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再開への光明から一転――セリエA、6月中旬リスタートが濃厚か

一度決まりかけた再開が再び不透明となったセリエA [写真]=Getty Images

 セリエAのリスタートは6月中旬以降になるとの見方が濃厚となった。去る5月13日、レーガ・セリエA(リーグ機構)によってセリエAの再開は6月13日に設定された。その日、各クラブの会長を招集したリモート会議が約4時間行われ、リーグ再開の日程を採決。サッスオーロ、トリノ、ウディネーゼ、ナポリ、サンプドリアの5つのクラブが6月20日からの再スタートを主張したのに対し、それ以外の15のクラブが、同13日からの再開に賛同した。

 しかし、イタリア政府は、6月14日以前よりも前に、スポーツのイベントを実施することに同意せず。イタリア・オリンピック委員会(CONI)のジョヴァンニ・マラゴー会長が国営放送RAIのインタビューで「99パーセント、6月13日に再開できると思う」と異論がないことを強調していたが、あっさりとこれが覆されることとなった。

再開に自信を示していたジョヴァンニ・マラゴー会長だったが…(写真は2019年9月の物) [写真]=Getty Images

 イタリア・スポーツ省のヴィンチェンツォ・スパダフォーラ大臣は、「いつ再開できるか、確信はもっていない。しかし、6月中旬にはリーグを再スタートさせ、そしてリーグを終わらせたい」と語っているが、すでにリーグが欧州主要リーグの先陣を切って再スタートしたドイツのように倣えるのか。ドイツは再開から8節しかないが、イタリアのそれは12節プラス第25節の4試合が残されている。コッパ・イタリアの準決勝第2節と決勝も消化する意向であり、8月中旬以降まで、今シーズンが行われる可能性すらある。となると、来シーズンへの影響も考えなければならない。先行きは不透明でしかない。

 すでに5月4日から個人練習が再開され、同18日からはチーム全体練習が行われることが確実視されていたが、その前日になって、政府によって待ったがかかった。リーグとイタリアサッカー連盟によって作成された再開の手引き(プロトコッロ)の内容が、ダメ出しされる形となった。ただし、パルマに限っては唯一、グループ練習が許可されている。その理由は、選手、コーチ陣、スタッフ、総勢約70人が、PCR検査と血清検査を行なっているからだ。その結果、2人の選手が最初のPCR検査で陽性、二度目のPCR検査で陰性となり、無症状ではあるが隔離されている。それでも、プロトコッロを遵守したことで、全体練習の再開が最も早く許可されることとなっている。

 しかし、全体練習が再開されたとしても、問題は選手個々のコンディションが懸念される。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、厳格なロックダウンが敷かれた日常において、選手たちは自宅でトレーニングを行ってきたとはいえ、3月9日から2か月近くリーグ中断を余儀なくされたことは、6月13日からのリーグ再開だけでなく、これからの全体練習でもけがへのリスクが伴うものだ。実際、ナポリのコスタス・マノラスは13日の個人練習で負傷。診断の結果、右太ももを痛めたことが判明しており、再開初戦の欠場も懸念されているほどだ。そして、19日にはチームメイトのファビアン・ルイスまで筋肉系の負傷をしてしまった。今後もこういったケースが出てくる可能性は高く、新型コロナウイルスの感染よりも、選手が大きなけがをするのではないかと不安視されている。また、例年であれば、すでにリーグが閉幕している時期からの再開で、厳しい暑さの中で試合を実施することが強いられる。そのため、サンプドリアのクラウディオ・ラニエリ監督は、夏仕様への戦術の変更も念頭に入れなければならないと話していた。運動量を必要とするプレッシングを全面に押し出すスタイルのチームにとっては、季節的に厳しい時期での再開となりそうだ。

 それでは、上位チームの現在の状況を見てみよう。まずは、5位のローマ。今季はチャンピオンズリーグ出場権獲得が、最大の目標となる。朗報は、ニコロ・ザニオーロの復帰だ。1月5日のトリノ戦で前十字じん帯を断裂し、半月板を損傷する大怪我を負っていたが、現在はターンを伴うダッシュを行えるほどにまで回復している。イタリア人選手の中で最も評価が高いザニオーロの復帰は、ローマにとってこれ以上ないほどのプラス材料となりそうだ。一方、守護神のパウ・ゴメスが、左手首を微小骨折。全治4週間を診断されており、再開時期には間に合わない可能性も出てきている。

 続いて4位のアタランタ。CL出場権獲得圏内に位置するが、首位ユーヴェとは勝ち点15差と優勝争いからは脱落した感は拭えない。本拠地のベルガモは、イタリア国内でも最も感染者の多かった地域の一つで、マルコ・スポルティエッロが新型コロナウイルスに感染してしまった。それでも今月7日には検査で陽性反応となり、完治している。リーグ再開の初戦は、2位ラツィオ。本拠地でのこの試合で勝利を収めることができれば、アタランタ疾風は真夏も吹き荒れることになりそうだ。

