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現地組織委員会CEOが語るアジアカップ「ベストチームは日本」「夏開催が最善だが…」

2024.01.12

AFCアジアカップカタール2023のローカル組織委員会CEOを務めるアル・ジャシム氏

 AFCアジアカップカタール2023が12日に開幕を迎える。

 2022年11月から開催されたFIFAワールドカップカタール2022の記憶も新しい中、カタールではサッカーの大きな大会を続けて開催することになるが、大会を前に、AFCアジアカップカタール2023ローカル組織委員会でCEOを務めるジャシム・アブドゥラジズ・アル・ジャシム氏に、今大会に向けての期待や、開催までの経緯、開催時期の問題点についてなどを聞いた。

インタビュー=小松春生

―――大会の準備についてはどのような流れでしたか?

アル・ジャシムCEO 1年前、最大のトーナメントを開催しましたし、準備はできています。インフラ面でもワールドカップでほとんど整備されているので問題はなく、今回使うスタジアムの7つのスタジアムがワールドカップで使われていたスタジアムでその点も特に問題ありません。ワールドカップ同様の人的リソースも投入します。過去20年から30年の間にカタールではいろいろなスポーツ関係の大会を開催してきたので、受け入れ体制は整っています。12月中からチームの受け入れ準備もしていましたが、それだけ前の期間からカタール入りを望むチームが多いということは、インフラや施設の充実の証明でもあります。

―――今大会に対しての期待値はいかがでしょうか?

アル・ジャシムCEO 期待値は私だけでなく、国内で非常に高いものがあります。スタジアムの中だけではなく、サイドイベントを開催したり、スタジアム外でもカタール全土で盛り上げていきたいと考えています。ワールドカップと同様の素晴らしい経験を重ねることになると思います。期待は常に高いですね。アジアカップはワールドカップに続く、最高の機会になるでしょう。

―――アジアでも多くの選手がヨーロッパでプレーし、中東エリアでも多くのヨーロッパからの優秀な選手たちがプレーするようになりました。アジアカップの開催時期について、冬よりも夏に開催を望む声も多くあります。

アル・ジャシムCEO 夏開催がベストであることは、私個人の意見としても同感です。クラブにとっても選手にとっても、チームを離れることは非常に難しい決定です。それはアフリカも同様ですね。カタールではすべてのスタジアムに冷房があるため、夏に開催も可能です。ただ実際には、アジア地域全体で、夏に開催することが厳しいと考えている人が多くいます。選手だけでなく観客も1月、2月の気候の方が、より楽しめるはずです。

 当初、今大会は中国での開催を予定していましたが、COVID-19の問題でカタール開催となりました。中国で開催していれば、夏に開催予定でした。私たちは2027年のアジアカップ招致を進めていましたが、COVID-19によって中国が開催権を返上し、その段階で開催する準備ができている国がカタールだけだったという事情はあります。先ほども言ったように、ワールドカップからほぼ1年ですべてのインフラを整えることができました。ワールドカップでのレガシーは私たちにとって素晴らしいものです。そしてインフラや社会的遺産、人間的遺産を活用しているので、それが他の大会を招致できている大きな理由だと思っています。

 我々としてはインフラも整って、スタジアム冷房も完備しているから、夏に開催することを歓迎していたのですが、いろいろな理由がありましたし、屋外の天候はコントロールできない部分でもあります。この地域で大会を開催することは、そういったことが付きまとうということです。アジアは非常に大きな大陸ですし、例えばこちらの夏であっても、オーストラリアは冬だったりもします。アジアという大陸において、時期を調整することは大変難しい問題なんです。

―――中東におけるサッカー熱は近年、非常に高いものがあります。

アル・ジャシムCEO おっしゃる通り、熱はどんどん上がってきています。ただ、突発的に起きたような驚くべきことではなく、もともとこの地域の情熱は非常に高いものがあったのです。誰もが国際的なサッカー、地元のサッカーを見て育ちました。カタールでは1976年にガルフカップ、1988年にはアジアカップを初めて開催しています。これまでにアラブ首長国連邦も多くの大会を開催してきましたし、現在はサウジアラビアも積極的に多くのイベントを開催しています。中東がサッカー界においての新興勢力ではなく、以前より成長しているということでしょう。この地域のサッカーに対する熱は本質的なものだと思っています。

―――アジアでのサッカーが、ヨーロッパのように高い地位を獲得するために必要なことは何でしょう?

アル・ジャシムCEO すでに、先のワールドカップでも日本がドイツとスペインを破り、差がかなり縮まったと考えています。韓国がポルトガルに勝利したことも大きな意味を持っていますし、サウジアラビアはワールドカップの覇者となったアルゼンチンに勝ったんです。10、20年前であればそのような結果が起こる未来があると話しても、誰も受け入れられなかったと思います。しかし今、私たちはここカタールでそれを目の当たりにしました。プレミアリーグやラ・リーガなどの大きなリーグでも、多くのアジア人選手が輝きを放っていますし、アジアのサッカーとその成長の速さについては、すでに多くのことが語られていますね。

―――個人的な意見として、どのチームが優勝すると思いますか?

アル・ジャシムCEO もちろん、カタールの勝利を願っています。でも、非常に難しい大会になるでしょう。現時点でのベストチームは日本だと思いますが、サウジアラビアやオーストラリア、韓国も非常に強いです。カタールは2019年大会ほどの力があるとは思いませんし、非常にタフなトーナメントにはなるでしょう。個人的には、近年で最も難しいトーナメントになると思います。ハイクオリティな選手がたくさんいますし、いい試合、トーナメントが見られるでしょう。

By 小松春生

Web『サッカーキング』編集長

1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。イギリスと⚽️サッカーと🎤音楽と🤼‍♂️プロレスが好き

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