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【インタビュー】日本で暮らす元セリエAプレーヤー マヌエル・ベッレーリが語る半生 後編

ACミランアカデミー東京テクニカルディレクターに就任して5年目を迎えるマヌエル。イタリア人らしく、やはりスーツが板につく [写真]=佐藤徳和

※このインタビューは後編です。まず『【インタビュー】日本で暮らす元セリエAプレーヤー マヌエル・ベッレーリが語る半生 前編』、『同 中編』をお読みください。

 SPALの経営破綻により、志半ばで現役引退を余儀なくされたマヌエルは、指導者の道をスタートする。イタリア代表トレーニングセンターのあるコヴェルチャーノでのライセンス取得を経て、ACミランアカデミー東京のテクニカルディレクターに就任した。最後のインタビューでは、注目の若手イタリア人選手や現役時代に対戦したプレーヤーについて語り、プロ選手を目指す少年少女たちにメッセージも送ってくれた。こんな厳しい時期ではあるが、「絶対に夢をあきらめてはならない」。セリエAを戦った一流プレーヤーからの心に刺さる熱いメッセージだ。

取材・文・写真=佐藤徳和/Norikazu SATO
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―――現役引退後、指導者の道を選びました。まずは、コヴェルチャーノ(イタリアサッカー連盟トレーニングセンター)で、指導者ラインセンスの講義を受けていますね。何を学び、どのぐらい受講しなければならなかったのですか?
マヌエル・ベッレーリ(以下、マヌエル) 最初は、UEFA(欧州サッカー連盟)の指導者ライセンスBを取得した。コヴェルチャーノで6週間、講義を受けたよ。様々な指導法やベンチワークなどをね。ルチアーノ・スパレッティ、マッシミリアーノ・アッレグリ、ジョゼップ・グアルディオラといった錚々たる監督が講義をしてくれた。それから2つ目に、スポーツディレクターのライセンスも取った。これもコヴェルチャーノで2か月間、講義が続いた。この講義には、ヴァルテル・サバティーニ(現ボローニャ、モントリオール・インパクトのテクニカルエリア・コーディネーター)とアドリアーノ・ガッリアーニ(元ミラン副会長、現モンツァ(セリエC)代表取締役)が来てくれた。経済的、またマーケティングの面でのクラブの経営方法を学んだよ。

―――そうして、ACミランアカデミーのコーチになります。どうして日本に来ることを決断したのですか?
マヌエル  東京に来る前は、マイアミで生活していたんだ。そこで、サッカー・スクールを開講したくてね。しかし、残念ながら、マイアミはサッカー・スクールが多くて断念したんだ。それでまずは金沢で1か月間、ACミランアカデミーのコーチを務めて経験を積んだあと、東京に開校することとなったんだ。もうここでコーチをして5年になるよ。

―――マヌエルはミランのファンですが、今の難しい状況をどう思いますか? 以前のように戻れるでしょうか。
マヌエル  ベルルスコーニの時代以降、ミランは難しい時期を迎え続けている。以前のようにタイトル争いができたり、優勝できるようになるには、まだ3、4年かかると思う。

―――私にとって、ミランのアンバサダーであるフランコ・バレージは時代を問わず、最高のCBでした。どのような人物でしょうか?
マヌエル  昨年の10月にACミランアカデミーのために来日してね。素晴らしい人だよ。サッカーへの情熱にあふれ、強かったミランの象徴的存在さ。

ミランのレジェンドで、現在はアンバサダーを務めるバレージと共に。昨年、ACミランアカデミー東京のために来日した。 [写真]=佐藤徳和

―――昨年6月にU-21欧州選手権を取材しました。今、イタリアには、ニコロ・ザニオーロ(ローマ)のような優秀な選手がいます。どの選手に最も期待していますか?
マヌエル  まだ若いが、すでにセリエAで経験を多く積んでいる選手は何人かいる。ザニオーロ、ジャンルイジ・ドンナルンマ、サンドロ・トナーリ。とても優れた選手たちだ。彼らはイタリア代表にとって必要不可欠な選手となるだろう。

