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「メグが移籍してきて良かったと思える試合にしよう」長野→広島移籍の伊藤めぐみが奮起、初の古巣戦で移籍後ホーム初ゴール

2025.10.15

[写真]=WE LEAGUE

 いつもと違う気持ちが入る試合。MF伊藤めぐみは古巣との初対戦に向けて、5日前の練習後に「すごく楽しみです」と話し、少しずつ気持ちを高めていた。

「1番は得点を決められたらいいですし、個人的には恩返しのつもりで、自分の成長した姿を見せられたらいいなと思っています」(伊藤)

 サンフレッチェ広島レジーナは13日、SOMPO WEリーグ第10節でAC長野パルセイロ・レディースを本拠地のエディオンピースウイング広島に迎えて、1-0で勝利した。ホーム2連勝を飾り、5試合負けなしで4位浮上となった。

 伊藤は初の古巣戦でスタメンに名を連ねた。長野県出身の23歳は、JFAアカデミー福島を卒業後、2021年に地元の長野に加入し、2023年からは当時21歳でキャプテンを務めてチームをけん引してきた。今年の夏に地元を離れて新たな挑戦をする決断を下し、広島へと活躍の場を移していた。
 
 新天地に来て10試合目で迎えた古巣戦。伊藤は「他のチームと戦うときとは違う気持ちがありましたが、考えすぎても影響すると思いましたし、チームとしてこの2試合は良くなっている中での大事な一戦だったので、シーズンを通しての1試合だと思って気持ちを作って入りました」と冷静さを保って試合に臨んでいた。

 ただ、試合のアップ前の円陣では副キャプテンのDF市瀬千里を中心にチームが「メグのために」という思いで一つになり、本人も勝利への意欲をさらに高めていた。

「チームのみんながアップ前に『メグが移籍してきて良かったと思える試合にしよう』と言ってくれて、自分もみんなに向けて『勝ちたい気持ちが強いので、みんなで勝ちましょう』という言葉を伝えました。少し緊張していたけど、そこで勝ちたい気持ちに切り替えられました」(伊藤)

 試合の前半は前から圧力をかけてきた長野に主導権を握られ、18分にはGK木稲瑠那が相手との接触によって負傷交代を強いられるアクシデントに見舞われたが、苦しみながらも再三のピンチを粘り強く守った。

 伊藤としても古巣を相手に、「知っている選手が多いので、すごくやりにくいなと正直に思いました」と明かしつつ、「それをレジーナとして上回らないといけないというのはすごく感じていました」と闘志を燃やしていた。

 すると、前半のアディショナルタイムに左サイドのMF中嶋淑乃がクロスを入れると、中央のFW上野真実がヘディングシュートを放ったが、相手GKのセーブとクロスバーに阻まれた。ただ、「シノさんがクロスを上げて、マミさんがヘディングするところは、チームとしての1つの形なので、そのこぼれ球を自分は狙う意識で入りました」という伊藤が、いち早く相手GKの前にポジションを取り、こぼれ球を頭で押し込んで先制点を挙げた。

 古巣相手に移籍後ホーム初ゴールを決めた背番号7は、「めっちゃうれしかったです」と笑顔。70分までプレーして勝利に貢献し、「本当に1番いい勝ち方ができてすごくうれしいです」と喜びを口にした。

 チームとしても急きょ出場したGK藤田七海が好セーブを連発し、チーム全員が体を張った守備で得点を許さず、クリーンシートを達成した。ただ、広島は後半に攻勢を強めて12本のシュートを打ったが、追加点を奪うことはできなかった。

 伊藤は、「点を決められてしまえば、引き分けになっていたので、自分たちのいい流れができている時間帯にみんなで決めきることが課題だと思います」と指摘し、「前線の選手みんなで『自分が決めてやる』っていうぐらいの気持ちでやっていきたいです」と気を引き締めた。

 試合後には長野から来た古巣サポーターから拍手と声援を受け、「今までたくさんお世話になったファン・サポーターの人たちと久しぶりに会えたし、挨拶しに行った時にすごく温かく迎えてくれたので、すごく感謝しないといけないなと思いました」とうれしそうに話した。

 同じく長野にも強い思いを持ってEピースに乗り込んできた選手がいた。広島の初期メンバーで3年在籍したFW大内梨央は、古巣戦に先発出場して60分までプレーした。

 前半は長野が攻勢に出て再三チャンスを作っていたが、最後の精度を欠いて惜しくも得点に結びつかず。大内も14分に味方のパスをうまく胸トラップしてペナルティエリア中央に入り、決定的なシュートを放ったが、ゴール目前でMF渡邊真衣にクリアされた。

 恩返し弾をギリギリで阻止された27歳のストライカーは、「あそこで防ぎきるところは広島をリスペクトする部分でもありますし、自分たちがそれを上回らないといけない部分だと明確になりました」と話し、「前半はチャンスがあった中で決めきれなかったことが、今日の勝敗を分けたと感じています」と振り返った。

 2024年の夏に長野へ移籍して2年目。Eピースでは今回が3試合目だが、まだ勝てておらず、「ずっと楽しみにしていた試合だったので、絶対にピースウイングでゴールを決めて勝ちたかったですし、少しでも広島サポーターのみなさんに成長した姿を見せたいと思って挑んでいたので、結果が残念です」と悔しさを滲ませた。

 今年の夏に広島から長野に移籍したFW吉野真央も初の古巣戦となった。60分に大内との交代で出場し、「とにかく楽しむことを考えていました」と長野のユニフォームを着て古巣のピッチに立った。

「自分が入ったからには、もちろん結果を出したかったですし、いろんな思いがあったのでゴールを決めたかったです」と気合いが入った約30分のプレーだった。1点ビハインドをひっくり返すことはできなかったが、「チームとしては全員で気持ちを込めて戦えた試合だったので、この試合を次の勝利のためにつなげていきたいです」と前を向いた。

 早稲田大学出身の25歳FWは、2023年1月に広島に加入したが、思うような出場機会を得られず、2シーズン半で公式戦13試合の出場のみ。昨季はリーグ戦に絡めず、Eピースでの出場は昨年9月のリーグカップ戦以来、約1年ぶりのことだった。「あまり言葉にできないぐらいの思いがあります」と試合後には目に涙を浮かべながら古巣戦にかける思いを口にした。

「レジーナで出られない時間も長くて、このピースウイングに立つ時間も短かったので、相手チームとしてですけど、このピッチに立てることは自分の中でもすごく大切なことだったし、だからこそ広島のサポーターの人にも成長を見せたかったです。でもまだまだ自分の実力が伴ってなかったので、正直悔しかったです」(吉野)

 2人も試合後に広島のサポーターのもとに挨拶へ出向き、拍手と声援が送られていた。大内は、「移籍した後でもこうやって温かい声援、拍手をしてくれる広島サポーターに本当に感謝していますし、もっともっと成長したところを見せたいなと、また改めて思いが熱くなりました」とさらに奮起した。

 初めて古巣サポーターに挨拶した吉野は、「本当に感慨深かったですし、本当にありがとうという思いが強かったです。広島のサポーターのみなさんはどんなときも支えてくれたので、だからこそまた成長した姿を見せたいと思います」と力を込めた。

 それぞれが恩返しをしたいと気持ちを込めた古巣戦。そこで得た悔しさも、うれしさも、また成長の糧となる。

取材・文=湊昂大

By 湊昂大

Kota Minato イギリス大学留学後、『サッカーキング』での勤務を経てドイツに移住して取材活動を行う。2021年に帰国し、地元の広島でスポーツの取材を中心に活動中。

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