2016.10.21

【コラム】“世界切符”がかかる準々決勝へ U19代表、勝利のカギは「普通にやること」

AFC・U-19選手権でカタールに快勝し、準々決勝へと駒を進めたU-19日本代表 [写真]=JFA
2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

 立ち上がりの戦いぶりを観ながら軽い高揚感すら覚えていた。AFC・U-19選手権グループステージ第3戦は、カタールに勝たなければ終わるという試合である。恐怖感に負けて縮こまったプレーになるリスクも十分にあった。実際、イエメンとの初戦はプレッシャーに打ち克つことができず、何とも難しい試合をしてしまったこともある。その再現になれば危なくなると思っていた。

 だが、若き日本のイレブンは腰の引けた戦いを選ばなかった。試合前はさすがに「(藤谷)壮(ヴィッセル神戸)と二人で『ヤバい、ヤバい』と言ってました」(MF市丸瑞希=ガンバ大阪)という緊張状態だったそうだが、キックオフの笛が鳴ってからもそれを引きずるようなことはなかった。初先発となったFW岩崎悠人(京都橘高)は「緊張しているときはとにかく走ろうというのは、1年の高校選手権からあるんです」と、前へ前へとスペース目掛けて走りまくり、チームのけん引役となった。

 この土壇場に来て過去2戦でチグハグだった歯車がついに噛み合ったような感覚があった。積極的なボール奪取の姿勢と縦へのスピード感は、1点目の速い攻めから相手のミスを誘っての岩崎のゴールへと結実した。ここまでは歯車がズレる中での個人のドリブル勝負ばかりが目立っていたが、この日はサイドバックも活き活きとオーバーラップ。チームはリズムに乗っていた。

 戦術的にもハマっていた。「ロングボールをケアしつつ、(カタールの)3バックのサイドでハメる」(市丸)という狙いは序盤から機能。苦し紛れのパスは市丸と坂井大将(大分トリニータ)の両ボランチが遮断し、カタールの狙いとしていたポゼッションプレーは完全に沈黙。セットプレーからの得点が取り消されるアクシデントもあったが、前半終了間際の45分にCKのこぼれ球を叩いた三好康児(川崎フロンターレ)のゴールが生まれたことで、試合の流れは完全に日本側へ傾いた。後半にもDF冨安健洋(アビスパ福岡)が1点を加えた日本が3-0で快勝となった。

 この試合を前にしたカタールとイエメンの第2戦を観ていて、筆者には「普通にやれば負ける相手ではない」という確信があった。一方で、「普通にやれる」という確信は今ひとつ持てなかった。イエメン戦とイラン戦はどちらも、このチームの「普通」から遠いもの。日の丸の重責を背負って国際大会を戦う独特のプレッシャーの重みが、いかに選手たちの足を重くし、視野を狭くするかを思い知らされるような2試合でもあったからだ。

 だが、彼らは「普通」に戦った。「スカウティングは参考程度」(市丸)と相手の守備が想定と少し違うことも洞察しながら、相手の守ってない場所を攻めるという大原則も徹底。シンプルなサイド攻撃は前日の練習であらためて意識付けていたことだったが、それを「普通に」ピッチで表現して得点にも結びつけて、勝利を収めた。その意味は大きい。

 次は準々決勝。「勝てば世界切符、負ければチーム解散」という、ハラハラドキドキを約束されたようなシチュエーションである。相手はオーストラリアかタジキスタンとなるが、恐らくそこは大きな問題ではない。プレッシャーを感じないはずもないが、それでも勝利のカギは何より「普通にやること」だろう。視野を広く、心を整え、前を向いて、仲間と一緒に最後まで戦い抜くこと。それができれば、10年ぶりの世界切符は自ずと手に入るに違いない。

文=川端暁彦

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