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現役引退の長谷部誠「後悔というものはない」…会見で明かした率直な思いと感謝の言葉

2024.05.24

日本での引退記者会見で笑顔を見せる長谷部誠

 フランクフルトで約22年に及ぶ現役生活に幕を下ろした元日本代表MF長谷部誠が24日、日本で現役引退記者会見を実施。これまでのキャリアを振り返りながら、いま現在の率直な思いを語った。

 フランクフルトのマルクス・クレッシェSDと共に登壇した長谷部は、3月下旬には引退を決断していたものの、最後の試合から1週間ほどが経過した今も「まだ実感がわかないです」とコメント。多くの人から労いの言葉をかけられ、「頭では引退したことを理解しようとしていますが、体はすぐにでもボールを蹴りたいと疼いている。体が理解していないような感覚はあります」との実感を口にした。


 その一方で、「それで後悔しているわけでは全くなく、大きな満足とともにキャリアを終えられたと思っています」との述べ、その理由を以下のように説明。「なぜ後悔がないのかと振り返ると、自分で引退の時期を決められたことがすごく大きかったと思います。フランクフルト側が僕に対して現役を辞める、続けるという決断を託してくれた。来季もやろうと思えばやれた中で、自分でいいタイミングを決められたので、後悔のない気持ちが大きかったのかなと思う。クラブ、マルクスに対しては非常に感謝しています」と、自身の決断に時間をかけられたことを挙げた。

 また、「もう一つは、自分をひとりのサッカー選手として常に客観視していて、その中で自分のサッカー選手としての能力、抜きに出たものがあるわけでもなく、パーソナリティー的にも目立つわけではない。見た目も20年間くらい同じ髪型をしている(笑)。サッカー選手としての能力に加え、目立つような発言をするわけでもない選手が、ここまでのキャリアを築けて多くのタイトルも手にすることができた。これ以上のキャリアは、自分の能力の中では上積みできないんじゃないかと思った。本当にマックスのマックス、評価してもらえたと思うし、自分の中にもやり切ったという思いがある。なので、もう一度同じキャリアを築けるかと言われたら、正直、築ける自信もない。そういう意味で後悔というものはないです」との考えも示した。

 そして、自身のキャリアを「浦和レッズ時代」「渡独から代表引退まで」「代表引退から現役引退まで」の3フェーズに分けて振り返りつつ、最後にはこれまで公の場で語ることの少なかった家族への感謝の言葉を添えた。

「1つ目はプロのキャリアをスタートさせた浦和レッズですね。自分がプロ生活をスタートさせて、その最初のクラブが浦和だったのは幸運だったと思います。本当に大きなクラブで、日本一のサポーターがいて、あの当時はキャラクターの濃い選手がたくさんいた。あの中でキャリアをスタートさせて、多くのタイトルも取れた。浦和での6年間は自分にとって非常に大きかったと思います。そして2022年にフランクフルトのメンバーとして埼スタで浦和レッズと試合をして、試合後にグラウンドを回った時に本当に多くのサポーターが浦和時代の17番や日本代表の17番のユニフォームを掲げてくれた、あの瞬間というのは、自分にとって本当に忘れられない瞬間でした」

「2つ目は、ドイツに渡った2008年から2018年のロシアW杯で代表から引退するまでの10年間。この10年は日本代表とクラブの両立という部分で正直苦しんで、しんどい10年でした。いいこともたくさんありましたが、両立する難しさを感じていたし、だからこそ人としても成長できた時期だったと思っています。そして3つ目は、代表を退いてからこれまでの日々です。この時期が一番純粋にサッカーを楽しみ、サッカー選手として正当に評価してもらえた期間だったと思います。もちろん、それまでの積み重ねがあってですが」

「22年のキャリアの中で本当に多くの方々、素晴らしい方々に出会いました。監督、チームスタッフ、選手、ファンサポーター、本当に多くの方々、引退を発表してからも先輩後輩問わず多くの方々からメッセージをいただきました。キャリアを終えた今、財産として自分に何が残ったかというと、“人”といいうところだと思います。そういう人たちとの出会いが自分にとって大きな財産として残っています」

「家族についても少し触れさせてもらいたいと思います。サッカー選手としてこれだけ多くのメディアの前で話せるのも、家族の存在が大きかったです。愛情たっぷりに育ててくれた祖父母、公私共に全力で支えてくれた姉と妹、娘と息子は自分にとって宝物のような存在です。そして、僕にサッカーを与えてくれて、厳しく育ててくれた父親。特に母と妻には、心からの感謝を伝えたいです」

