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【ACL決勝展望|浦項】主力不在、完全アウェー…浦項は有終の美を飾れるか

2021.11.23

声援を送る浦項サポーター [写真]=Getty Images

奇跡の決勝進出も、不安要素が山積

 誰が彼らの快進撃を予想できただろうか。前回優勝した2009年以来、12年ぶりにAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出を果たした浦項スティーラースのことだ。

 浦項は10月、韓国で集中開催された準々決勝で名古屋グランパスに3−0と完勝。準決勝では前回王者の蔚山現代をPK戦にもつれる激闘の末に下した。

 対戦相手との戦力差はもちろん、準々決勝以前のリーグ戦で3連敗を喫し、正守護神のGKカン・ヒョンムをシーズンアウトの負傷で欠くなど、浦項が抱えていた不安要素は決して少なくなかった。それだけに、ACL決勝進出が決まった当時は“奇跡”と報じる韓国メディアも多く見られた。

 もっとも、準決勝以降のリーグ戦4試合は1勝3敗と、国内での低調ぶりは変わらず。現時点で12チーム中7位と残留は確定しているが、一時は昇降格プレーオフに回る可能性もあったほどだ。

 加えて、決勝ではセレッソ大阪戦、名古屋戦で得点したゼロトップのMFイ・スンモが出場できない。というのも、イ・スンモは2018年の第18回アジア競技大会で金メダルを獲得したU−23韓国代表メンバーとして兵役特例の恩恵を受けていたのだが、代替服務中に遂行すべき奉仕活動時間544時間が未達であるため、現行の兵役法により出国が許されず。このため、出場はおろか試合が行われるサウジアラビアに帯同することもできなかったのだ。

決勝を欠場するイ・スンモ [写真]=Getty Images

全席開放のアウェーマッチ……アジアの覇権を賭けた戦いに

 決勝で相まみえるサウジアラビアの強豪アル・ヒラルとの対戦は今回で3度目。1997年のアジアスーパーカップでは2戦合計1−2で敗れるも、1997−98シーズンのアジアクラブ選手権(ACLの前身)準決勝では浦項が1−0で勝利している。ACL優勝回数(前身のアジアクラブ選手権含む)ではともに3回と並んでおり、今回優勝した方が単独トップに立つ。

 現役時代に浦項でACL制覇経験のあるキム・ギドン監督は、「苦労して勝ち上がっただけに、“有終の美”を飾れるよう最善を尽くしたい」とコメント。前回大会で蔚山現代キャプテンとして優勝トロフィーを掲げたシン・ジンホも、「こんなチャンスがまた来るとは思わないし、必ずトロフィーを掲げたい。どんな困難も恐れない」と並々ならぬ覚悟を示した。

 決勝が行われるサウジアラビアのキング・ファハド国際スタジアムでは、約6万8000席が全席開放されるという。浦項にとっては“完全アウェー”での決戦となるが、今季ACLの一発勝負で着実に格上を下してきた勝負強さを発揮することはできるのだろうか。

文=ピッチコミュニケーションズ

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