2015.08.03

北朝鮮に痛恨の逆転負け…その中で希望の光となった武藤雄樹と遠藤航

武藤雄樹
遠藤のアシストで得点した武藤を祝福する選手たち [写真]=兼子愼一郎
日本代表から海外まで幅広くフォローするフリーライター。

文=元川悦子

 2年前の韓国大会王者として2015年東アジアカップ(武漢)2連覇に挑んだ日本代表。開始3分の武藤雄樹(浦和レッズ)の代表デビュー戦初ゴールを皮切りに、序盤は積極的に支配し、数多くの決定機を作った。

 ところが、前半30分頃から相手にペースを握られ始め、後半は体力低下も重なって相手に圧倒される。日本も後半10分すぎに柴崎岳(鹿島アントラーズ)を投入し、4-3-3に布陣変更。前への推進力を出そうとするが、後半20分すぎに北朝鮮が大型FWパク・ヒョンイルを送り出してくると、逆にパワープレーに翻弄される形となる。

 そして33分、彼がターゲットになる形でリ・ヒョルチョクが同点弾をゲット。残り2分というところでパク・ヒョンイルに逆転ゴールを決められた。これで万事休す。日本代表はヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任後、公式戦初黒星という最悪のスタートを余儀なくされてしまった。

「我々はフィジカル的な問題で最後まで持ちこたえることができなかった」と指揮官は過密日程やフィジカル面の不備を敗因に挙げたが、日本の連覇にいきなり黄色信号が点ったのは間違いない。

 2014年ブラジル・ワールドカップも初戦・コートジボワール戦(レシフェ)の衝撃的逆転負けが響いて最後まで立て直せなかったが、短期決戦の場合、初戦黒星のダメージは計り知れない。次の韓国戦まで中2日。心身ともにいかに立て直すかをチーム一丸となって真剣に考えなければならないだろう。

 まさに屈辱的敗戦を喫した北朝鮮戦だったが、数少ない光明となったのが、この日が初キャップを飾った武藤雄樹と遠藤航(湘南ベルマーレ)のパフォーマンスだ。

 武藤は前述の通り、開始早々に電光石火の先制点を奪い、チームに大きな活力を与えた。浦和レッズで担っている2シャドウの一角とは異なるトップ下での出場だったが、全く戸惑うことなく果敢にゴールにアタック。お膳立てにも意欲的に絡んでいた。

「レッズでもよく決めているようなゴールシーンだったですし、僕はいつもああいうのを狙っている。すごくいいクロスを航が上げてくれたので、しっかり決めることができてよかったと思います。前の選手はゴールを決めると乗る部分があるので、ああやって最初に決めたことで、より余裕を持って落ち着いてプレーできましたけど、それでも世界の戦いでは1つのミスでやられてしまう。もっとレベルを上げないといけないと感じました」と武藤は手ごたえをつかむ一方、真摯な気持ちで課題を口にしていた。

 それでも全く未経験と言っていいトップ下で躍動し、後半に柴崎が出てきてからは左FWとしてゴールに迫る動きをしたのは特筆に値する。ハリルホジッチ監督は「今大会では3つのオプションにトライする」と宣言しており、この北朝鮮戦では4-2-3-1と4-3-3の2つを試みたわけだが、武藤はそれぞれで高度な適応力と柔軟性を示した。もちろんトップ下には香川真司(ドルトムント)や本田圭佑(ミラン)がいるし、左FWにも武藤嘉紀(マインツ)らがいて代表定着は簡単ではないが、今回力強い一歩を踏み出したのは間違いない。

「ボールを引き出すこと、裏に飛び出すことだったり、代表は自分の特徴が十分生きる場所だと思ったので、次はもっと精度を上げて代表の勝利に貢献したいです」と本人もさらなる飛躍を誓っていた。

 そしてもう1人の遠藤航は、武藤が語ったように精度の高いクロスで先制点をアシスト。前半は対面に位置した相手左MFソ・ヒョヌク(17番)をほぼ完璧にストップし、守備能力の高さも前面に押し出した。

「アシストの場面は、ボール持って顔を上げた時に武藤君が前に走りこんでたんで、そこを見て、アーリークロスというか、間に蹴ればチャンスになるかなと思ったんで、イメージ通り蹴れましたね。今日は入り方は悪くなかったと思うし、立ち上がりからどんどん前出ていこうっていうのは自分の中で意識していて、最初のクロスで点取れて前半はそんなに悪くなかった。守備でも最低限1対1で負けない、クロスを上げさせないところは自分の中で意識していたんで、そういうところはできたと思います。ただ、攻撃参加はまだ物足りないかなっていう印象です」と遠藤は客観的に自分の代表デビュー戦を評価していた。

 とりわけ2失点した後半は最終ラインの一角を占める人間として責任を感じているようだ。彼の場合、年代別代表でもアジアの厳しさを何度も経験し、パワープレーの怖さを熟知している。だからこそ、よりクロス対応を徹底しなければならないと言う。

「パワープレーからの失点を防ぐためには、セカンドボールに対するチャレンジとカバーをハッキリさせるしかないと思う。それに相手が長いボールを蹴るって分かっててももっとコンパクトにしなきゃいけない。ラインが上がってれば事故は起きにくい。そういう意識をより高くしていければと思います」

 そうやって自分の意見をきちんと主張できるのが遠藤航のいいところ。年齢や代表経験に関係なく自らチームに入り込んでいけるだけの器を彼はしっかりと示してくれた。

 こうした新戦力がチームに勢いをもたらせば、まだリカバリーは可能かもしれない。東アジアカップはワールドカップとは違う。そう割り切って巻き返しを図ってほしい。

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