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【インタビュー】岩渕真奈 ~イングランドの地でパイオニアとして、若き選手の指針に~

 なでしこジャパンの岩渕真奈は2021年から、新たにイングランド1部のFA Women’s Super League(FA WSL)に在籍するアストン・ヴィラに加入した。

 ここ数年、イングランドのプレミアリーグクラブは女子部門の強化・新設を進めており、FA WSLはマンチェスター・U、マンチェスター・C、チェルシー、アーセナルが上位に位置するなどしている。イングランドはもちろん、アメリカやオーストラリアといった英語圏の代表選手をはじめ、多くの実力者が在籍している。

 岩渕は2013年1月からドイツのホッフェンハイム、バイエルンでプレーしたが、当時はケガに悩まされ、2017年3月にINAC神戸レオネッサに移籍し、日本へと復帰した。今回は2度目の海外挑戦となる。

 2021年は1年延期となった東京オリンピック、さらには秋に新設される女子プロリーグ『WEリーグ』が開幕する日本女子サッカー界にとって転換点となる年。なぜ、このタイミングで新しいチャレンジを選んだのか。岩渕に渡英前、話を聞いた。

インタビュー=小松春生
取材協力=アディダス

■パイオニア的な存在に

―――2020年を振り返ると、どんなシーズンでしたか?

岩渕 新しい監督、新しい選手が来て、新しいチャレンジをしていく中、コロナウイルスの影響含め、様々なことがありました。リーグ戦は悔しい結果で終わりましたが、自分自身はキャプテンという立場をやらせてもらい、1年を通していろいろなことを知り、経験ができたと感じています。リーグ優勝とには手が届きませんでしたが、一選手として成長できたシーズンだと感じています。

―――INAC神戸加入時に掲げられたリーグ制覇という目標が成し遂げられなかった中、ご自身としては2度目の海外挑戦を決断されました。

岩渕 もともと、東京オリンピックまで日本でプレーして、その先はもう一度海外にチャレンジしたい気持ちがありました。話をいただいたアストン・ヴィラは、夏から継続して追いかけてくれて、必要としてくれましたし、アメリカやオーストラリアの選手をはじめ、いろいろな国の選手がイングランドでプレーしているので、環境も含めて一番魅力的だと感じて、決断しました。

―――最初の海外挑戦となったドイツから一度帰国し、2度目の挑戦はイングランド。年齢、キャリア、経験を重ねての挑戦として、最初の海外移籍からの意識の変化などはありますか?

岩渕 ドイツに移籍した当時は、自分の経験だけを考えていたというか、自分が行きたいから行くという感じでした。若かったですし、初めての一人暮らしが海外にもなったので、いろいろな不安はありました。今は年齢も重ねましたし、「不安はないの?」と、いろいろな人に言われますけど、全くないです。楽しみな気持ちが一番大きいですし、イングランドに行きたい気持ちは、この1、2年持っていました。韓国代表のチ・ソヨンがチェルシーでプレー(2011~13年INAC神戸在籍、2014年チェルシーに移籍)していますが、現地で評価されたこともあり、韓国代表の選手が何人かイングランドでプレーしています。環境は一番いいリーグだと思っていますし、パイオニア的な存在に自分がなって、イングランドのリーグは楽しいと証明できたら、若い選手もチャレンジしやすく、評価されやすくなると思います。そこは自分の目標、成し遂げたいことの一つではありますね。

―――岩渕選手は話を聞くたびに、若い世代に対する意識の比重が高まっている印象です。

岩渕 そうですね。自分自身も若い時、いろいろな選手の助けを借りながらやってきたので、いいチームになっていく上で、そこの気遣いは絶対に必要なことだと思いますし、これからも取り組んでいきたいです。

■オリンピックやさらに強いチームで活躍することも目標

[写真]=Getty Images

―――イングランドの印象はいかがですか。FA WSLは12チームが所属していて、男子プレミアリーグで資金力のあるチームが上位に来ています。

 イングランドの選手については、なでしこジャパンでイングランド代表と戦った際、体感するフィジカルやパワーがすごいと感じました。FA WSLの試合は『The FA PLAYER』というサイト、アプリで見られるんですが、やはり速いですし、アメリカのリーグとは違う雰囲気や技術があって、ボールをつなぐチームが多いですね。いろいろなタイプの選手がいて、いろいろなサッカーがあって、それがリーグを楽しくしている印象です。アストン・ヴィラに移籍するにあたり、正直、リーグで上位の力はないと思いますが、発展途上のチームとして自分自身含めて成長していけたらいいなと思っています。今は本当に楽しみですね。

―――個人としてイングランドで得たいものは何でしょう。

岩渕 まずは、コンスタントに試合で自分の力を出すことが大切で、どんな試合でも力を発揮できるようになりたいということは、昔から持っているものです。アストン・ヴィラでは自分が中心でやるという気持ちなので、チームを勝たせられる、残留させることが一番の目標なので、そこが自分に課せられていることだと思っています。

―――チームや監督からはどういったことを求められていますか?

岩渕 契約前にも監督やGMとビデオで話をしました。チームには速い選手が多いので、自分が点を取るよりは、ゲームを作る、チャンスメイクを求められていると思っています。「相手のボランチとセンターバックの間に真奈がいたらいいよね。色を出せるよね」ということを言ってもらえましたし、自分がやりたいことでもあります。今までのサッカー人生で得たものをアストン・ヴィラで発揮して、その先に控えるオリンピックやさらに強いチームで活躍することも目標なので、1日1日をしっかり頑張りたいです。

―――ちなみに本拠地があるバーミンガムの街のイメージはありますか?

岩渕 まだ何もないです(笑)。イングランド第2の都市と聞いているので、いいところなんだろうなとは思っています。

―――岩渕選手の活躍を期待するファンの方へ、メッセージをお願いします。

岩渕 東京オリンピックの後、WEリーグが始まります。日本のサッカーを応援していただいている皆さんに、WEリーグを盛り上げていただきたいと思っています。自分は海外からではありますけど、まずは女子サッカーが盛り上がってほしいので、イングランドでしっかり成長して、それをオリンピックの舞台や、代表活動でも発揮できるように頑張るので、応援していただけたら嬉しいです。


■岩渕真奈とプレデター


―――2020年からスパイクをプレデターに変更しました。1年間履いてみての印象はいかがですか?

岩渕 とにかくフィット感がすごいですね。スパイク自体も軽いので、履いている感覚がないと言ったら大げさかもしれないですけど、そのくらい足にフィットしています。

―――プレデターは“デーモンスキン”によってタッチ感が大幅に変わりました。

岩渕 初めて履いた時は正直、戸惑うくらい感覚が違ったんですけど、カーブをかけながらシュートを打ってみたり、トラップだったりをやっていくうちに、「おもしろいな」って。今まで履いたことがない感覚だったので、そこはプレデターの魅力の一つだと思います。

―――「おもしろい」という言葉はスパイクの感想として珍しいですね。

岩渕 (笑)。でも、ここまでゴツゴツしているものって、今までなかったじゃないですか。なので、トラップ一つとっても違う感覚です。新しいモデルはデーモンスキンの形状、範囲が広がるので、いろいろと楽しみです。

―――デザインはいかがですか。刺激的、攻撃的な感じです。

岩渕 確かに、かわいいよりはかっこいいスパイクだとは思います。“デーモンスキン”と言うくらいなので、試合中は相手にとって脅威になる存在でありたいですね。

―――プレデターを履いて活躍してくれる中高生も増えてくれたら嬉しいですね。

岩渕 そうですね。たくさんの女子選手も履いてくれたら嬉しいです。

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