[連載|ワールドサッカーキング 11.11.17(No.196) 掲載]
快調に勝利を重ねるローマの中で、ダニエレ・デ・ロッシの鋭い動きは特に際立つ。動きの質や量が更なるレベルアップを遂げ、新しい攻撃スタイルを打ち出す監督の期待に見事に応えている。スペイン流のポゼッションスタイルはイタリアに革命を起こせるのか。チーム浮沈のカギを握るデ・ロッシがその手応えを語った。

ダニエレ・デ・ロッシは昨シーズンの不調がうそのように、毎試合、鋭い動きを見せている。彼の活躍とシンクロするように、ローマも上位をキープ。チャンピオンズリーグ出場権はもちろん、スクデットを十分狙える位置に付けている。新監督が提唱するスペイン流の攻撃サッカーはいまだ未完成だが、選手たちのプレーに迷いは感じられない。
チームを牽引する立場にあるデ・ロッシは、この変革の先に明るい未来があると確信している。ピッチでの役割に新たな要素が増えたことにも不満は一切ない。ローマに新しく注入された攻撃サッカーの哲学に、イタリアのサッカー界を変える可能性を感じ取っているのだ。
君は以前のフォームを完全に取り戻したようだけど、何か特別なことをしたの?
デ・ロッシ 僕は何も変わっていないよ。以前のデ・ロッシと同じさ。ただ、僕のように長いキャリアを歩んでいる選手には、いつものプレーができなくなる時期、パフォーマンスが落ちる時期があるんだ。昨シーズンの僕はちょっとしたスランプに陥っていたけど、体に異常があったわけじゃない。今年の夏に軽い耳の手術を受けたことで、オフシーズンには1人でトレーニングすることになった。でも結果的には、自分のペースで体作りができて、最高のコンディションでシーズンを迎えられたんだ。
今シーズンのローマは革新的な変化を遂げたと思うけど。
デ・ロッシ 確かにローマはあらゆる面で変わったよ。オーナーやテクニカルスタッフが一新されて、新たに11人もの新戦力がチームに加わった。目指すスタイルが明確になったことで、新しいサイクルが始まったんだ。

ローマの新オーナーになったトーマス・ディベネデットはどんな人?
デ・ロッシ アメリカ人だから、当初はサッカーのことをあまり知らないんだろうなと思っていた。ところが直接話をして驚いたよ。イタリア人のフロントも顔負けの知識を持っていたんだ。おそらくオーナー職に就くということで、猛勉強したんじゃないかな。彼なら強いローマを作ってくれると確信しているよ。
そして新生ローマを率いるのは、長年バルセロナで活躍した名MFのルイス・エンリケだ。この数カ月で彼にはどんな印象を受けた?
デ・ロッシ すごく明解なアイデアを持ち、大きな野望を抱いている監督だ。人間的には裏表がないタイプだね。彼は思っていることを面と向かって明確に示してくれるし、経験豊富なベテランから駆け出しの若手まで平等に接してくれるところも気に入っている。
L・エンリケは新たなサッカー哲学をチームに持ち込んでいる。プレーヤー視点から見て、大きな変化はあった?
デ・ロッシ 変わったことはたくさんある。L・エンリケは、試合そのものを支配するような戦いを望んでいるんだ。高い位置でのプレッシング、コンパクトなサッカー、そしてボールポゼッション。現時点でスケールの大小はあっても、やっぱりバルセロナのスタイルに基づいたサッカーを実践しようとしているね。どれくらい時間が掛かるか分からないけど、僕たちはL・エンリケが望むレベルに達するまでハードなトレーニングを積み重ねていく。僕は今、それにとてもやりがいを感じているんだ。
新しいサッカースタイルを受け入れるのは難しくなかった?
デ・ロッシ サッカーの根本が変わったからね(苦笑)。以前は相手よりも失点しないことを考えていたけど、今は相手よりも多くのゴールを決めることが共通理解になっている。戦術アプローチが全く違うから、まずはL・エンリケの指導を頭で理解して、それを実際にピッチの上で表現してみるんだ。僕が思うに、まだこの変化は初期段階に過ぎない。だとしたら、チームはまだまだ進化を遂げられるはずだ。ローマにはきっと明るい未来が待っていると思うよ。
今シーズンのカンピオナートでローマがスクデットを獲得できる可能性は?
デ・ロッシ ひとまず今はスクデットのことは考えないようにしているんだ。現時点で重要なのは、いいパフォーマンスを継続することだからね。いいサッカーを続けた結果、シーズン終盤で上位に付けていれば、その時は当然スクデットを引き寄せたい。ただ、現在ローマが掲げているプロジェクトは3、4年のスパンをベースに動いている。仮に今シーズン優勝を逃したとしても、それは大きな問題じゃない。僕らはあくまで中長期的なチーム作りをしているものと理解してほしい。
<続きは誌面で>
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