新型コロナウイルスから回復したマルコ・スポルティエッロ(写真は昨年10月の物) [写真]=Getty Images

 アントニオ・コンテ監督のもと、復調を遂げた3位インテルは8日に行われた検査で全選手が陰性反応。アッピアーノ・ジェンティーレで個人トレーニングが行われている。冬の移籍市場ではクリスティアン・エリクセンがコンテ監督の強い要望により入団も、リーグ戦の出場は4試合にとどまるなど、不可解な起用が続いた。これからの1カ月間でエリクセンでチームがしっかりとフィットできるようになれば、勝ち点差が9も離れているユーヴェとの差を縮めることができるかもしれない。ところが、インテルの話題の中心は、ラウタロ・マルティネスの去就だ。バルセロナへの移籍の可能性が日々高まっており、再開するリーグにも影響を与えることになるかもしれない。

バルセロナへの移籍が頻繁に噂されるラウタロ・マルティネス [写真]=Getty Images

 最もリーグ再開を望んでいたのはラツィオだろう。1999-2000シーズン以来、20年ぶりとなるスクデット獲得に向け、首位ユーヴェに勝ち点差1と肉薄しているのだから、そう考えるのは当然だ。しかも、そのユーヴェには昨年12月7日のホーム戦、同22日のスーペルコッパでいずれも3-1と勝利している。

昨年12月22日のスーペルコッパでユヴェントスを下したラツィオ [写真]=Getty Images

 そんな中、チームが”フライング”したとの疑惑が持ち上がった。シーツでトレーニング場のフェンスを覆い、禁止されている全体練習を行ったと、ミラノに本社を構える『コッリエーレ・デッラ・セーラ』紙が報じた。ミニゲームまで実施された疑いも出ている。クラブの医療部長、イーヴォ・プルチーニはこの報道を否定しつつも「もし事実であれば、私は職務を辞任しなければならないだろう」と話しているが、実際のところはどうなのだろうか。

 そして、9連覇がかかる首位ユヴェントス。ダニエーレ・ルガー二とブレーズ・マテュイディが新型コロナウイルスに罹患していたが、4月15日の検査で陰性と診断されていた。ところが、もう一人の感染者、パウロ・ディバラは陰性反応が出るのが5月6日までずれ込んでいる。これから本格的にチームトレーニングがリスタートとなるが、コンディションが不安視されるところだ。

 さらに、脳卒中のため倒れていた母の療養のためアルゼンチンに帰国していた同胞のゴンサロ・イグアインは、イタリア復帰の可能性が強まっていたものの、リーベルやMLSへの移籍の可能性が報じられている。貴重なFWがこの時期になって、減ってしまうとは、マウリツィオ・サッリ監督にとっては、悩みの種だ。それにしても、サッリ監督への風当たりは強く、とても首位に立っているチームを指揮する監督への批判とは思えないほどだ。

厳しい批判に晒されているサッリ監督 [写真]=Getty Images

 また、メルカートにも目が向けられ、サッリ政権下ですっかり精彩を欠いているミラレム・ピアニッチは、バルセロナに移籍する確率が高いと『ガッゼッタ・デッロ・スポルト』紙は連日のように報じている。もはやユーヴェ残留は10%。パリ・サンジェルマンの20%よりも低く、バルセロナに至っては、70%との確率が出ているほどだ。退団は避けられないということだろうか。さらに、助監督の一人であったアンドレア ・バルツァーリが、チームを去ることが決まった。「家族とより長く過ごしたい」との理由だ。この決断が、チームの士気に少なからず影響を及ぼすこともあるかもしれない。

 イタリアは今月4日に厳格なロックダウンが解除されたものの、19日までに、新型コロナウイルスの感染者がトータルで22万6699人、死者は3万2169人にまで及び、甚大な影響を受けた。それでも 再開を急ぐ理由は、イタリアにとって、サッカーは国の重要な基幹産業の一つであるからだ。2017年を例に挙げると、セリエAは国内総生産の0.19パーセントを占める生産をもたらした。イタリアのサッカー界全体の経済効果はアマチュアを含め、470億ユーロ(約5兆4500億円)にまで及び、イタリアの10ある主要産業の一つであると言われるほどだ。国民の2人に1人がサッカーに関心を持つイタリア。1か月後のリーグ再開は強行感も否めないが、経済をこれ以上止めないためにも、リーグを打ち切るわけにはいかないのだろう。

文=佐藤徳和/Norikazu SATO

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