インタビューに応じてくれたマシャアル・バルシャム
AFCアジアカップカタール2023に開催国として、また前回王者として臨むカタール代表。
前回大会では決勝で日本に快勝を収めたことは記憶に新しい。その後、FIFAワールドカップカタール2022で開催国として大会初出場。3戦全敗に終わったが、アジアカップ初優勝とワールドカップ初出場の経験を持って、今大会に臨んでくる。
2019年のアジアカップ終了後にA代表に招集され、ワールドカップでは2試合に出場。前回大会で守護神を務めたサアド・アッ・シーブから、カタール代表そして所属するアル・サッドでもポジションを奪取したGKマシャアル・バルシャムに大会前、連覇への意気込みを聞いた。
インタビュー=小松春生
―――アジアカップに向け、代表チームの準備状況はいかがですか?
マシャアル・バルシャム(以下、MB) ワールドカップ予選もアジアカップへの準備の一つだと捉えて臨んできたんだ。クラブチームで戦いつつ、本番へ向けて戦う準備ができている状態だよ。
―――カタール代表の強みは今、どんなところにあると思いますか?
MB 長く一緒にプレーをしている選手がたくさんいることだ。僕たちは一つの家族のようなんだ。それが強みだね。

FIFAワールドカップカタール2022では2試合に出場 [写真]=Getty Images
―――監督がカルロス・ケイロスからマルケス・ロペスに代わりました。新監督の印象はいかがでしょう?
MB もちろん協会が決めたことではあるけど、その決定に関して、協会も新監督に対しての信頼があって決めたと思う。もちろん正しい決断をしたということだろう。選手として、どんなコーチとも一緒にプレーしていく気持ちだし、ファンを楽しませるため、喜ばせるためにいかなる仕事も一緒にやっていこうと思っている。
―――新監督はアル・ワクラの監督を務めていました。アル・サッドの選手として対戦した時の印象はどのようなものですか?
MB 何度も対戦してきたけど、いつも困難を強いられたんだ。チームはとてもオーガナイズされていて、いつも素晴らしい試合を展開していたから、僕たちが勝つこともあったけど、すごく難しい対戦相手となるチームを作っていたね。
―――アジアカップ連覇へ国民からの期待はどう感じていますか?
MB 2019年の優勝は僕もはっきり覚えている。僕はまだU-23代表チームの一員だったから、優勝の瞬間は家で見ていたけど、決勝戦はすごく誇らしかった。誰もがカタールを応援していたし、決勝に進めたことをみんなが喜んでいたんだ。決勝でも非常にいい試合、格別な試合をしたし、僕自身すごくうれしかったよ。街中でもたくさんのファンが喜んでいたんだ。すごい情熱だったよ。ファンは今大会も楽しみにしていると思うよ。
―――前回大会で優勝したことで、カタール国内のサッカーへの意識が変わったり、選手の士気が高まったりはしましたか?
MB やはり子どもたちに大きな影響を与えたと思う。みんなが「あのチームの選手になりたい」、「サッカー選手になりたい」という気持ちになったはずだ。優勝した代表チームは国全体をハッピーにしたし、誰もが誇らしかったんだ。

2019年大会を制したカタール [写真]=Getty Images
―――ご自身としてはFIFAワールドカップカタール2022で2試合に出場しました。その経験は今、どんな影響を与えていますか?
MB もちろん2試合に出られたことは非常に素晴らしい経験だった。第2戦のセネガル戦と第3戦のオランダ戦に出場したけど、世界を代表する選手たちと戦えたことは非常にいい経験だった。世界でも類を見ないようなスタジアムでプレーできたことも良い思い出だよ。もちろん、もう一度あの雰囲気を経験したいね。
―――アジア全体でのプレーレベルの向上は感じていますか?
MB アジアサッカーは日々、すごく改善している。チームも選手個人でも技術や戦術がどんどん向上している。アジアのチームはどの相手も非常にタフだし、これまでもそうだったけど、競争はどんどん難しくなっているね。
―――アル・サッドのチームメイトには、代表でもクラブでもポジションを争うサアド・アッ・シーブ選手がいます。彼からどんな影響を受けていますか?
MB アル・サッドに加入した時、彼がナンバー1のGKで、多くを学んだよ。常にハードな練習をして、常にプッシュして、常にベストを尽くそうとしている。彼と一緒のチームでプレーできていることにすごく感謝している。前回のアジアカップでもそうだったけど、彼はアジアでも最高のゴールキーパーだよ。

クラブはアル・サッドでプレー [写真]=Getty Images
―――彼とのポジション争いについてはいかがでしょう?
MB もちろんサッカーの世界は常に競争が求められる。だけどその競争が激しければ激しいほど、互いにより大きな成長に繋げられる。競争がなければ安全地帯にいるだけだし、大きな上達は見込めないよね。でも、競争があれば、より早く向上し、成長することができるんだ。
―――日本代表についてはどのような印象を持っていますか?
MB 日本の試合は今までもたくさん見てきたんだ。とても良いプレーをしている。すごくオーガナイズされているチームだ。三笘(薫)のように、ヨーロッパで活躍している選手もたくさんいる。多くの資質を持っているチームだ。今回のアジアカップでもカタールに加え、優勝候補の一つであることは間違いないね。
―――母国でのアジアカップとなります。チーム、個人での目標を教えてください。
MB まず個人の目標として、僕自身は今回が初めてのアジアカップになるから、まずは大会に出場して、プッシュし続け、挑戦したい。そして、ファーストキーパーとして試合に出場することが目標だし、できるだけ勝ち上がって、ファンに喜んでもらえる場所まで到達したい。これが一番大事なことだよ。チームとしてはもちろんタイトルを守ることが目標だね。
By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長