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【高校選手権展望】<東海大星翔>“フロック”ではない初出場 鮮やかパスサッカーを武器に

2017.12.27

右サイドから攻撃の起点となる東海大星翔MF一怜哉 [写真]=平野貴也

 激戦区の熊本に、鮮やかなパスサッカーを体現するチームが現れた。第96回全国高校サッカー選手権大会に出場する東海大星翔高校だ。

 2012年に東海大第二高校から改称。同時にサッカー部強化に注力した。同年に人工芝グラウンドを新設。前年に就任した吉岡宏樹監督がチームを率いている。13年には、国見(長崎)や熊本国府(熊本)で指導経験のある瀧上知巳氏を高校と東海大学熊本の総監督として招へいした。熊本勢で近年の高校選手権で優秀な成績を収めているのは大津、ルーテル学院、熊本国府で8強入りを果たしている。激戦区とも言えるが、今季は東海大星翔が高校総体(インターハイ)の県大会で39年ぶりに優勝。県1部リーグも制覇し、冬も優勝。県内三冠に輝き、高校選手権の初出場を決めたが、決してフロックで勝ったわけではない。

 選手間の距離を縮め、ショートパスを丁寧につなぎながら攻撃を組み立て、何度もサイドチェンジをしながら突破を図る攻撃スタイルが特長だ。右サイドは、一怜哉が単独突破を仕掛け、左サイドはMF中川大暉が中央へ絞って2年生DF國岡秀隆が駆け上がる。國岡はクロスの質が良く、中川は國岡のオーバーラップを誘発するだけでなく、ゴール前に飛び込んでゴールを狙う。相手にとっては、中央にも厄介な選手がいる。インサイドハーフに位置するMF吉岡涼斗とMF花田駿だ。前者は、U-15日本代表候補に選出された経歴を持つ。細かいタッチのドリブルが得意。後者は、運動量が豊富で左足のキックで一気に局面を変える。サイド突破を目指して「ショートパスをつないでいるだけ」の展開から、2人はいきなり相手の隙を突いていく武器を持っている。最前線は、攻守両面で精力的にボールを追い回すエースの渡辺力斗がゴールを狙う。

 ボールポゼッションが得意なため、試合の主導権を握りやすいことがチームの特長。ほかに、セットプレーからの得点力も高い。県予選の決勝は、右コーナーキックの流れから生まれた渡辺のゴールで勝っている。反対に課題となっているのは、立ち上がりの悪さだ。県予選の準決勝は2失点からの逆転勝利だった。主将の中村豪は「自分たちの課題。リーグ戦でも失点してから逆転という形が多い」と認めた。先に失点しまう悪い癖が致命傷となるか、経験がもたらす落ち着きが逆転勝利の呼び水となるかが、勝負の分かれ目だ。23日に行われたプリンスリーグ九州参入戦では先制された後に花田の2得点などで3-1まで逆転したが、終盤に2点を失って追いつかれ、最後は延長戦で2点を失って3-5で敗れた。サッカーの内容で勝っても、結果が伴わなければ夢には近付けない。

 夏のインターハイでは、2回戦で全国屈指の市立船橋(千葉)に0-3で敗れた。左DF國岡は「フィジカルで戦っていた部分があったけど、まったく通用しなかったので新しい武器が必要だと感じて、クロスを磨いて来た」と夏とは違う強さを身につけたことを強調した。まだ全国レベルでの経験値は浅いが、慣れてしまえば一気に上まで進むこともあり得るチームで目が離せない。

取材・文=平野貴也

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By 平野貴也

元スポーツナビ編集部。フリーに転身後はサッカーを中心に様々な競技を取材するスポーツライターに。

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