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現役時代は“猛犬”…ヘルタ指揮官が教え子を復調に導いた熱血ボランチ論

2017.05.19

現役時代にはヘルタで14年間プレーしたダルダイ監督 [写真]=Bongarts/Getty Images

 日本代表MF原口元気が所属するヘルタ・ベルリンは13日のブンデスリーガ第33節ダルムシュタット戦で2017年アウェイ初勝利を収めた。この試合で活躍し、復調の兆しを見せたのはボランチのチェコ代表MFウラジミール・ダリダ。その秘密はパル・ダルダイ監督との熱い話し合いにあったようだ。

 16日付のドイツ紙『ビルト』によれば、ダルダイ監督は、ここ数試合のパフォーマンスに満足できないダリダと直接話し合う機会を設け、ボランチの仕事について語り合ったようだ。

 自身もボランチとしてヘルタで活躍したダルダイ監督は、「ダリダにはこう言ってやったんだ。『ボランチにはふたつしか可能性がない。チームが勝てば、お前の存在なんてどうでも良い。だが、チームが負ければ、それは全てお前の責任だ。なぜなら、お前がクソみたいなプレーをしたからだ!』とね」と、教え子への熱い言葉を明かした。

 一見すると、ただの罵りに過ぎないが、ここまで強い言葉になるのも理由がある。長年ボランチとして活躍し、現役時代にヘルタでコンビを組んだフランクフルトのニコ・コヴァチ監督は「私たちは理性を備えた猛犬のようだった。パルはゲームを読むのがうまい、非常に優れたボランチだったんだ。それは今の監督としての成功に通じていると思うよ」とボランチとしてのダルダイ監督を評価している。

 選手としても監督としてもボランチの重要性を理解するダルダイ監督は続けた。「長年ボランチとしてプレーしたから知っているけど、このポジションの役割は報われない仕事なんだ。スポットライトなんかはめったに当てられないし、ひたすら泥まみれになりながら働き続けないといけない。チームが勝てば、もてはやされるのは他の選手。でも、チームが勝ってみると監督もチームも、中盤で戦い続けた闘士の存在がいかに重要だったか、良く分かるんだよ」。

 チームの全選手にシーズンの目標を書いた手紙を渡し、契約延長に躊躇する原口とも「ケーキとコーヒー」をお供に話し合いの席を設けるなど、1人ひとりとの関係を大事にするダルダイ監督のメッセージは選手によく届くようだ。ダルムシュタット戦でもヨーロッパリーグに向けて重要な試合で勝ち点3を獲得した。

 近年では元イタリア代表MFアンドレア・ピルロやドイツ代表MFトニ・クロースなど華やかなテクニシャンが注目を集めるボランチのポジション。ダルダイ監督の熱いボランチ論は、その役割の原点を見直すきっかけになるはずだ。

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