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【インハイプレビュー】名門の10番を背負い、Jクラブから注目を集める逸材・西川潤(桐光学園)

2018.07.30

桐光学園高校の西川潤は早くもJクラブから注目される存在になりつつある [写真]=川端暁彦

 J1クラブのあるスカウトがこんなことを言っていた。

「久々に“ときめき”を感じています」

 視線の先にいるのは桐光学園高校の2年生アタッカー、西川潤だ。U-16日本代表にも名を連ねる逸材は、早くも多くのJクラブから注目される存在になりつつある。

 横浜FMジュニアユース時代からその名を知られる男は、1年生だった昨年から、かつて中村俊輔も背負った伝統の「背番号10」を託され、先発メンバーに名を連ねた。まさに鳴り物入り。本人も自信を持ってこのステージに臨んだ。だが、待っていたのは高校サッカーの壁だった。「現実を見た」。西川は自嘲気味にルーキーイヤーを振り返る。

「本当に結果が残せなかったし、挫折しかなかった」

 まだ1年生というフィルターをかけて見れば十分なプレーぶりだったのかもしれない。左足から放たれるパンチ力あるシュート、力強さと速さも兼ね備えるドリブル突破など、その力を見せた試合も確実にあった。しかし、名門校の10番を背負う選手に対してそうした甘い見方はあり得ない。特に高校サッカー選手権県予選で思うようなパフォーマンスを発揮できなかったことは、試合に出られない先輩たちの思いも背負っていただけに、深い悔恨として残った。

「今年こそはという気持ちしかない」

 新チームでは改めて鈴木勝大監督から「チームの中心として自覚を持って引っ張って欲しい」と告げられたと言い、食事に対する意識など日々の生活面を含めて「確実に変化が見られるようになった」(同監督)という。二度とあんな悔しい思いをしないために、そして年代別日本代表を通じて感じた「もっと高いレベルを意識しないといけない」という思いをトレーニングにも反映させている。

「自分は直線の動きが多すぎたと思うので、いまは曲線の動きを意識しているんです」

 春休みに際してプレーの変化を問うと、こんな答えが返ってきた。「なんで俺はこんなに寄せられるんだ?」という素朴な疑問から自分なりにプレーを分析し、動き出しに対する考え方を改め、実戦で試す。そんなトライを続けている。この向上心の強さも西川の持つ武器だろう。2年生になって体も一回り大きくなる中で、高校レベルで当たり負けすることはほとんどないので寄せられても問題ないことも多いが、「海外の相手はバーンと来るので、これだと通用しない」と、目線は高く保つ。

 実際、スカウトに“ときめき”を感じさせたのも、「見るたびに良くなっていく」という成長力の部分にある。まだ身長も伸びているという期待の16歳は、今回のインターハイでもまた、新たな成長を感じさせてくれるに違いない。

文=川端暁彦

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