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丸岡|「アグレッシブは当たり前」…“質”にこだわるプリンス北信越王者【選手権出場校紹介】

2020.12.23

[写真]=森田将義

 今大会の隠れた上位進出候補の一つが、丸岡高校だ。地元にある坂井フェニックス丸岡ジュニアユースとの良好な関係が、2018年から2年連続でインターハイ16強進出を果たした原動力になっている。元々、丸岡地区は県のサッカーどころだが、3年前からは週に1度、中学生と高校生の練習試合を実施。先輩たちのプレーを目の当たりにした中学生たちのレベルアップに繋がり、入学時のベースが高まっていた。今年の主力も半数が、丸岡JYの出身。MF中村晃大(3年)は、「全国を目指したいという気持ちが強く、地元の上手い選手が集まる丸岡に魅力を感じた。真剣にプレーを頑張るだけでなく、サッカー以外の所もしっかりしていると感じたのも決め手だった」と口にする。指導者同士も交流が深く、高校に入ってからの起用法などを小まめに話すなど、中高一貫に近い指導体制が好調を支える。

 近年の躍進によって、選手の意識に変化が見られるのもプラス材料だ。「昨年はインターハイで桐光学園、選手権では静岡学園と対戦し、日本一のレベルを体感できた。プレーの質が違い、自分たちはまだまだだと痛感させてもらったので、そこが基準になっている」と話すのは、主将のMF川中浩夢(3年)。ボールを奪ったら積極的にゴールを目指し、失ったら素早くプレッシャーをかけて奪い返す。代名詞とも言える攻守両面でのアグレッシブな姿勢に加え、質の向上に励む今年はミスなく狙い通りの攻撃が機能する場面も多い。「アグレッシブに戦うのは、やって当たり前くらいの基準になっている。昨年はそこで終わっていたけど、今年は奪ってからの質を意識するようになった」(川中)成果が、プリンスリーグ北信越での初優勝に繋がったのは間違いない。

 昨年は、絶対的なエースとして君臨したFW田海寧生(現・駒澤大学)に依存する部分もあったが、今年は飛び抜けた選手がいないため、コンビネーションによる崩しが多く、多彩な攻撃が期待できる。足元へと素早く繋ぐプリンスリーグのような戦いができれば、選手権予選の決勝で見せた大型FW河上英瑞(3年)を活かしたロングボール主体の攻撃もできる。DF竹島智哉(3年)のロングスローを活かして、相手のゴールを強引にこじ開けることもできるため、川中は「攻撃の幅が増えているのが、昨年からの成長」と自信を覗かせる。

 プリンスリーグで対戦したライバル校の監督も「今年の丸岡は強い」と太鼓判を押す通り、力は確か。勢いに乗れば1997年に記録したベスト4進出も見えてくる。

【KEY PLAYER】FW河上英瑞

 182cmの恵まれたフィジカルが売りの点取り屋で、鋭い得点感覚が持ち味だ。予選決勝ではチームを全国大会へと導く2ゴールをマーク。チームが掲げる全国ベスト8以上の成績を残すためのキーマンとして期待される。

 レアボーラ・テクノFCに所属した中学時代は、ドリブルが売りのボランチだったが、県選抜でFWにコンバートされると、進学した丸岡高校でもそのままFWとしてプレーした。2年目は高身長を評価されてCBにコンバートされたが、選手権では秘密兵器としてFWに再転向。小阪康弘監督の期待に応え、初戦の長崎総科大附属高校戦では決勝ゴールをマークした。しかし、続く2回戦の静岡高校では無得点。攻撃のみならず、前線からの守備も機能せず、全国との差を痛感させられた。

 全国基準を学んでからの成長は著しい。「小阪監督には『かわされても良いから、行ききれ』と言われる。かわされたり、パスで散らされたら、もう一回追い掛ける動きを練習からやってきた」と守備力が高まり、チームに欠かせない選手になった。同時に、経験をチームに還元する意識も強い。「全国の壁は分かっているつもり。みんなを引っ張って、そこを乗り越えられるよう意識してきた。昨年は3年生の掛け声に助けられていたので、自分も昨年を経験していない選手に試合で前向きな声をかけたり、練習では『こんなんじゃ全国で通用しないぞ』と言ってきた」。この一年で心身ともに逞しさを増した彼なら、昨年以上のパフォーマンスを見せてくれるはずだ。

取材・文=森田将義

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