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【ライターコラムfrom磐田】突如巻き込まれた残留争い…譲れない“静岡ダービー”で自信を取り戻せるか

2018.10.06

ジュビロ磐田は7日に清水エスパルスとの“静岡ダービー”に臨む [写真]=J.LEAGUE

 MF中村俊輔の試合後のコメントは、ジュビロ磐田が危機的な状況に陥っていることをさらに色濃くした。9月22日、ホームのヤマハスタジアムに中村の古巣でもある横浜F・マリノスを迎えた磐田は、1-2で敗れた。「下(のチーム)も詰まってきている。やり方を変えようとせず、チームとしてまとまって突き進めるかがポイントになる。ポジティブな気持ちが大事だし、自分の経験なども生かさないとならないし、力を発揮したい」などと話す中村の口ぶりは、まるで残留争いへの“決意表明”だった。

 27節終了時で8勝9分け10敗。残り7試合で勝ち点33は、例年ならば安全圏のはず。昨季最終節でJ1残留を決めた15位のサンフレッチェ広島の勝ち点が33だった。ロシア・ワールドカップによる中断期間が明けてからの磐田は2勝6分け4敗。引き分けが多く、勝ちきれない試合が続いているが、深刻な成績でもない。それ以上に中断前には下位に沈んでいたチームの追い上げが、大混戦を招いている。


ジュビロ磐田

残留争いに巻き込まれている磐田 [写真]=J.LEAGUE

 9月1日の名古屋グランパス戦前は、「好調の相手を自分たちが止め、もう一度、名古屋を残留争いに巻き込む」と多くの選手が話していた。だが、その一戦が終わった後の会見で、名波浩監督は「これからは残留を意識した戦いもしていかなければならない」と話していた。

 磐田の失速感は、敗れた試合のインパクトの大きさも影響している。8月11日のヴィッセル神戸戦は、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタにワールドクラスのJ初ゴールを許した。続く同15日の浦和レッズ戦は0-4。9月1日の名古屋戦はクラブワーストタイの失点となる1-6。昨季J1最少失点を誇った堅守・磐田にとって、屈辱的な大敗が相次いだ。

 名古屋戦後は、14日のセレッソ大阪戦は1-1のドローだったものの、なんとか守り切ったという展開。横浜FM戦の前半は、なにもできなかったという内容で、不安は募る一方だ。なにより8月まではほとんど現実的ではなかった残留争いに突如、巻き込まれた選手のメンタル面も心配される。控え組中心で臨んだ26日の天皇杯4回戦で、北海道コンサドーレ札幌に4-2と勝って勢いを少しだけ取り戻したことが唯一の救いだ。

 そんな厳しい状況で、今季のターニングポイントになりそうな一戦が迫っている。10月7日、清水エスパルスとの“静岡ダービー”だ。敵地のアイスタ日本平に乗り込む一戦。宿敵は、磐田を勝ち点4上回り9位にいる(磐田は1試合未消化)。

静岡ダービー

[写真]=Getty Images

 どちらかが苦しい状況で迎えたダービーでは過去にもあった。2005年10月22日、ホームの清水が15位で残留争いに巻き込まれていたが、後半に追い付いて1-1のドローに持ち込んだ。2008年11月8日は、ホームの磐田が1-0で勝ち、その後の入れ替え戦を制してJ1残留を果たした。最終的に、16位磐田と17位東京ヴェルディとの勝ち点は同じ37。清水戦に引き分け以下だったら、自動降格となっていた。

 磐田のJ1残留が絶望的になっていた2013年10月27日(ヤマハ)に磐田が0-1で敗れた一戦を除き、正念場の一戦はホームの力がとてつもなく大きいものになる“静岡ダービー”。両チームが苦しい状況に陥っている今回の一戦を前に、磐田は中村を中心に一丸となり、自信を取り戻したい。

文=岩田大五

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