2017.06.09

【ライターコラムfrom名古屋】名古屋デビュー濃厚な渋谷飛翔…“飛び道具”を武器に守護神定着へ虎視眈々

渋谷飛翔
名古屋デビューが濃厚な渋谷飛翔 [写真]=今井雄一朗
雑誌社「ぴあ」勤務を経て2015年にフリーランスライターとなり、WEBメディア「赤鯱新報」を中心に名古屋グランパスを追いかける毎日。

 前節のツエーゲン金沢戦からいくつかの変更が予想される東京ヴェルディ戦の名古屋グランパスの陣容の中で、最も大きな変更点となりそうなのがGKの人選だ。横浜FC戦前後で右足を痛めた楢崎正剛は前節でのプレーでその負傷を悪化させた疑いがあり、今週は別メニューでの慎重な調整に留まってきた。試合2日前時点では風間八宏監督も「今のところは難しそう」と起用には難色を示しており、驚異的な回復でもない限りは欠場が濃厚な情勢だ。現状では楢崎の代役は今季全試合でベンチ入りをしている渋谷飛翔でほぼ鉄板。今週も紅白戦では常に主力組のゴールマウスを任されており、着々と“名古屋デビュー”の日は近づいてきている。



 189cmの長身は身体の幅という点でもスケールが大きく、リーチも長い上に敏捷性もなかなかのものだ。1対1などではそのサイズを活かして壁さながらにシュートコースをふさぐプレーが印象的で、かつアグレッシブな飛び出しのセンスも持ち合わせている。「高校生の時はよくペナルティエリアから飛び出してました」と自信を見せる守備範囲の広さは、ペナルティエリアの内外を問わず渋谷の大きな武器だ。「ウチはラインが高いので、相手もその裏を狙ってくる。自分もカバーするけど、『来るかもしれないからな!』という一言を伝えておくようにしたい。判断をしっかりしたい」と、出れば今季初出場の公式戦へのイメージも膨らませている。

昨季までは横浜FCでプレー [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 そして彼の持つ文字通りの“飛び道具”が、パス能力である。長短を問わないスローイングと正確で速いパントキック、そして安定したボールタッチから淡々と繰り出すビルドアップのパスは、名古屋のGKチームの中でも群を抜く。足下の技術への自信は飛びぬけており、練習試合では自陣ゴール前でワンツーを決め、見ていたチームメイトの度肝を抜いたこともあった。紅白戦でもボランチや時に2列目にまでピタリとつける縦パスも光り、特に裏抜けのスペシャリストである佐藤寿人との相性は最高だ。GKにこの言葉を使うのも違和感があるが、攻撃能力という点でいえば渋谷は断トツの存在といえる。

 肝心要のセービング能力ではまだまだ楢崎に一日の長があるが、ビルドアップへの貢献度と攻撃の起点としての有用性はトレーニングの中では証明済み。「チームは良い競争をできている」と風間監督が語るセクションは、一枠を争うGKのポジションもまた例外ではないようである。だが、当の渋谷にしてみれば淡々としたもので、「いつも通りにやればいい。自分がいま持っている最大限のパフォーマンスを出せるように頑張りたい」とプレーに集中する構え。今節では本来ボランチの小林裕紀が最終ラインに入る可能性もあり、GKとしてはなおのこと腕の見せ所だが、「“センターバック”の人が何とかしてくれるでしょう」とジョークを飛ばす余裕はある。背番号18の名古屋デビューは前途多難だが、それを補えるだけのスケール感はすでに備わっているだけに、巡ってきたチャンスで良いプレーを見せ、楢崎の表情を青ざめさせたいところだ。

文=今井雄一朗

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