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<龍谷>近年の強化が結実の初出場 “最長身監督”の元Jリーガーが導く【選手権出場校紹介】

2018.12.28

選手権初出場となる龍谷 [写真]=川端暁彦

 佐賀県の龍谷高校が最初に名をあげたのは甲子園での活躍だろう。1980年の初出場から実績を作って来た。サッカー部の強化が本格的に始まったのは、そこからだいぶ遅れた2014年から。佐賀県内では初めて本格的な自前の人工芝サッカーグラウンドを導入し、県内にとどまらず広域から人材を集めるようになった。

 2013年から指揮を執るようになった太田恵介監督は、かつてアビスパ福岡、ザスパ草津(現・ザスパクサツ群馬)、V・ファーレン長崎で活躍した元Jリーガー。195センチの超大型FWだったと言えば、思い出す人も多いかもしれない。福岡大学出身者らしい前線のファイターとして戦い抜き、一時はアメリカでもプレーしている。今大会、恐らく最長身監督のはずである。

 清水市立商業高校(現・清水桜が丘高校)では小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)、平川忠亮(浦和レッズ)らと同級生だったが、当時は夏の高校総体には出場しているものの、冬の高校サッカー選手権への出場を果たせなかった。特に小野、太田が3年生だったときのチームは高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権で準優勝を飾るなど確かな実力・実績を備えたチームだったが、惜しくも県予選で夢破れている(ちなみに、この年の出場権を得たのは石川竜也を擁した藤枝東高校である)。

 そんな太田監督はここまでテクニカルなチームを仕上げている印象が強かったのだが、今年は一つのモデルと観ていた前橋育英の初優勝を踏まえ、それを見習った「五原則」を導入。球際、攻守の切り替え、ハードワーク、声、競り合い・拾い合いといったベースとなる要素を徹底した。個人のタレント性に頼るのではない要素を徹底することによって、かえって個性を際立たせる。そうした方向性を示して徹底してきたことが、初の選手権切符獲得につながっている。

 チームの軸となるのは後藤嵩裕(3年)と横山太一(3年)の両MF。テクニックに秀でて決定的な仕事のできる後藤と、パワフルにボールを回収できてヘディングも強い横山のコンビは今季の龍谷を象徴するモノ。元より個の力は十分にあるチームだけに、初出場ながら全国で旋風を起こす可能性も十分にあるだろう。

取材・文=川端暁彦

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