2015.11.15

中京大中京の『小さな仕事人』今枝晃祐が献身的なプレーで仲間を輝かせる

世界各国を放浪するサッカージャーナリスト。巷ではユース教授と呼ばれる。

 中京大中京高校の2連覇をもたらしたのは、けがから復帰した『小さな仕事人』だ。

「スペースを消したり、カバーリングしたり、少しでも周りの守備の負担を減らして、積極的な攻撃を仕掛けられるように献身的にプレーすることが持ち味だと思っています」

 こう語る中京大中京のボランチ、今枝晃祐は今年7月、練習中に左足の第5中足骨を骨折し、戦列を離れた。その間、チームはインターハイで西武台高校を相手に初戦敗退。全国で結果を残せなかった。

「今枝の不在が大きかった。貴重な存在なんだなと痛感した」

 西武台戦後、岡山哲也監督がこう語ったように、広範囲を献身的な守備でカバーできる彼の存在は、とてつもなく大きかった。その彼が復帰を遂げたのは、選手権予選準々決勝の豊川工業高校戦だった。大量リードをした中で、残り2分間出場すると、準決勝の愛知工業大学名電高校戦でスタメン復帰を果たし、決勝の岡崎城西高校戦でもスタメンに名を連ねた。

「今枝が居ると安心して攻撃ができる。本当に心強かった」とボランチコンビを組んだMF辻星哉が語れば、キャプテンの石川将暉も「あいつがリハビリの間もチームのためにいろんなことをやってくれた。彼がいたからこそ、『今枝と一生に戦おう』とチームが団結できた。今日はみんなの精神的な支柱になった」と語る。
 
 中盤の底に帰ってきた『小さな仕事人』によって、この2人が決勝で輝きを放った。「辻は能力が高いから、前に行かせて、石川も得点力が高いので、よりゴールに近い位置でプレーさせたい。だからこそ、より献身的にリスクマネジメントを意識してプレーした」と、今枝が大きなバックアップを見せた。パスセンスとキックの精度が高い辻が、より高い位置で攻撃のタクトを握ると、トップ下に入った石川が得意のフィジカルとスピードを活かして、バイタルエリアで起点を作りだした。
 
 今枝がいない間、石川と辻は守備に謀殺されることが多かった。石川のストロングポイントであるフィジカルを活かした力強いドリブルも、辻のストロングポイントである長短のパスも、いずれも仕掛ける位置が低く、つぶされることが多かった。だが、決勝では今枝の後押しを受け、高い位置から仕掛けたことで、相手のDFラインを押し下げただけでなく、相手の中盤の運動量を増やし、後半には徐々に足を止めさせた。

 すると後半開始早々の2分、中京大中京はスルーパスに反応したFW柳完治の横パスを受けた、MF加藤弘也が決めて先制点を奪う。56分に同点に追いつかれ、62分に今枝も交代でピッチを後にしたが、彼の献身的なプレーがもたらした勢いは止まらなかった。

 80分に猛攻から左CKを得ると、辻のボールを石川がヘッドで合わせ、決勝ゴール。今枝の後押しによって輝きを放った2人が試合を決めるゴールを生みだし、中京大中京が2年連続15回目の選手権出場を決めた。

「けがでチームのみんなに大きな迷惑をかけてしまったので、プレーで返したかった。僕は小学校の時から小さくて、レギュラー争いに生き残っていくためには、自己犠牲の心を持って必死にプレーしないといけないんです。性格的にも、試合でも試合外でも『チームのために』やることが好きなんです」

 リハビリ中は筋トレと、率先してチームの雑用をこなした。オフ・ザ・ピッチでも献身的な働きを見せていたからこそ、石川が言ったようにチームにとって『精神的な支柱』となった。選手権でも『小さな仕事人』が献身的なプレーで、仲間を輝かせてくれるだろう。それが今枝の生き甲斐でもあり、居場所をつかむための術なのだから。

文・写真=安藤隆人

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