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ビッグマッチがインハイ準決勝で実現 青森山田vs静岡学園、夏の王者に近づくのは?

決勝に進むのは青森山田(上)か静岡学園か(下) [写真]=川端暁彦

 夏の高校サッカー日本一を決める全国高等学校総合体育大会、通称インターハイの4強が出そろい、休養日を経た21日には準決勝が開催される。

 ここで注目を集めているのが、青森山田高校(青森)と静岡学園高校(静岡)のビッグカードだ。大会前から関係者の間で優勝候補筆頭と目されていたのが青森山田だが、そのチームを率いる黒田剛監督が最も警戒していたチームが静岡学園である。2020年1月に行われた第98回全国高校サッカー選手権決勝のカードでもあり、激戦は必至だろう。

 青森山田はJユースの強豪も参加する高円宮杯プレミアリーグEASTでも首位を走っている下馬評でもNo.1のチームだが、その評判通りの力を見せてきている。1回戦から4試合をこなして、24得点2失点。打たれたシュートは合計わずか5本で、1回戦の長崎総合科学大学附属高校戦、3回戦の丸岡高校戦に関しては被シュートを0本に抑え切っている。

 押し込まれようともゴールを隠すポジショニングから失点は防ぎ切るのが青森山田の元からのモットーだが、昨年からは「そもそも打たせなければ失点はない」(黒田監督)ことを強調。被シュート自体を0に抑えることが増えてきた。ペナルティーエリア内での守備はもちろん、日本の高校年代の守備でありがちな、「ミドルは打たせても仕方ない」というような距離感は作らず、常にボールホルダーに対して距離を詰め、無理に打ってきたなら近距離ブロックという形を徹底している。

松木玖生

青森山田10番・松木玖生 [写真]=川端暁彦

 相手が不甲斐なかったのではないかと疑う向きもあるかもしれないが、この傾向は強豪揃いのプレミアリーグでも変わらない。9節までを戦って、被シュート数の平均は約4.89本で5本を切っており、8本以上シュートを打てたチームはここまで一つもない。大量得点に注目が集まるが、ボールを奪い切る肉弾戦の強さや運動量、攻守の切り替えスピードといった個々のベースの高さと、チームとして守備に求める“常識”の高さが青森山田の強さを下支えしている。

 黒子役の美学を持つU-18日本代表MF宇野禅斗はもちろん、大きな注目を集めるU-20日本代表候補のMF松木玖生を含めて全員が献身的で、サボらないし、危ない場面になれば必ず体を投げ出してでも止めに行く。守備の戦術的な約束事の徹底を含め、この守りを破るのは容易ではない。

 一方、対する静岡学園も“常識”がちょっと違うチーム。徹底してテクニックを重視する伝統は堅持されており、今年もCBまで含めてズラリと技巧派がそろうが、現代サッカーの高強度な環境にも適応しており、かつてのような奔放さはなく、激しさと運動量、攻守の切り替えスピードもキッチリと見せてくる。

「攻撃するためにはボールが絶対に必要。ウチはすぐに取り返したいので、そこの守備は当然やらせます」(川口修監督)

 個々に植え付けた守備意識は自然と発動するレベルになっていて、奪われた瞬間の反応は抜群に速い。これは責任感にも繋がっており、大津との準々決勝ではボールを奪われた10番のMF古川陽介が鬼の形相からのスライディングタックルでボールを取り戻したシーンなど、「俺のボールだ。早く返せ!」と個々が言わんばかりに守る様は、ある種の心地良さすら感じさせる。

玄理吾

静岡学園の中盤を支える玄理吾 [写真]=川端暁彦

 とはいえ、「青森山田を相手にひたすらプレスに行って球際で戦ってという同じ土俵でやったら、0-8ですよ」と川口監督が笑って言うように、ボールを奪う守備でも強さを見せているとはいえ、静岡学園の基本軸は、あくまで攻撃にある。技巧派の古川を左に、スピードスターの川谷凪を右に置いてのワイドアタックで相手を広げつつ、中央からの崩しで青森山田の鉄壁を打ち崩しにかかることとなる。

 キーマンになりそうなのはMF玄理吾。ボールをロストしないことに定評のあるボランチを中心に、青森山田の猛プレスをいなして遊んで運び出せるか。CBにもボールを運べる選手がいるだけに、ここでの攻防が一つ大きな見どころとなるだろう。また常識的にはロングスロー含めた青森山田のセットプレーをどれだけしのげるかもポイントだが、「あれは凄すぎる。防げないと思う」と指揮官は早くも失点は覚悟済み。春休みの親善大会・時之栖チャレンジカップでは、4-3と点取り合戦に持ち込んで勝ち切っているだけに、その再現を狙うことになりそうだ。

取材・文=川端暁彦

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