈴木の挑戦』が最初ですか?

戸田 そうですね、実録スポーツ系のはしりは。デビュー作の動いている絵が評価されていたのか、お声が掛かりましたね。原作の方が持ってきてくれたエピソードを元にマンガにしました。

――2002年の日韓ワールドカップのときには、『三都主アレサンドロ物語』も描かれているんですよね。

戸田 それは、高橋先生から紹介してもらった編集さんに、数点のぱっと描いたカットを見せたら、『100ページほど描いて』って言われて。それほんとなんすか?みたいな感じで(笑)。

――いきなり100ページもですか。

戸田 実際は80ページぐらいなんですけど、とんとん拍子で企画が進みましたね。その雑誌は増刊号で『キャプテン翼』がメインだったんですね。もちろんメインは『キャプテン翼』ですけど、実在のスポーツ選手の中では三都主物語がメインでした。

――師弟そろい踏みといった感じの雑誌になったんですね。

戸田 そうですね。おそらくその後の実在選手のマンガや、『スーパージャンプ』で連載したモンゴル相撲の『蒼き大地ブフ』も三都主を描いた直後だったので評価していただけたんだなと思いますよ。

――このころからスポーツ中心なラインナップですね。

戸田 そうですね、『為末大物語』や『室伏広治物語』のように、スポーツに関わるマンガが多いですね。

(インタビュー後編に続く)

戸田邦和

◆インタビュー前編
「高橋陽一先生のアシスタント時代は好き勝手やっていた」 戸田邦和(漫画家)インタビュー前編

マンガアカデミー翼塾 講師 戸田邦和(漫画家) Kunikazu TODA
1969年9月16日生まれ、東京都出身。1991年、『週刊少年ジャンプ』の第41回手塚賞において準入選しデビュー。掲載作品に『MAX -マック鈴木の挑戦』などがある。後に『週刊少年チャンピオン』で『RAIN DOG』や『どうぎんぐ』、『スーパージャンプ』で『蒼き大地ブフ』を連載するなど連載作品が多数あり、『週刊ヤングジャンプ』などで実在の人物を取り扱ったストーリーものの読み切り作品を多数、掲載している。2005年からは『WORLD SOCCER KING』誌上で『龍時』を連載。マンガアカデミー翼塾では講師を務める。

インタビュー・文=佐藤功
写真=赤石珠央

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●サッカーキング・アカデミー「編集・ライター科」の受講生がインタビューと原稿執筆を、「カメラマン科」の受講生が撮影を担当しました。
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