「母と僕の両方を知る人は、この母がいて長谷部誠がいると言います。容姿も似ているようで、とにかく真面目。世間的に真面目と言われる僕が言うくらいなので、だいぶ真面目だと思います(笑)。自分という人間を形成する上では一番影響を受けた人物だと思いますし、母の元に生まれて来れたことに大きな喜びを感じています。妻にはとても大きな負担をかけたと思います。サッカーを軸に生きる僕にかなり振り回されてきたと思います。自分と一緒になることで、ずっとやってきた大好きな仕事を犠牲にした部分もあったと思うので、これからは彼女の好きなこと、やりたいことをサポートしていきたいと思いますし、これからは家族との時間を大切にしていきたいと思います」

 冒頭の挨拶では最後に、今後は数カ月間の休暇をとること、その後はフランクフルトのセカンドチームを中心に様々なカテゴリーの選手たちを指導していくこと、そして最終的にはトップカテゴリーのチームを率いたいというビジョンも明かした。

 1984年1月18日生まれで現在40歳の長谷部は、2002年に藤枝東高校から浦和レッズに入団し、プロキャリアをスタート。徐々に出場機会を増やすと、7シーズンで公式戦通算215試合に出場し24ゴール17アシストを記録した。中盤の主軸として2006年のJ1リーグ制覇や、翌年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝など、数々のタイトル獲得に貢献。2008年1月にヴォルフスブルクへの完全移籍を果たすと、2年目の2008-09シーズンはブンデスリーガで25試合に出場し、クラブ史上初のマイスターシャーレ獲得の原動力となった。

 2013年9月にはニュルンベルクへ移籍し、翌年には終の住処となるフランクフルトへ加入。チームの主力として長年に渡って活躍し、2021-22シーズンには最終ラインの一角として、ヨーロッパリーグ(EL)制覇に貢献した。ブンデスリーガでの通算出場試合数は「384」。これは外国人選手としては、元ペルー代表FWクラウディオ・ピサーロ氏、ポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキ(現:バルセロナ)に次ぐ歴代3位の記録となっている。

 また、2006年2月にデビューした日本代表では、歴代7位の国際Aマッチ通算114試合に出場し、2ゴール10アシストをマーク。3度のFIFAワールドカップ(2010、2014、2018)、2度のAFCアジアカップ(2011、2015)を経験し、AFCアジアカップカタール2011では優勝カップを掲げた。また、2010年からはキャプテンとしてもチームを牽引。多くの選手に大きな影響を与えてきた。

【日本/J1リーグ】
2002:浦和レッズ(0試合・0得点)
2003:浦和レッズ(28試合・2得点)
2004:浦和レッズ(27試合・5得点)
2005:浦和レッズ(31試合・2得点)
2006:浦和レッズ(32試合・2得点)
2007:浦和レッズ(31試合・1得点)

【ドイツ/ブンデスリーガ】
2007-08:ヴォルフスブルク(16試合・1得点)
2008-09:ヴォルフスブルク(25試合・0得点)
2009-10:ヴォルフスブルク(24試合・1得点)
2010-11:ヴォルフスブルク(23試合・0得点)
2011-12:ヴォルフスブルク(23試合・1得点)
2012-13:ヴォルフスブルク(23試合・2得点)
2013-14:ヴォルフスブルク(1試合・0得点)
2013-14:ニュルンベルク(14試合・0得点)
2014-15:フランクフルト(33試合・0得点)
2015-16:フランクフルト(32試合・1得点)
2016-17:フランクフルト(22試合・1得点)
2017-18:フランクフルト(24試合・0得点)
2018-19:フランクフルト(28試合・0得点)
2019-20:フランクフルト(23試合・0得点)
2020-21:フランクフルト(29試合・0得点)
2021-22:フランクフルト(18試合・0得点)
2022-23:フランクフルト(18試合・0得点)
2023-24:フランクフルト(8試合・0得点)

【代表/国際Aマッチ】
2006:日本代表(6試合・0得点)
2007:日本代表(0試合・0得点)
2008:日本代表(10試合・0得点)
2009:日本代表(11試合・1得点)
2010:日本代表(10試合・0得点)
2011:日本代表(15試合・1得点)
2012:日本代表(11試合・0得点)
2013:日本代表(14試合・0得点)
2014:日本代表(6試合・0得点)
2015:日本代表(12試合・0得点)
2016:日本代表(9試合・0得点)
2017:日本代表(2試合・0得点)
2018:日本代表(8試合・0得点)

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