2018.12.27

<一条>公立校ながら3年連続出場、“ヒト・カネ・モノ”の不足を補い余りある指導体制【選手権出場校紹介】

3年連続9回目の出場となる一条 [写真]=前田カオリ
育成年代を中心に取材を続けるサッカーライター

 インターハイ、選手権ともに初めて県の3連覇を果たした一条高校だが、他校と比べて恵まれているチームではない。普通の公立高校であるため、スポーツコースや推薦制度が無く、受験が終わるまでどんな新入生が入ってくるかは分からない。施設もグラウンドの脇にペナルティエリアサイズの人工芝があるだけで、グラウンドの大半を占めるのは土。強化にかける資金も決して潤沢とは言えない。

 前田久監督が「企業で大事なヒト・カネ・モノの全てがないチーム」と苦笑いする状況の中でも、唯一誇れるのは指導体制の充実だ。前田監督を筆頭にチームOBである澤井匡生コーチ、河聖基コーチの3名がA級ライセンスを保持する。今年から就任した梶村卓コーチもB級ライセンスの保持者。公立高校とは思えない充実した指導体制で、中学時代は無名だった選手を、3年間手塩にかけて育てるのが一条の強みだ。

 今年は特に、そうした一条の育成スタイルが最大限に活かされた一年だった。8月のインターハイを終えてからは主力を務めた3年生にケガ人が続出し、下級生を使わざるを得なかった。テクニックに優れる下級生は多いものの、フィジカル面の弱さが響き、上位対決で大敗が続いた結果、優勝争いから脱落した。チームとしての勢いもなく、その頃の前田監督が「今年結果が出なくても、来年には繋がると思う」と口にしていたように、選手権出場は“厳しい”と考えていたのも無理はない。

 予選の組み合わせも、1回戦から県1部リーグに所属する強豪との対戦が続き、決して楽ではなかった。特に準々決勝以降の対戦相手は、力的も一条を上回る相手ばかりで、「全てが決勝戦。選手にはPK戦や1点差勝ちを3回勝たないといけないと言っていた」(前田監督)。加えて、例年なら入学時から、じわじわと成長した3年生が主力の大半を占めるが、今年は下級生がスタメンの半数以上を占める若いチームだ。「こんな若いチームはこれまで一度もなかった」(前田監督)ため、不安もあったが、蓋を開ければ3年生と県1部リーグで経験を積んだ下級生が上手く噛み合い、粘り強い戦いを披露。準々決勝以降の接戦をしっかりとものにし、全国行きを引き寄せた。

 順風満帆とは言えなかった今年に、チームの歴史を塗り替える3年連続出場を果たせたのは、前述の指導体制があったからで間違いない。前田監督は、「下級生が伸びたのはコーチ陣のおかげ。コーチ陣が成熟して、下のチームで良い指導ができているから、不安なく起用できる。『試しに使ってみてください』という選手が、Aチームで活躍する機会が増えている」と口にする。

 選手権の初戦で対戦する仙台育英は、Jアカデミー出身者や人工芝グラウンドなどが揃う私立校。一条とは違い、“ヒト・カネ・モノ”が揃ったチームだが、簡単に負けるつもりはない。前田監督が「仙台育英のようなチームに勝ってこそ、我々の存在を示せる」と意気込むように、育成力を押し出し、真っ向勝負に挑む。

取材・文=森田将義

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