2016.05.19

ハリル、期待のソウルMF高萩を初視察…アジアで進化した司令塔は「候補の一人」

高萩洋次郎
ハリルが視察に訪れたACL浦和戦でフル出場を果たしたFCソウルの高萩洋次郎 [写真]=Getty Images
共同通信社運動部

 アジアの舞台で戦う“海外組”の一人が、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督の前で「闘う姿勢」をしっかりと見せつけた。18日に埼玉スタジアムで行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)・ラウンド16の第1戦で、FCソウル(韓国)に在籍するMF高萩洋次郎がフル出場。試合は浦和レッズに0-1で敗れたが「内容的には悪くない。次の試合でチャンスはある」と、ソウルでの第2戦に目を向けた。

 定位置である3-5-2の攻撃的MFで先発し「相手はいなすのがうまいから、そこでボールを奪えればチャンスを作れると思った」と言うように、ボールホルダーに対する守備意識の高さが際立った。23分に興梠慎三、45分には李忠成への激しいタックルを主審に注意され、後半に入った58分に柏木陽介を倒してイエローカードを受けた。浦和サポーターのブーイングを浴びながら、セットプレーのキッカーを務めるなど攻撃面でも存在感を示し、27分には空中戦で槙野智章に競り勝ってアドリアーノへつなぐなどチャンスを演出した。その一方でスルーパスが味方と合わなかったり、キックがずれてボールを失う場面もあり「攻撃のところでもうちょっと良さを出せれば」と反省していたが、中盤でバランスを取るなど守備での貢献度も高く「(球際で)違いを出せたかどうか分からないけれど、守備は意識してこだわってやった」と振り返った。

高萩洋次郎

槙野とのマッチアップ。高萩は球際に激しく、戦う姿勢を示した [写真]=Getty Images

 サンフレッチェ広島ユースで育ち、昇格したトップチームでは天才肌のMFとして鳴らした。2015年にウェスタン・シドニー・ワンダーランズ(オーストラリア)に加入してからプレーの幅をさらに広げた。海を渡った当初は「日本で通用する技術が海外に行った時にどうなるのか。技術プラス違うものを身に付けられれば、新たな武器になるのではないかと思って環境を変えたかった。それが海外に出たかった理由の一つ」と話していた。

高萩洋次郎

ウェスタン・シドニーでは屈強なDFと対峙した [写真]=Getty Images

 それから1年半。屈強な大男が揃うオーストラリアのAリーグと、昨季途中からプレーする韓国のKリーグでもまれたテクニシャンは、フィジカルの強さを「武器」と呼べる選手に変貌した。広島ユース時代から知る、1学年下の槙野は「線の細さは変わらないけれど、ボールに対する執着心や闘う姿勢は広島時代には見られなかった」と率直な印象を語った。

 広島時代の2013年にアルベルト・ザッケローニ監督の下で日本代表デビューを果たし、2014年のFIFAワールドカップ・ブラジル大会前の候補合宿にも呼ばれたが、その後は日の丸から遠ざかっている。ハリルホジッチ体制の初陣(2015年3月)ではバックアップメンバーに名を連ねたが、招集はされなかった。初めてFCソウルでのプレーぶりを視察した指揮官は「映像はかなり見てきた。彼も代表候補の一人として見ている」と述べた。現在、トップ下に入っている香川真司(ドルトムント)や清武弘嗣(ハノーファー)とは違う独特のリズムとパスセンスを持つ。トップ下もボランチもこなす万能性があるだけに、代表の常連でもある槙野は「ああいうタイプは今いない。ホタル(山口蛍/ハノーファー)がケガをして枠があるという意味でも、新しい選手が入ることはチームにとって刺激になる」と語る。同じくユース時代から知る柏木は「同じイマジネーションを持ってプレーできる選手。一緒に代表に入れたらうれしい」と期待を膨らませる。

 目指すのは約3年ぶりの代表復帰だけではない。「ACLで優勝することがサッカー人生の一つの目標。FCソウルはチャンピオンになる力を持っているので、その目標を成し遂げたい」と力を込める。そこで成長しているという実感もある。

「韓国サッカーの特徴は球際と守備の激しさ。攻撃では縦に速く、ゴール前でも粘り強い。今まで日本でプレーしていた僕にはなかった部分を身に付けた。多分、代表監督もそういうプレーを望んでいると思う」

高萩洋次郎

アジアの頂点を目指す高萩。代表入りにも期待がかかる [写真]=Getty Images

 8月には30歳になるが、欧州組やJリーガーにはない“アジアでの経験”が、9月から始まるワールドカップ最終予選で日本代表の貴重な戦力となるかもしれない。

文・田丸英生(共同通信社)

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