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“チームのため戦う集団に” 昌平が目指すはインハイ4強の歴史越え

2022.07.27

昌平の中心選手である荒井悠汰 [写真]=安藤隆人

 2016年度、2018年度の2度、全国高等学校総合体育大会ベスト4という最高成績を持つ昌平。それを越えるべく、埼玉から徳島に乗り込んできた。

 タレント揃いで優勝候補にも挙げられている今年のチームは、生駒、星稜、日章学園を相手に3試合で12得点3失点という数字で順当に勝ち上がり、準々決勝進出を果たした。

 今年のチームは全学年にタレントを有する。中盤には、右サイドハーフにFC東京内定のレフティーMF荒井悠汰(3年)、1年時から出番を掴みゴールセンスに長けた左サイドハーフの篠田翼(3年)、ボランチは来年は間違いなく目玉になるであろう土谷飛雅(2年)、トップ下には瞬間的なスピードと卓越したボールテクニックを見せる長準喜(2年)がおり、個性を共鳴し、素早い攻守の切り替えから、ドリブルとパスを融合した多彩な攻撃を繰り出す。

平叶大

日章学園戦で先発した平叶大 [写真]=安藤隆人

 DFラインには日本高校選抜でも守備のリーダーとして君臨した津久井佳祐(3年)、両足から繰り出される正確なフィードで攻撃の起点になる石川穂高(2年)の両CB、U-16日本代表候補の右サイドバック上原悠都(1年)など、187センチのGK上林真斗(3年)を含め、個性的なアタッカー陣を支える土台は盤石だ。

 そして1番のホットスポットとなっているのが1トップで、180センチのU-17日本代表FW小田晄平(2年)、ゴールへの素早いアプローチが売りのFW鄭志錫(1年)が春先から激しいポジション争いを繰り広げてきたが、ここにFW平叶大(2年)が急成長を見せ、争いはさらに激化している。

 裏を返せば、相手によって3人の起用を使い分け、試合の流れに応じてタイプの違うストライカーが次々と投入されることは、相手にとって脅威だろう。現に3回戦の日章学園戦では平がスタメンを張り、果敢な前線へのプレスで相手を疲弊させると、前半アディショナルタイムに平に代わって小田が投入され、正確なポストプレーで2ゴールの起点になるなど、6-2の大勝の原動力になった。

 この試合は50分までに1-2とリードを許す展開だったが、途中出場のMF佐々木小太朗(3年)が58分に投入されると、直後のプレーで篠田が同点ゴールを挙げて振り出しに戻し、勢いに乗った佐々木が59分、61分と立て続けに鮮やかな抜け出しと強烈なシュートで決勝弾と駄目押し弾を叩き込んだ。

佐々木小太朗

チームを逆転勝利に導いた途中出場の佐々木小太朗(左)と注目の2年生ボランチ土谷飛雅(右) [写真]=安藤隆人

「交代選手が持ち味を出してくれることは大きい。佐々木はスタートからでもおかしくない選手。そういう選手が力を発揮してくれるし、チームのためにプレーしてくれるからこそ、周りからの信頼も厚いんです」

 試合後、藤島崇之監督が語ったように、今の昌平の強さはレギュラー、サブに関係なく、登録されたすべての選手に能力があり、それをチームのために発揮しようとする意識を持っている集団であることにある。誰が先発するかは相手によって変化し、ベンチにいるメンバーもスタメンによって変わることで、交代カードの切り方も変化する。相手にとって分析しにくいチームになっているのだ。

 3度目のインターハイベスト4がかかった準々決勝の相手は、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグWESTに所属する大津。優勝候補筆頭が相手になり、準々決勝最大の好カードとなった。彼らの前に立ちはだかる大きな関門だ。

「こういう相手とやりたかった。チャレンジャー精神を持って挑みたい」(藤島監督)

 28日の試合は彼らの真価が問われる一戦となることは間違いない。当然、彼らもその自覚と覚悟を持って難関に挑む。

取材・文=安藤隆人

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