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“ピッチでマラドーナと抱き合った男”川平慈英、兄ジョン・カビラも「僕にとっても宝」

2016.06.01

マラドーナについて語ってもらった川平慈英さん(左)とジョン・カビラさん(右) [写真]=野口岳彦

 サッカー史に残る名選手である元アルゼンチン代表MFディエゴ・マラドーナが、大活躍を見せた1986年のメキシコ・ワールドカップから今年で30年が経過する。

『サッカーキング』では節目の年を迎えるにあたり、マラドーナを“神”と崇めるほどの憧れの存在と話すジョン・カビラさんと川平慈英さんに対談してもらい、兄弟でその魅力を存分に語ってもらった。

 1978年に開催されたアルゼンチン・ワールドカップは「神楽坂にある銭湯の上にある兄が借りていたアパートで、結露どころじゃない状態の部屋で」兄弟そろってテレビ観戦していたと話す慈英さん。兄弟仲良く、サッカー漬けの日々を送っていたそうだが、翌1979年には日本でFIFAワールドユース選手権が開催された。

 同大会ではマラドーナがMVPを獲得するほどの活躍で、アルゼンチンが優勝を果たしたが、両名ともスタンドで生観戦をしたようで、「決勝の前日、たくさん作った紙吹雪をゴミ袋2つに入れて、友達とサンタさんのように担ぎながら入場したことを覚えています(笑)でも、撒き過ぎちゃって、前半終わる前になくなっちゃいました」(慈英さん)と当時の様子を思い起こしながら語る。

 アルゼンチンとソ連の対戦となった決勝戦では観客も興奮状態で、「ハーフタイムで早くも人が溢れるようにピッチへなだれ込んでいたんですよ。今じゃ考えられませんが(笑)」(ジョンさん)と話すほどの状況。この中でピッチへ“行く”ことを決めていた慈英さんは試合終了と同時に、優勝を喜んで抱き合うマラドーナとラモン・ディアスに向かって一直線に、「バーッと駆け寄っていって、それからラモンが離れたんです。そこからマラドーナと抱き合って、目があったら『誰だ、コイツ?』と言わんばかりに、両手で顔をプッシュされて、押しはがされましたね」「体がめちゃくちゃ分厚かった!ビア樽のような体」とユーモアを交えつつ、“奇跡の瞬間”を思い出す。

 当時の日本でのテレビ中継では試合終了と同時にカメラが切り替わったため、抱き合っている様子が映し出されなかったが、試合終了後もピッチの様子が放送されていたブエノスアイレスで観戦していたという方から後日、「ある少年がマラドーナに抱きつく姿を見ていました」と、裏付けをもらったことを明かす慈英さんは「本当に、忘れもしない。そこで僕の中でマラドーナは神格化しました」と感激の表情を浮かべた。

 マラドーナは国際的な大会では1979年のワールドユースと、1986年のメキシコW杯でのみのタイトル獲得だが、兄のジョンさんは「マラドーナは国際的な大会でのタイトルはそのワールドユースと86年のメキシコW杯の2つしかない。その2つしかない優勝の瞬間、マラドーナに抱きついた一般人って、世界でいるのか?!」と、大きく声を張ると、「もともと自慢の弟だったんだけど、これは僕にとっても宝。嬉しい!『弟はマラドーナと抱き合ったんだ!』と、いろいろな人に言える人間だって、この世の中にいないんだから」と、かわいい弟を称えると、慈英さんも「この話はどこの国に行っても、盛り上がりますよ。勲章です」と、マラドーナが世界共通の言語であると語ってくれている。

By サッカーキング編集部

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