来季よりフォーマットが変更になるCL [写真]=Getty Images
来季からチャンピオンズリーグ(CL)は抜本的にフォーマットが変更するというが、一体どの程度変わるのだろうか?
今季もチャンピオンズリーグのグループステージが幕を閉じた。スペインは出場5チームのうち、最下位で敗退したセビージャ以外の4チームが見事に首位通過。さらにドイツとイタリアからは3チームずつが16強に駒を進めた。
一方で、イングランド勢は苦戦が見られた。連覇を目指すマンチェスター・シティとアーセナルの2チームは難なく勝ち上がりを決めたが、ニューカッスル、そしてマンチェスター・ユナイテッドがまさかの最下位でグループステージ敗退。イングランド勢がベスト16に2チームしか残れなかったのは2012-13シーズン以来のこと。当時はマンチェスター・シティとチェルシーがグループステージで敗退し、決勝トーナメントに勝ち上がったアーセナルとマンチェスター・ユナイテッドもベスト16で敗れ去った。
イングランド勢が11年ぶりに2チームしか決勝トーナメントに残れなかったわけだが、これが来季の“5枠目”に大きな影響を及ぼすという。それでは抜本的にフォーマットが変わるという、来シーズンのチャンピオンズリーグの変更点をおさらいしながら“5枠目”の行方を展望しよう。
[写真]=Getty Images
■グループステージから“スイス方式”へ

来季のチャンピオンズリーグは本選出場チーム数が現在の『32』から『36』に増える。今季までは、32チームが4チームずつの8組に分かれてホーム&アウェイの総当たり戦でグループステージが行われてきた。各チームが6試合を戦い、各組の上位2チームがベスト16に駒を進め、年明け2月から決勝トーナメントに突入していた。
それが、来シーズンからは『グループステージ』という概念がなくなる。旧グループステージは『リーグステージ』(仮称)へと変わり、本選に出場する36チームはグループ分けされることなく、全36チームが1つのリーグに所属することになる。そして、今までのホーム&アウェイの総当たりではなく、8チームと1度ずつ対戦する。いわゆる“スイス方式”のリーグ戦だ。
各チームの8試合の対戦相手はポット分けによって決まる。事前に36チームを過去の成績に従って4つのシードポットに分ける。1位から4位ポットと名付けておこう。どのチームも、各ポットの2チームずつと計8試合を戦うことになるのだ。1位ポットと2試合、2位ポットと2試合といった感じで試合が組まれる。
リーグステージで各チームが8試合ずつを戦い終えたあと、成績上位8チームがラウンド16に進出する。続く9~24位の16チームは、ホーム&アウェイのプレーオフに回り、勝利した8チームがラウンド16に駒を進める。残りの25位以下は敗退となり、ヨーロッパリーグに回るチームはいない。
ラウンド16からは従来の決勝トーナメントと同じフォーマットだ。ホーム&アウェイのトーナメント方式で戦っていき、決勝戦だけは一発勝負となる。ちなみに、今季の決勝の会場はロンドンのウェンブリー・スタジアム。来季の決勝はミュンヘンのアリアンツ・アレーナで開かれる予定だ。
■開催期間

従来のグループステージは9月から12月まで開かれていたが、来季のリーグステージは9月から翌1月まで開催される。今まで通り、試合はミッドウィークに開催されるが、1週だけ『独占週』というのが設けられ、その週は1つの大会だけが開かれる。例えば、ヨーロッパリーグの独占週の場合、チャンピオンズリーグとカンファレンスリーグ(旧称ヨーロッパ・カンファレンスリーグ)の試合は行われず、水曜日と木曜日にヨーロッパリーグだけが開かれる。当然、チャンピオンズリーグとカンファレンスリーグにも独占週が用意される。
■増える4チーム

今季は予備選敗退でCL出場ならずのマルセイユ
さて、今注目を集めているのは来季から増えることになるチャンピオンズリーグ本選の4つの追加枠だ。1つ目は、UEFAアソシエーションランキングで5位のリーグで3位に入ったチームに与えられる。今シーズンならばフランスなので、リーグ・アンで昨季3位だったマルセイユが予備選からではなく、本選に出場できることになる。
2つ目の追加枠は、国内チャンピオン枠だ。国内チャンピオンたちが通る予選の“チャンピオンズ・パス”から本選に進めるチームが従来の4チームから5チームへと増える。今シーズンで見ると、例えば“チャンピオンズ・パス”のプレーオフで敗退したギリシャのAEKアテネやイスラエルのマッカビ・ハイファといったチームが出場できたのかもしれない。
そして、最も話題を集めているのが残る2枠だ。この枠は、前年度(来季の大会で言えば今シーズン)の欧州カップ戦で最も結果を残した上位2リーグに1枠ずつ与えられるのだ。これはチャンピオンズリーグの成績に限らず、ヨーロッパリーグやヨーロッパ・カンファレンスリーグの成績も加味される。
昨シーズンで見ると、1位はイングランド、2位はイタリアだった。昨季は、イングランド勢のマンチェスター・シティがチャンピオンズリーグを制したほか、ヨーロッパ・カンファレンスリーグではウェストハムが頂点に立った。そのため、昨季の成績で考えるのなら、昨季プレミアリーグで5位のリヴァプール、セリエAで5位のアタランタにもチャンピオンズリーグ本選出場の権利が与えられたのだ。
近年、イングランド勢はずっと好成績を残しており、過去7シーズンのうち6シーズンで上位2リーグに入っていたのだが、今季は黄色信号がともっている。というのも、冒頭で説明した通り、マンチェスター・ユナイテッドとニューカッスルがグループステージ最下位で敗退し、チャンピオンズリーグどころかヨーロッパリーグの決勝トーナメントにも進めなかったからだ。
今季の欧州カップ戦の成績ランキングを見ると、グループステージを終えた時点で1位イタリア、2位ドイツ、3位スペイン、4位イングランドとなっている。ニューカッスルとマンチェスター・ユナイテッドはグループステージで1勝ずつしかできずに敗退しており、既にイングランドは4位と出遅れている。さらに彼らが決勝トーナメントに進めないため、勝ち上がっているチームがよほどの好成績を残さない限り、イングランドは上位2リーグに入れないだろう。
果たして、刷新される来季のチャンピオンズリーグ出場権を得るクラブはどこなのか? 国内リーグ戦と今後の欧州カップ戦の戦いに注目したい。
(記事/Footmedia)
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