―――U-21イタリア代表は、東京五輪の出場権を得られませんでした。大会を制したU-21スペイン代表に勝ったにもかかわらず、U-21ポーランド代表に敗れました。イタリア代表は、気持ちの強さと戦術を駆使し、とても手強い相手に勝ちますが、格下の相手に負けることがよくあります。どうしてでしょうか。
マヌエル  残念なことに、集中力やフィジカル面での準備が、試合に違いをもたらしてしまうことがある。代表チームは、まとまってトレーニングする時間も少ない。集中力や相手を見下してはならないことは、また別のモチベーションなんだ。そのため、いくつかの試合でうまくいかないこともある。

――― 一方で、バレージやパオロ・マルディーニといった偉大なCBが今のイタリアの若手選手には見当たりません。イタリアには、超一流のCBが以前はたくさんいました。どうしてこういったCBがいなくなってしまったのでしょうか。
マヌエル  今はCBの役割りが変わった。昔は、DFは守備だけやっていればよかったが、サッカーが変わり、DFもゲームを構築しなければならなくなり、サイドバックは攻撃しなければいけない。そういった理由で、優れたCBが見当たらなくなってしまった。

―――点取り屋も不在です。FWにはフェデリコ・キエーザがいますが、センターフォワードとは言えません。
マヌエル  ラツィオのチーロ・インモービレは素晴らしいCFだと思うよ。キエーザも少し下がり気味で、真のCFとは言えないけど、彼も非凡な選手だ。

―――ユーロは来年に延期になってしまいました。ロベルト・マンチーニが指揮するイタリア代表は優勝できるでしょうか?
マヌエル  イタリア代表は優勝できると思う。マンチーニは優れた指揮官だからね。それに、ザニオーロ、キエーザ、インモービレといった優秀な選手がいる。

―――現役時代の話に戻りましょう。対戦した選手で、最も優れた選手は誰でしたか?
マヌエル  ズラタン・イブラヒモヴィッチが最も完成されたプレーヤーだった。強さ、技術、パーソナリティーといった面でね。アドリアーノ、アレッサンドロ・デル・ピエロ、ロベルト・バッジョも最高の選手たちだった。

―――最も影響を受けた指導者は誰ですか?
マヌエル  シルヴィオ・バルディーニ(エンポリ時代)だね。セリエAでデビューさせてくれた自分にとっては重要な監督さ。気落ちの強さを持つことを教えてくれたんだ。それから、スパレッティは、どのようにチャンピオンズリーグ出場権を獲得するのかということを教えてくれた。

―――この時期、多くの若い選手は、サッカーができず、近い目標を失いつつあります。彼らと、その指導者にメッセージをお願いできますか?
マヌエル  自宅であってもトレーニングを続けることはとても重要だ。サッカー選手になるという自分自信の夢を絶対にあきらめてはいけない。今はとても厳しい時を生きているけれども、家にいれば、しっかりと食事をし、ゆっくり休み、健康な生活を送ることはできる。指導者は、インターネットで、知識を深め、他の指導者から新たなコーチング理論を学ぶことが可能だ。

―――マヌエルにとって、プロ選手になるには、何が一番重要だと思いますか?
マヌエル  とても強い精神力を持ち、絶対にあきらめないこと。常に、うまくなる、成長するんだという目標を持って、日々トレーニングを続けることだ。上達するためには、よく食べ、よく休むということもプロになるためには重要なこと。そして、サッカーに対して大きな情熱を抱き、一流のサッカー選手になるという内に秘めた夢を持ち続けなければならない!

―――きょうはありがとうございました。

マヌエル・ベッレーリ

キャリア
1993-1999年 ルメッツァーネ1(セリエC1, C2)
1999-2004年 エンポリ(セリエB, A)
2004-2005年 ウディネーゼ(セリエA)
2005-2007年 ラツィオ(セリエA)
2007-2008年 アタランタ(セリエA)
2008-2009年 ボローニャ(セリエA)
2009-2010年 レッチェ(セリエA)
2011-2013年 SPAL(セリエC1)
2014年〜現在 ACミランアカデミー東京テクニカルディレクター

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